147回目 世界の名を呼ぶのなら
法王から破門され教会に来る人も皆無となった竜人の神父が酒に溺れこの世界自体を見限り呪って生きようと思った時、一人の女の赤ん坊が教会に捨てられているのを見つける。
世界を呪うように泣く赤ん坊を見て、まるで鏡写しの自分を見るようで同じよしみ仲良くやろうやと拾う。
彼女はシスターになり竜人と一緒に畑を耕し、もう一人もう一人と赤ん坊を拾って養うにつれて
廃墟みたいだった教会が綺麗になり聖歌隊や騎士団までできて、
竜人はいつのまにか神父じゃなく司教と呼ばれるようになっていた。幸せに包まれた日々の中心にいつも彼女がいた。
しかし
いつもそばにいた彼女が病床に伏した。竜人はなぜ自分ががんばれるようになったか理解する。
彼女と一緒にいた記憶がほんの一瞬一瞬であっても愛しくて、どんなことがあっても強くいられた。
彼女といるとこの世界には超えられない試練はないと感じていたことを知り、彼は彼女を失う恐怖に子供のように泣いた。
彼女は「そんなに世界を怖がらないで」と彼の頭を抱いて優しく撫でる。
私とあなたが出会えた優しい奇跡が起きる世界を信じて生きて、そういって事切れる。
葬式も終わり。いつまでも落ち込んでいる竜人に久しぶりに集まった子供達はサプライズの誕生日パーティを開く。
大聖堂に彼女にそっくりなマリア像と、遊び心にステンドグラスに子供達一人一人と思わしき天使の姿がある。
それを見るとこの教会での思い出が色鮮やかに蘇るようだった。
驚きもせず身じろぎもせずただ目を見開いて空を仰ぐ彼の頬に涙が流れる。
子供達は彼を見て息を沈める、騎士団長をしている年長の青年が俺たちがついてると彼を父さんと初めて呼ぶ。
竜人は子供たちに振り返り静かに微笑む。
彼女と生きた日々に終わりなどこない、彼はその確信を胸に生きて行くのだった。
ジオシティーズのHPに乗せてた獣人さんと女の子のお話これで終わりです。
更新またちょっと不定期になりますが、なるべく手を早く!手を早く動かしたい…!!




