142回目 アフタヌーンティは君と
「お帰りお待ちしておりましたご主人様」
狼姿の老執事が私を迎える
「我が主がお待ちです、どうぞ」
白手袋をした手を黒のタキシードの胸に当て招き入れる彼の体のラインは洗練されていて、
女の私ですらため息をついてしまう
歩く芸術品、とでも言えばいいだろうか
この館の主は古今東西の芸術品の愛好者であり、
自らの執事もあながち彼のことだ『仕立てて』しまったのかもしれない
「申し訳ありませんご主人様、私の臀部を撫でるのはやめてください」
表情一つ変えずに言うのが楽しい
ちなみにお客の私をご主人様と呼ぶように言ったのは私
無茶にも応じる出来た執事だなぁと関心している
私の五才の誕生日、神様からのプレゼントで訪問できるようになった天空の城
「胸を撫でるのはおやめください」
この老執事にいたずらするのはとても楽しく興奮する
やっている事や目的はこればかりだったりするのだけど
彼にお姫様だっこをねだりもふもふの胸毛皮に顔を埋めていると、
彼がそっと私の口のよだれを拭う
「レディともあろうものがはしたないです」
めっと言うような語調で言う彼の目はそれでも優しい
「はにゃひてひるほふうで、くちのなかにしはをいれるのははめてくらはひ…」
さすがにやれやれとあきれ顔になってきた彼の首を抱きしめると頬にキスをする
そんなこんなでいつの間にか目の前には巨大な門、主はその先で私を待っていた




