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海老怪談  作者: 海老
25/45

捨てネタ

前話でテンションが下がったので、廃棄ネタでお茶を濁す。

脚色あり。


 話にもならぬ話を紹介する。

 ふくらますと創作感が強くなるため、元ネタにもしなかった話だ。


1椅子の上で踊る


友人に風俗店の雇われ店長をしている男がいる。仮に梶尾としておく。

 さて、風俗店といっても初期投資の少ない、いわゆるデリヘルというものだ。マンションを二部屋借りて、一部屋は事務所。あと一つは待機部屋である。

 筆者も昔そういった所で半端に仕事をしたことがあるのだが、まあ色々とある。特に、古いホテル街では、絶対に貸さない部屋もあるし、奇怪なことというのは「当たり前のこと」と割り切られていて今更話題にするほどでもないという空気すらあった。

 梶尾の店にも一つの曰くがある。いや、あったというべきか。

 

 その椅子に座ると、危ない客に当たる。

 その椅子に座ると、病気を貰う。


 プラスチック製の安っぽい椅子だ。

 待機部屋にあるのだが、誰も座ろうとしないし、移動させようともしない。

 移動しようとしたスタッフがその一時間後に階段から転がり落ちて大怪我をしたからだ。そのスタッフは、入院費が払えずいつの間にか店にも来なくなった。

 障りを恐れて、誰もが遠巻きに見ているだけの安っぽい椅子。

 この店が出来た時からある。


 店長の梶尾が店を閉めてから、忘れ物を取りにいったときのことだ。

 待機部屋から物音が聞こえたので、すわ泥棒かと入ると誰もいない。

 気配を感じて、待機部屋を見回す。

 その椅子の上で、小人が踊っていた。

 やけに頭の大きな女だったという。下手くそなダンスを踊っていて、何か歌のようなものを吟じている。

「聞かへんからな」

 と、意味も分からず大声で梶尾は言った。言わなければいけないとおもったのだそうだ。

 その小人は踊りをやめて、梶尾を見た。

 慌てて逃げたという。

 その後、梶尾が店長を務める店は火事で焼けた。

 漏電によるもので、事件性は無い。怪我人も出なかった。

「小人な、まっくらな部屋ん中でピカーってしててめっちゃキモかった。アレ、お笑いでようあるやん、金粉、金箔いうのん? あんな感じの色の皮膚しとったわ」

 と、梶尾は教えてくれた。

 椅子は部屋と共に焼け落ちた。

 梶尾がオーナーから聞くところによれば、椅子は開店した時に貰ったもののはずだが、誰にもらったかは思い出せないということだ。



2ねじこめ!


 友人にボードゲームやTRPGといった電源を使わない遊びが好きな岩下がいる。

 ニッチな趣味ではあるが、イベントを毎月開いて趣味人たちでゲームをするイベントを開いている。

 オタク層の趣味になる訳だが、人が集まると困ったヤツが出てくる。特に顔を突き合わせていく遊びというのはコミュニケーションの得手不得手が出る。

 問題のある女の子がいた。

 岩下は面倒見がよく、その子を気にかけていたのだが、あまりにも問題行動があるということで出禁になってしまった。

 多数決というもののため、岩下はその子に「ちょっとおとなしく反省しとき」と出禁が解けるまで我慢するように伝えたのだという。

 さて、それからどうにも肩が重い。

 悪夢を見る。内容は覚えていない。

 ある時、出勤の途中でスーツのポケットに見慣れないものが入っていた。

 ビーズアクセに長い髪の毛が絡み付いた不快なゴミだ。

 その夜、いやに寝苦しくて目を覚ました。

 小さな猿のようなものが、岩下の頭に張り付いて枕に顔をぐいぐい押しつけてくる。

 あまりの苦しさに猿をつかんで、壁に叩きつけた。イキがいいので、動かなくなるまで執拗に叩きつけてから、ゴミ箱に放り込んだ。

 目が覚めて、変な夢を見たと息をつく。

 手には髪の毛が絡み付いていて、脂っぽい厭な臭いがした。

 ゴミ箱の中に、人のものであろう歯や生爪らしきものがあったので、昨日のゴミと一緒に近所の神社の賽銭箱にねじ込んだ。

 その後、変事は無い。

 ただ、問題のある女の子というものからは連絡がなくなった。

 実は、岩下が一番彼女を嫌っていて、出禁にするのも彼が苦情を主催者に申し上げたことが発端だとか。

 その後、神社の前を通る度に、怒りの視線を感じる。

 どうしたらいいか聞かれたので、賽銭箱に一万円札をねじ込んで来いとアドバイスをした。

 あれから半年経つが、500円も入れてないとのことだ。



3 友だち


 小学校時代の親友である北山くんに教えてもらった話だ。

 とっつんというあだ名の子をみんなが覚えている。

 当時、筆者たちは毎日のよううに遊んだ。

 同窓会で、とっつんの話になったが、誰もどこのクラスにいたか知らない。ましてや、そんな子はいなかったのではないかという話まで出る始末だ。

 不思議なこともあるものだな、ということになった。

「海老やん、とっつんとよう遊んでたやん」

「せやで、一番仲よかったやん」

「二人でよお自転車のっとったよな」

 さて、筆者はとっつんなどという友達は記憶に無い。

 みな、誰のことを言っているのか。

 筆者は曖昧に笑って「せやったなぁ」と誤魔化した。



3 四回

 四回書き直した。それでも上手く書けないので要約を記す。

 ナッパ先輩の話である。


 車の免許をとってウキウキのナッパ先輩が、チンピラの先輩から仕事を頼まれた。

 何も言わずに、桐箱に入った壺を県を三つ跨いだ寺に持っていけとのこと。

 中身は見てはいけないらしい。


 アクシデントに見舞われたが、全て解決した。

 道に迷ったりするとのこと。

 なんだか妙にケンカを売ってくる連中がいたので、パンチやキックで倒したそうだ。少し変わった風体の者が多かったという。

 途中、田舎の道でジュースを飲んで休憩していると、痴女に襲われたそうだ。

「裸の人っていきなり出てきたらビビるで。マジで怖いし。痴女あかんわ、ホンマ怖かった」

 車に乗り込んできそうになったので、コブラツイストをかけたという。

「でも、やっぱり生チチあるとちょっとドキドキした」

 とのこと。

 行く先々で待ち伏せているので、最後はチョークスリーパーで締め落とし、バス亭にあったベンチに寝かせたそうだ。もちろん、上着をかけてやるのは忘れない。

 時間に大幅に遅れて寺にいって坊主に桐箱を渡した。

「一緒に寺をやりませんか」

 と誘われたのだが、断ったそうだ。

 痴女の外見というのは、裸に着物をだらしなくつけている人だったそうだ。顔はなかなかキレイだったという。

 それから、幸運に見舞われたという。

 車で移動するナッパ先輩を往く先々で待ち受けていた痴女とはどういうものか。

 筆者は、それがお化けのような気がしてならない。

 そのバイト代は、ETCカードを渡されて一日使い放題に加えて、三万円だったそうだ。

 安いのか高いのか判断に苦しむ金額である。


脚色あり。創作あり。

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