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千夜一話物語【第三章「異世界勇者の解呪魔法」連載中】  作者: ぐぎぐぎ
5歳の女の子と獣人さんのお話
144/873

144回目 クリスブレイド

少女が目を覚ますと暗い洞窟の中だった

立ち上がろうとして痛くて転ぶ

「あっ」

洞窟の奥から声が聞こえたような?

足を見ると手当のあと、誰かが治療してくれたのか


びたんびたん

また洞窟の奥から音がする

「誰かいるの?」


「怖がらせるといけねぇから、オラここでおめさ見てるだ」

闇の中だから目を凝らしても声の主とおぼしき人影くらいしか見えないが、

かなりの巨躯をちぢこめながら彼はそこに座っているようだった

手当、してくれたんだね。ありがとう。

びたんびたんとしっぽの音がする




「オラありがとうって言われるの大好きだ!言ってくれて嬉しいぞ、ありがとうだぞ!」

そう言うとえへへと笑いながら彼はしっぽをびたんびたんとさせた


「もしよければ君の顔が見てみたいな、大切な恩人の顔だから覚えておきたいの」

「だっ、でもオラ…」

小さい声で「化け物だから…」とつぶやく声が聞こえてクリスは優しく眼を細める


「私こう見えてもとっても強いのよ?大人あいてにしたって負けないんだから!

 だから平気、怖くないよ」


闇の中から二つの金色の光がクリスを見た。

少し戸惑いながら立ち上がる音、鱗をこする音をさせながらそれが近づいてくる。




ほのかに爬虫類の匂いがしてくる。

クリスが五度目の瞬きをしたとき、彼女の目の前でトカゲの姿の男が彼女を見下ろしていた。

ほんの少し恐怖心のある顔で恥ずかしそうにクリスを見つめるトカゲ顔にそっとふれるクリス。

ひんやりとした感触に驚くが、彼の表情が手に伝わってすぐにほほえましい気持ちになる。


「あっ」と手を見ながら顔を赤らめるトカゲ男

「私クリス、あなたいい男じゃない。私あなたのこと好きよ」

「お…おら、ダーグ」

「助けてくれてありがとう、ダーグさん」


ちゅっ

ゴクリ

顔を真っ赤にして卒倒するダーグ

あらあらと手を口にあててお姉さんのように微笑むクリス、

彼女は昔から誰かのお世話をするのが大好きなところがあり、

これはお世話しがいがありそうね、なんて恩返しに心をときめかせていた





二人の生活は穏やかでとても楽しいものだった

日々癒えていくクリスの傷、元気な彼女の姿を自分の事のように喜ぶダーグ

しかしある時から急に彼がよそよそしくなってしまう

自分の事を嫌いになってしまったんじゃないかと心配するクリス


そして彼女に迫る追っ手、実はクリスは指名手配の魔法使いだったのだ

ダーグに内緒で剣と鎧を纏って追っ手との戦いに向かうクリス、

彼女の特殊な魔法「クリスブレイド」と彼女を助けにきてくれたダーグの力で

追っ手を追い払う事に成功する二人だったが・・・


クリスがダーグをみた顔は悲しみに包まれていた

「私もう出て行くね・・・迷惑かけてごめんね」

そう言うと彼女は去っていこうとする

クリスを呼び止めるダーグ

二人はもう住み慣れた二人の家とも言える洞穴に一度帰る事にした




ダーグの差し出した暖かいお茶を受け取りそれを見つめるクリス

「クリス、傷よくなってよかったな」

「うん」

クリスはお茶に口を付け、洞窟の奥へと歩く

クリスが横を通りかかったときダーグは胸を掴み勇気を振り絞って口を開く


「オラ!・・オラクリスがいなくなっちまうのは嫌だ!どこにもいかねぇでほしいだ!」


洞窟の中にダーグの声が反響する、クリスは一瞬足を止めた。

おそらく振り向いているのだろうとダーグは感づいたが、

それを見たらまた話せなくなると思い、彼は振り返らず言葉を続ける


「オラ、おめと一緒にいてぇだ。だからもうちょっとだけ、一緒にいてくれねぇかな。

 なんて思ったりしちまって・・・そんで」




クリスは服を着替え、そして彼の前に座るとじっとその顔を見つめた

彼女の真摯な瞳に罪悪感がこみ上げてくる、

そしてそれでも自分の言葉をまっすぐ受け止めようという意志を示した彼女に

ダーグは本音を話さずにはいられなくなった


「ばかだばかだばかだオラ、そんでクリスの顔みるの怖かっただ!

 話したらおめぇが帰るって言い出しそうで、そんで話もしないようにしてただ」

「そっか」


クリスは小さくつぶやくと、倒れ込むようにダーグの胸に顔を押し当てる

泣き出すクリス、あわてるダーグは彼女の顔を遠慮がちに見つめる




「ごめん、クリス。オラお前の事傷つけるつもりはこれっぽっちもなかっただよ」

「わかってる、わかってるよ。私嬉しくて」

「えっ」

ダーグを抱きしめるクリス

「私自分がこんなに必要とされたのはじめて、私ここにいて良いの?

 刺客だってまた来るかもしれない、ずっと私といて迷惑じゃないの?」

「あったりまえだ!」

抱きしめ返すダーグの顔は誇らしげに雄々しく笑っていた。

「なにがあっても誰がやってきたってオラがクリスを守る!

 だからいつまでもオラと一緒にいてくれればいいだ!ずっとずっと一緒に暮らそうクリス」

「ありがとう・・・、大好きだよダーグ」

サイコメトリー能力で武器の昔の使い手の能力を利用できる。

クリスしか使えないため名付けられた幻の魔法クリスブレイドの使い手、魔法使いクリス。


じいちゃんが大魔法使いのジオ=グラダイス、

彼の作ったエレメンタリーフォース(Ef)の

両手両足の輪がクリスの魔力を消費して戦士並の体力を与えている。


ジオのEfは別名オーパーツとも呼ばれていて、

物によっては小国くらいならキャッシュで買える価値がある。


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