表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
202/873

200回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 12:追憶の森(7)

 グレッグが僕の首を絞める力は徐々に強くなっていく。冗談というわけじゃなさそうだった。僕は顔に血がうっ血する嫌な感覚と、呼吸ができない苦しみでパニック状態になり、グレッグの腕を掴み彼を振りほどこうとした。しかし力の差は歴然としていて、彼は僕の抵抗などまるで感じていないかのようだ。

 どうしてこんな事に、どうしてこんな事を?僕は彼の顔を見て絶句する。

 その顔は普段の彼とは別人かのように歪み切っていた。しかしそこから僕が感じたのは怒りや憎しみじゃなく、深い悲しみ、それに絶望のような彼の感情だった。

「ジョッシュ、お前にまで裏切られたら俺は……」

 彼は目から涙をこぼしていた。

 恐らく彼は正気を失っている、そしてその原因は彼の奥底にある何かの傷が起因しているのではないかと僕は思った。彼には一度命を救われている、それにどっちみち一度死んだ身なのだ。僕は彼の腕から両手を離し、穏やかな顔になるように努力した。

「いいよ」

 僕はグレッグに向かって口だけを動かしてそう呟く。

 君になら殺されたっていい、もしそうすることで君が楽になれるなら、僕はここで終わりでいいと思った。

「お前……なんで、なんでそんな顔するんだよ。どうせ嘘なんだろ!俺の事心の中で馬鹿にして笑ってるんだ!!」

 グレッグの手の力が強くなり、首の骨が軋む音がした。目の前の視界がぼやけていく。ああ、それでも僕は彼が嫌いになれない。こんな関係でも彼を一人にしたくない、そう思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ