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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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令嬢御一行

一晩ゆっくり休んでから早朝に出立する事になり起きて早々馬車に乗ろうと

玄関に出れば護衛に付いてくれる兵士の中に見知った顔がありました。


「リヒャルト君、おはよう」


「グラーシア姫」


ウットリ夢見てるような寝惚け目で挨拶して下さるおチビちゃんは

お父様の所の見習い騎士で騎士道に邁進している

コンヨー男爵の次男のリヒャルト君。

何を思ったのか私にミンネを捧げるとか言い出してお父様とコンヨー男爵が

苦笑混じりに見守っていた真面目なお坊ちゃんです。


一応ミンネという習慣は地球でも中世ドイツの宮廷での習慣だったかしら?

確かその辺りの歴史に夢中だった孫娘が一生懸命勉強していたからねぇ

少ないながらも年金でドイツの本を買ってあげた思い出が蘇る。

孫娘は勉強熱心で何故か世界の国の名前が殆ど漢字表記の小説を書いていて

ミンネに関する同人誌を刷って東京の即売会で売るというのを借りて読んだわね。

孫娘の本では確か肉欲を伴わない精神的な愛を捧げる騎士の徳目なのだと

戦争の話でドイツ王となった弟がフランスの将校さんとの一騎打ちに

あわやというところで救い出した騎士である兄に

馬上で『イッヒリーベナンチャラ』とか言ってミンネを捧げていた。


弟が王なのに兄が騎士なのは妾腹なのだろうけれど

理由がよく判らなかったのでその辺りの背景をキチンとしたら

もっと良かったわよと感想を伝えたら孫娘は「積み荷を燃やしてー」とか

おかしな事を叫んでたけど落丁だったのかしら?

素人が初めて書いたものにしては上出来だから元気出してと慰めたのよね。

ミンネって兄弟でも捧げるものなのかとも思ったのけれど

米英と表紙にあったアメリカ人とイギリス人の兄弟も

なんか言いながらアイラブユーと叫んでチュッチュしてる本もあったので

鬼畜米英とか言ってた私達とは世代が違うのかと時の流れを感じたわ。


愛情表現が大袈裟でアイラビューアイラビュー言いながら

外でも人前でもチュッチュしてる異人さんのする事だから

家族愛もそういった表現をするらしいと、

日本人の目からしたら相容れない文化として理解したのよね。


だからリヒャルト君も私に親愛の情を騎士風に示したのだと

公爵令嬢としてハンカチを渡して受け入れました。

可愛い弟が出来たと思えば断る理由も無いので。


「では行って参ります」


弟分のリヒャルト君とお父様が厳選した屈強な護衛兵達とマリアを従えて

帰国の途につきますがこんなに護衛がつくのはこの世界の治安が悪いから。

魔獣やら魔物の襲撃で国全体が貧しいのもありますし

技術が発達してないのも関係あるのかしら?

食べられなくなったら手っ取り早く他人様から財産を強奪する流れに行き着きます。

武士は喰わねど高楊枝とか困っても他人様の米櫃に手を入れないなんて

道徳の生まれる余地なぞ無く

『衣食足りて礼節を知り倉廩満ちて栄辱を知る』との管子の言葉が実感出来ます。


「大丈夫ですわ盗賊だって命が惜しいのですもの、

ドラゴン退治の英雄の家の馬車を襲撃しようなんて物好きはおりませんわ」


マリアがそう言って安心させてくれますが最近では食い詰めた流民が

ウチに働き口を求めて来てファングル家のドラゴンと剣の紋章が目立つ馬車に

移民の直訴する事の方が多くなってはいるのだけれど。


「そうね、でも移民の方でしたら新領の開発の方にお願いしますわね」


他の地域はどうなのか知りませんがウチはまだまだ人手が欲しいので

馬車を止められる程度で切り捨て御免にはしませんわ。

危なくなる前にお父様自慢のファングル私兵団の選り抜きの

護衛の皆さんに排除されるので不安はありませんもの、

ただ馬車は揺れるので読書や手芸は酔いますので出来ないのが

辛いところなんですけれど、

それでも年が近いけれど孫娘みたいなマリアちゃんとお喋りしていたら

あっという間に休憩地に到着ですわ。

休憩の為に取った宿でエコノミー症候群予防に凝り固まった体を解したり

お花を摘みに行ったり軽食と摂ったりして一息ついたらまた馬車に戻ります。


「グラーシア!」


馬車の扉が開かれステップに足をかけるところで私を呼ぶ声。

最近まで偶に聞く声に振り返れば軍から支給される麻のシャツに鉄の防具姿の

元、王族で婚約者のベオヘルグさんが居りました。


「待て、少し話を聞いてくれ」


既に関係を断たれ清算を終えたお方が何のご用なのでしょう?

今更話し合う余地も用件も無いので無言で背を向け馬車へ乗り込もうと

扉を開けてくれた御者の手を借りようと手を出します。


「僕を無視して何処へ行く!」


ズカズカ近づく足音が急に止みました。


「今更姫に付き纏って何のつもりだ」


振り返りましたらリヒャルト君が庇うように私達の間に立ちはだかっていました。


「お前には関係無い、退け」


「退くのは貴様だ、既に王籍から名を削られて

平民となった貴様が皇太子殿下の婚約者であらせられる

ファングル公爵令嬢に易々と近付ける身では無いと知れ!」


リヒャルト君が肩を掴もうと伸ばされたベオヘルグ元王子の腕を払います。


「煩い!僕はグラーシアが転生者だというのを知らなかっただけなんだ、

新領拝領だって僕が竜騎士に叙せられる話だったからだと」


「今更図々しい、そして欲で濁った口で姫の名を呼ぶな

貴様のような愚かな男が呼んで汚して良い安い御名では無い!

その汚らわしい男の口から二度と姫の名が上がらぬように貴様に決闘を申し込む」


何かリヒャルト君が怒鳴りながらベオヘルグさん…?に外した手袋を投げ付けて

ベオヘルグさん?の顔面に白手袋が、そして決闘がどうとか言い出してます。


「邪魔立てするな!」


顔に手袋ぶつけられて怒ったらしいベオヘルグさんが剣を抜きました。

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