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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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結婚への希望

「グラーシア!済まない」


王宮を今度こそ辞してゆっくり休ませて貰い部屋で寛いでいた所、

ノックもそこそこにカルロ兄様が半泣きで飛び込んで来ました。


「いきなりやって来て謝られるなんて兄様、何を仕出かしましたの、

また騎獣のペガサスを暴走させて獣舎を半壊させたのかしら?

それとも内緒でフェニックスを拾ってきて部屋を全焼なさったの」


「どれも昔の事じゃないか!そうじゃなくていきなり殿下との婚約なんて

先日のアホ王子の落とし前もまだなのにあまりにグラーシアを馬鹿にしている」


目を真っ赤にして大声を張り上げる兄様に落ち着きなさいと緑茶を淹れた。

絶対夜勤明けで変なテンションなのでしょうねぇと言うか婚約破棄の落とし前に

あれが王家として最上の落とし所じゃないのかしら?

若後家に亡夫の兄弟をあてがったり事情があって結婚が壊れた場合も

代役じゃないけど代わりに兄弟姉妹が充てられるなんて昔は良くあったし、

家同士の結び付きや政略結婚なんて仰々しい家じゃなくても

それなりに家の面子がどうのと抉れる場面もあるからこれで良かったのよ。


「婚約破棄で傷物になった私が修道院じゃなくて王太子妃だなんて凄いわよ、

しかも王太子殿下が自らをあんな風に言ってお迎え下さるなら

私や我が家を蔑ろにはなさらないだろうし巧い落とし所だと思うわ」


寧ろこの国は女が社交以外の表舞台に出る事は滅多に無いから

王妃教育も国際儀礼から始まる儀式礼法関連のみ、

それもいずれ竜騎士となって武官として外交に携わる予定だったベオヘルグ王子に

嫁ぐつもりで家庭教師が付いているから困る事はなさそうね。


他の国では後継がいないとかで女性が爵位を継承する場合もあるみたいだけど

ウチでは結婚に付随して賜る夫人の称号くらいかしら、

だから偶に開催されるパーティーとか社交界で人脈を広げるのと

サロンで婦人会しつつ子供を産んだらのんびり生きていけるだなんて夢のような

三食昼寝付きの極楽生活に不満だなんてある筈無い。

それに王太子殿下って昔から兄様達とウチの庭で走り回ってた悪童じゃない、

確か蛇だと思って悪戯したのがバジリスクの子供でえらい目にあったりだとか

ピクシーに化かされて沼に落ちたりとかしてたあの子でしょ?

今更取り繕って王家とか軍部がとか語られても…まぁ一生懸命頑張ってるのねぇと

婚約は了承したからゴタつく事は無いと思うし。


「私は殿下の事は構わないわ、それよりファングル領に戻って

そろそろ野沢菜を収穫して漬けないとならないし」


「結婚よりノザーナの方が大事か!?」


「あらお兄様、私の片付き先が決まったのですもの

安心したら領内の冬の貴重な保存食作りですわ」


ミノタウルスやキマイラを飼う牧場に餌として植えていた植物が

野沢菜だったのには本当に驚いた、

最初は家畜の餌を食べるなんてと非難轟々だったけれど

私からしたらお葉漬けにしか見えない葉っぱを食べたい一心で漬け込んで冬の間

お茶請けに茶漬けの具に油炒めにと心ゆくまで堪能した故郷の味、

それがファングル領の屋敷から広がって

ノザーナと呼ばれて今ではウチの郷土食になってるわ。


「あんな言われ方をして結婚してくれなんていくら殿下でもさ僕は嫌だよ」


「私は気にしてはおりませんわ、だって王太子殿下なら私知っておりますもの

今は策士ぶってあんな仰り方をなさいましたけれど

沼に落ちてもがいてたあのお坊ちゃんなら楽しく暮らしていけそうですし、

一応これでも私は王妹の娘で公爵令嬢なのだからと

外国に嫁がされでもしたらどうなさるおつもりですの?

罷り間違って魔界の隣のハイラントなんて所だったら

空襲警報のサイレンと同じ鳴き声の鵺みたいな鳥やら生きたB29みたいな

生き物がギャイギャイ鳴き喚いて飛び回りながら口から焼夷弾吐いてる

毎日が戦時中な結婚生活なんて御免蒙りますわ」


何時か屋敷に魔族を捕まえたと奴隷商が来た事がありましたけれど

サイレン鳥やB29を連れて来られて肝を冷やした思い出が…

そんな魔族やら魔獣がわらわら飛び回って人間を狙う異世界サファリパークに

嫁げと言われるより随分マシと兄様に訴えれば

不承不承ながらも婚約に関しては何とか納得して下さいました。


「ならもう僕は何も言わないけど」


ならその話はお終い、早く国に帰って野沢菜を樽に仕込まなくてはと

心はファングル領にむかっています。

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