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海老怪談  作者: 海老
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クトゥルー怪談

創作です

クトゥルー神話。

 クトゥルフ神話。

 ク・リトル・リトル。

 全て同じものだが、H・P・ラブクラフトという作家の作り上げた小説群から創作された神話体系を元にしたホラー小説だ。

 筆者が学生のころは、オタクでも相当ディープなヤツでないと知らないレベルのものだったが、今ではアニメやゲームで取り上げられて有名になってしまった。

 今日は、筆者の記憶からクトゥルー的だった話を紹介しようと思う。



 ひとつめ


 釣りを趣味としている者なら見る機会の多いのが寄生虫だ。

 スーパーで販売されている魚には大きなものはついていないが、釣りをしているとそのグロテスクな姿を見かけることも少なくない。


 十年ほど前のことたが、ひどく酔っ払って気が付いたら知らないヤツの家で酒盛りをしていたことがある。

 40歳代の男で、いやに薬臭い。軟膏の匂いだ。

 マンションの一室で、気が付いたら座布団を枕に寝ていた。ひどく気分が悪かったのを覚えている。

 おぼろげながら、薬臭い男と意気投合して焼き鳥を食べていたのは覚えていたが、その後のことはよく分からない。

 水と思って口をつけたグラスは焼酎で、気分が悪くなった。時刻は早朝五時を回っていた。

 素面で知らぬ男と顔を合わせたくなかったので、そのまま退散することにした。

 そんなことを考えていると、部屋に異音が響いた。

 強烈な放屁の音だ。

 見れば、毛布にくるまっている男が足をかきながら眠っていて、苦笑したが、次の瞬間に咳き込んだ。異様に臭い屁だったのだ。

 男は足をボリボリとかきながら快眠している。自分の屁は匂わないらしい。

 帰ることにした。

 男を見やれば、まだ足を掻いていて、絆創膏が剥がれていた。掻きむしった膝はところどころ出血していて、見れば、何かが蠢いている。

 瘡蓋の割れ目から、いやに目の大きな寄生虫のようなものが頭を出していた。そして、それと目が合った。

 この時、恐怖はなかった。ただ、気持ち悪いと思っただけだ。

 そのまま、男を起こさないようにして帰った。

 マンションから出て適当な大通りに出て見つけたコンビニに入り、駅の場所を聞いて電車に乗る。

 男とはそれっきりだ。

 ただの妙な思い出だが、最近になってあの家で見たことの中に、奇妙なものがあったのを思い出した。

 あの家から出て、その後もだが、それが奇妙だと気づかなかったのだが、あの家には小人がたくさんいて、帰る時もこちらをじろじろ見てきてひどく居心地が悪かった。

 駅名は忘れた。兵庫県の辺りに家があったことしか覚えていない。

 二度と男と会うことはないだろう。そう思う。




ふたつめ


 そこに魚がいるというのは知っていた。

 草が伸び放題の小さな空地があって、そこには大きな水たまりだか池だか分からないものがある。大量に乾電池が捨てられていたり、軟膏のパッケージがいやにたくさん捨てられていたり、どうにも妙に穢れた雰囲気の場所だった。

 当時、筆者はその近所に住んでいた。

 大阪の今里交差点にほど近い妙な場所だった。どぶ川が近くを流れていて、そこでも奇妙なものを見ていた。

 今でも時折あの日々を思い出して、それが妄想なのか本当のことか分からなくなる。

 あの水たまりには大きな魚が住んでいて、たまに鳥を食べていた。

 大きな鷺が食われていて、池の魚というのは大きくなると強いのだな、などと思っていた。

 あの時、よくよく奇妙な場所に行くことがあった。

 あれは本当にあったことなのか。

 会社に行くかたわら、ここで途中下車してあそこに行ってみようかと思うことがある。だいたいそんな時、電車の窓から、列車の速度に並行して走る子供を見る。

 あれは、多分、誰なのか知っているけど、それこそ気づいていけないことではないだろうか、

 あの魚も、あの空地も、どうなったのかは知らない。

 もう行くこともあるまい。

 ただ、あの時つきあっていた妙な女のことが気にかかる。

 いつのまにか合わなくなって別れていたが、行く先々であの女の好きだったキャラクターの廃物にお目にかかる。

 そんな不自然な偶然があるのだろうか。

 十五年に渡って、アレが付いてきていたのではないだろうか。

 その女のその後は知らない。ただ、知らない方がいいだろうな、と思う。



みっつめ



 若かりし日のことである。

 肝試しにいって、みながギャーギャーと悲鳴を上げる中、筆者だけには何も見えなかった。

 その後、その時の仲間たちとよく肝試しにいった。

 その度に、筆者は何も見ない。

 奇妙なことといったら、目の前でバケツが飛び跳ねたくらいだ。科学的に気圧とかなんとかで説明がつきそうだ。

 霊能者というのにもたくさん会った。

 詐欺師、狂人、詩人。ほとんどの霊能者はその三種類だ。

「あんた、なんで生きてはるん」

 京都で会った方はそう言って、どうにも不思議そうに筆者を見た。なんでと言われても困る。

「かみさまいうんは、なんというか、あんまりいいもんやなくて。そのう、行けるとこがわたしたちはみんな決まっていて……。暖かいとこもあるんですけど、あんたは多分よく分からん、あんまりよくないとこいきはる人です」

 申し訳なさそうに言う霊能者の言葉が耳に張り付いている。

 どんな所か聞けば。

「あんたが思ってる通りのところです」

 京都鈍りというのは、なんとも雅だ。

 筆者の思っている通りというのは、本当に勘弁願いたい。



よっつめ

 思い出してはいけないことがある。

 今、書こうとして少しだけ思い出したので、それ以上記憶を開けるのはやめておいた。

 忘れてることなど、そのままにした方がいい。そう思う。


sousakudesu

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