表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
小説家志望のおじさんは異世界へ渡った
181/873

179回目 18:願いの対価(1)

 ウィルが女の子を連れて家に入ると、そこにはエプロン姿で皿を抱えたデミィの姿があった。

「お帰りウィル、今日は遅くなっ」

 そう言いかけたデミィはウィルの隣の女の子を見ると手にしていた皿を全て落とした。

「ウィ……ウィリアム君?ととと、隣の女性は?彼女?」

「直球だな父さん、違うんだ彼女は」

「彼女!?」

 そう叫びながらデミィは後ろに大きく飛び跳ね椅子と本棚を粉砕し妙な構えをとった。

「あっそういう意味じゃなくて……」

「そ……そそ、そうかぁ、年頃だもんね……ウィルに恋人……少し早かったなぁ……気持ちの準備できてなかったなぁ……」

 弁明をするウィルの言葉が届いているのかいないのかデミィはぶつぶつと独り言を呟きながら部屋をうろうろしはじめ、キッチンのキノコシチューと焼きたてのパンを見て動きを止めた。

「父さん?いい?聞いてくれる?」

 次の瞬間猛烈な勢いで自室に飛び込んだデミィは新品の鉈と縄を手にしてドアを開けた。

「グレートジェノサイドボア狩ってくる」

「あの山みたいにデカい化け物!?それに今からって無茶だよ!!」

「お祝いだしね!!」

 満面の笑みでサムズアップさせてみせるデミィの目は明らかに正気を失っていた。

「いいから!落ち着いて!!」

 その時誰かが強く息を吹く音がして、デミィの体が弛緩した。

「う~ん」

 そういうとデミィの顔は締りをなくした顔をして、そのまま床に崩れ落ちて眠り始めてしまった。首元には吹き矢が刺さっている。

「さすがに牛十頭が眠る威力の魔法が込められた吹き矢なら寝るか、よし」

 そういったのはいつの間にやらかそこにいたブロワだった。得意げな表情をしてガッツポーズをしている彼にウィルは思わず叫ぶ。

「よしじゃないよ、いたなら普通に言葉でたしなめてあげて!?」

「丸く収めたんだからいいだろこれで」

 ちぇっと子供っぽく言いながらブロワは舌を出す。

「それで今日はなんの用なの?」

 そういいながらウィルはデミィにブランケットを掛ける。

「おっわかる?」

 大げさに喜んで見せるブロワを尻目にウィルは床に散らばった皿の破片を箒で塵取りに掃き集めた。

「そりゃおじさんが来るときは決まって俺か父さんになにかある時だからさ」

 塵取りの中身をゴミ箱に捨てるウィルを見ながらブロワはタバコを咥えると指を鳴らして先端に魔法で火をつけ、紫煙をくゆらせながらいった。

「不詳の弟子がちゃんと教えたことを生かしてるのか気になってね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ