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141回目 フェイクス・ライク・シンパシー
戦場に取り残された天才科学者の少女テレサ(5さい)は
自身の開発した洗脳銃を使い敵兵の獣人を洗脳して生き延びる
今暮らしているロスでの暮らしで
まるで本物の家族のように親しく接してくれるハイエナ獣人ジョエル
家の片隅には獣人のパワーアーマーがまだある
獣人には人間のような個を持つ文化はなく
彼の今の人格も洗脳を使い上書きした偽物でしかない
自分のためにお遊びで作った家族化洗脳システム
奴隷システムよりはましなのだ、でも
間違いだとわかってはいても彼の温もりをテレサは手放せずにいた
孤独なんて平気だと思っていたのに
ジョエルのふかふかの毛皮に包まれ、彼の顔を見つめる
そして彼が暖かなまなざしで微笑んでくれる
この安らぎが、今の彼女には欠かせない心のよりどころになってしまったのだ




