表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
213/873

211回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 22:追憶の森(17)

 闇の中で僕はドルフの声を聴いた。

「グレッグ隊長は俺の憧れだった。どんな苦境に立たされても豪快に笑い飛ばし、皆を鼓舞し導く彼のようにいつかなりたいと思っていた」

「それがいつからだろう、俺は彼を見下すようになった」

 軋む音のような重い声が彼に囁く。

『俺は何も間違った事はしていないはずだ、なのになぜ責められる、悪く言われる。誰かのせいにしなくては耐えられない』

 その声は咀嚼音のような嫌な音を出しながら言葉を続ける。

『都合のいい誰かがいい、俺が裏切っても許してくれるような、良い奴を選ぼう』

 かすかに見えるドルフの目は虚ろに、グレッグの幻影を見る。彼の横の肉塊は一回り大きくなると、ドルフの体に纏わり付きながら、さらに囁きかけた。

『みんなに裏切り者と言われている彼なら、罪を擦り付けてもみんなと同じ事をしただけ、自分も騙されていたと言えるな』

「そうだ……隊長なら、なにもかも隊長のせいにしても許してくれる、俺は傷つかない」

『ドルフ良いことを考えたぞ、罪を隊長の命で贖ってしまおう。隊長を殺して、隊長を裏切ったお前の罪すら闇の中に葬ってしまおう』

 ドルフは頭を抱え、悲鳴を上げる。

『大丈夫、みんながそう言っている。お前は悪くない、俺は悪くない』

「俺は、悪くない……」


 僕は自分にしか見えない黒い肉塊の正体が少しわかった気がした。その意思を感じ取ったかのように、琥珀のダガーに光が灯る。

 肉塊に体の自由を奪われたドルフが、虚ろな目をしたまま僕に襲い掛かってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ