131回目 バーティカルデッド
前編です。
社会不適合の烙印を押された精神異常者の少女フィル(15さい)と
開発だけされて人間の社会に否定された人工生命体、アニマノイド(犬型獣人)のゲイズ。
二人は都会の光も届かない、社会のクズが集まるゴミの吹きだまりで出会い惹かれあった。
フィルは男共に薬代欲しさにセックスさせてあげると約束して金巻き上げ、
薬買いにいってセックスの約束忘れて殺されかける。
そこをまだ闇の世界に入り立てで右も左もわからないゲイズが助けて
彼を良いように使いながら闇の世界をナビゲートするフィル
ゲイズはフィルの言うまま行動してたらどんどん道を踏み外して、
気がついたら何人もぶっ殺してて
自責の念にかられるけど薬を渡すときに自分を家族みたいに慕ってくれるフィルの
愛情が欲しくて泥沼にはまっていく
奔放で退廃的なフィルと、軍に所属していた経験もあるきまじめなゲイズ。
性格的には消して相性がよいとは言えない二人だったが、
その間にかかるシンパシーが伝える温もりが彼らを引き寄せ、絆を結ばせていった。
フィルは自傷癖があり、彼女が自殺を繰り返すのが見るに絶えず、ある日彼女のカミソリにゲイズは毒を塗る。
いつもみたいに手首を切った後、ゲイズは彼女が眠るまで頭を撫でる。
ただ一ついつもと違うのは朝になっても彼女が目覚めなかったことだ。
ゲイズ彼女の死体を抱いて数日、自分でも正体不明の虚脱感に襲われていた。
でもある日、彼女の日記を読み彼女が行きたがっていた場所を、その死体とともに巡ることにした。
穏やかで奇妙な旅。
しかし彼らの訪れた場所を追うように殺人事件が多発するようになる。
襲われた人物はなにかしら人間によると思われる捕食の跡があり、
通称グール事件と呼ばれ世間を騒がせ始める。
ゲイズは鳴ってもない電話が鳴ったり、
いもしない隣人が見えたり、
果てはそのグール事件の犯人は自分たちを狙っているのだという夢想を始める。
彼の狂気は日増しにエスカレートし、
死体の腐臭とある暴力事件を元に彼がフィルの死体を運んでいることがばれてしまう。
警察に捕縛され、暴れる彼に何本も何本も薬が打たれ、副作用でゲイズは白目をむいて泡を吹き死にかける。
フィルの死体がグールとなり周囲の人間を殺し始めた。
最近世間を騒がせていたグールは二人を追っているのではなく彼女だった。
この世界を呪って死んだ彼女は不死だったがそれを知らずに想いを叫びながら彼女を守り頭を打ち抜かれるゲイズ。
主人公の血を浴びて穏やかな顔になり、彼を抱いて頭を優しく撫でながら死ぬフィル。
世界は彼らの死体を切り刻み薬漬けにして犯し続けたけれど、
二人の秘密を暴けるものはどこにもいなかった。




