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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
異世界勇者の解呪魔法
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189回目 異世界勇者の解呪魔法(ディスペルマジック) 1:ようこそ!混沌世界へ(1)

 僕は白い息を吐いて空を眺めた。冬の夜空は星が良く見える、僕は星を眺めるのが好きだ。ほかの事を考えていないと頭が苦痛と、絶望で塗りつぶされそうだった。だからなるべく意識が途切れないように、心が闇に沈まないように、僕は考える、考える。

 指先や足の先からゆっくりと血の気が引いて冷たくなっていく、それはただ気温が低いからというよりも、体から血が失われていっているからだろう。

 青信号を渡っていたら信号無視のトラックに跳ねられて即死しないなんて、運がいいのか悪いのか。

 痛覚はとっくになくなっている、視界が徐々に狭まっていく、何が食べたいなんて、次の休日はなにがしたいなんて、考えても無駄になりそうなことを僕は頭の中で何度も逡巡させる。

 そうだ最近はまっているゲームの事を考えよう。オンラインゲームをプレイしていると自分が知らない誰かになって、この世界にはいない知らない誰かとコミュニケーションをとっているような、別の世界で別の人生を生きているようなそんな感覚になる。

 その世界での僕の名前はジョシュア、仲間からはジョッシュと呼ばれていた。どこまでシナリオを進めたんだっけ、僕は今どこにいるんだったか。頭の中でゲームの光景を思い浮かべ、ふと目を閉じる。耳元で誰かが僕の名前を何度も呼んでいるような気がした。


 どこにいたか思い出して目を開くと、僕はその光景に唖然とした。モニター越しじゃなく本当に自分がその場所にいたからだ。服装も体も僕がキャラクターメイキングで作った、ジョッシュそのままの姿だった。


「馬鹿野郎早く逃げろ!」

 その言葉に驚き振り返るとトラックのような巨大な化け物が何かに追われて僕に向かって突進してきていた。

「うわぁ!!」

 大慌てでそれを交わし石に躓いて転んだ僕は、地面にしたたかに顔面を打ち付け鼻血を出した。

「ゲームの中なのに血が出てる?」

 鼻をぬぐい手についた血を眺めていると、化け物を追って走ってきた全身に毛皮を身にまとった大男が大きく跳び両手に持った巨大な鉈のような武器を化け物の頭に振り落とす。化け物は悲鳴を上げて崩れ落ちた。

「怪我ぁしたのか?立てるか」

 僕があっけにとられて呆然としていると大男は血まみれの鉈を肩に担ぎ僕に振り向きながらそういった。僕は一つ思い違いをしていた、男の毛皮は動物から剥いだものを着ているのではなく彼の自前のものだ、そして男の顔は犬と鹿を掛け合わせたような獣顔をしていた。

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