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209回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 20:追憶の森(15)
「何言ってやがるこいつはお前の勝てる相手じゃねえぞ」
そういった彼に僕は一枚の紙を押し付けた。
「これ見取り図ね、印の所でリガーと合流できる手はずだから」
グレッグは不満と心配の入り混じった表情をする。自分の事に関しては恐れ知らずな彼なのに、僕の事になるとそんな顔をするなんて。
「グレッグ、僕を信じて」
彼はいい人だ、守らなくちゃ。僕は心からそう思った。
「死ぬなよジョッシュ」
グレッグは僕の肩に触れ、迷いながらも手を離して走りだす。
「危なくなったら逃げるんだぞ!いいな!!」
「わかった!グレッグも気を付けて」
「やれやれ俺も舐められたもんだな」
そういうとドルフは大剣を構え僕に向かって突進してきた。
「ここは地下だ、逃げ場はないぞ」
「違うよ、地下だから良いんだ」
振り下ろされた大剣を、壁を突き破って侵入してきた木の根が受け止める。
「地の利は僕の方にある」
そういうと僕は淡い光を放ち始めた琥珀のダガーを構えた。




