キングペンギン
キングペンギンだな、それじゃこっちだ!
◇ ◇ ◇
よし到着だ。
ほら、あれがキングペンギンだ。
大きいだろう?
それもそのはず、キングペンギンは俺達コウテイペンギンに次いで、世界で2番目に大きなペンギンなんだ。『オウサマペンギン』と呼ばれることもあって、その名に恥じない風格だろう?
実はキングペンギン、コウテイペンギンが発見される前までは最大のペンギンだと考えられていたんだ。しかし後年になってコウテイペンギンが近縁の別種と認定されたから、王座を譲ることになったのさ。
彼らの姿に見覚えのある人も多いんじゃないかと思うが、キングペンギンはコウテイペンギンと違って温暖な気候への耐性があってだな。だから、多くの施設で飼育されているんだ。
というのも、野生の彼らが生息しているのは南極大陸じゃなくて、比較的温暖な亜南極の島々なんだ。地球上でもっとも寒い南極とは違って、ここは植物が生えるような場所だぞ。
日本では知名度、人気が高いペンギンであってな。会いやすい大型ペンギンとして需要が高いんだ。
冬季にキングペンギンの屋外散歩が見られる施設もあって、彼らの雄姿と可愛さを近くから堪能できるぞ。ペンギン展示においては、『華』と呼べる存在かもしれないな。
とはいえもちろん、ペンギンに触るのは禁止だ。キングペンギンは大型ペンギンだけあって力も強いそうで、一説によれば人間を骨折させるほどのパワーを備えているらしい。
ペチペチだなんて可愛い擬音が当てられることもあるが、実際は『バシィン!』、『ズバン!』と言うべきかもな。キングペンギンに限らず、ペンギンのビンタはきっと、人間が思ってる以上の威力だと思うぞ。
何しろ、ペンギンのフリッパーの中身はぶっとい骨だ。木の板でぶん殴られるようなものと言えば想像しやすいかもな。
そうそう、キングペンギンは、成鳥と雛の姿がかけ離れていることで有名でな。
雛は、大人のキングペンギンとは似ても似つかない姿なんだ。残念ながらここにキングペンギンの雛はいないので見せてあげられないんだが、興味があったらぜひ調べてみてほしい。百聞は一見に如かずだ。
キングペンギンの雛は、こげ茶色でモフモフでまんまるな見た目をしているんだ。繰り返すようだが、成鳥とはまったくもって結びつかない姿で、別種のペンギンと考えられていたことすらあったそうだ。
まるで、でっかいキウイのような見た目をしているからな。いざその姿を見れば、可愛くて笑ってしまうかもしれないぞ。
お、ちょっとこのキングペンギンを見てくれ。
このキングペンギンが何をしているか分かるか?
実は、立ったまま眠っているんだ。
クチバシをフリッパーに挟んだり、踵で立っているのは体温を保つためでな。つまり、寒さから身を守るためなんだ。クチバシや足は放熱しやすい部位だから、クチバシはフリッパーに挟んで隠し、足は地面に接する部分を少なくしているというわけさ。
寒い地域で生きていくために彼らが編み出した知恵……なんだが、驚く人は少なくないそうだ。
この寝相、前から見ると首がなくなってしまったように見えるしな。
キングペンギンはまさしく、『世界一可愛い王様』と称すべきかもしれないな。
彼らに関しては、こんなところか。
【キングペンギン】
【英名】King Penguin
【学名】Aptenodytes patagonicus
【有名な個体】
鹿児島のおつかいペンギン・『ララ』
https://www.youtube.com/watch?v=fhg47CBftNM
エディンバラ動物園の『ニルス・オーラヴ卿』
https://www.youtube.com/watch?v=Hq-6wUWffkA
【特記事項】
コウテイペンギンに次いで、世界で2番目に大きなペンギン。『オウサマペンギン』と呼ばれることもある。温暖な気候に耐性があるため、数多くの施設で飼育されている。
首と胸に鮮やかなオレンジ色の部分があるのが特徴。体長ではコウテイペンギンに軍配が上がるが、クチバシとフリッパーはキングペンギンのほうが長く、スマートなそのフォルムは目を奪われるほどに美しい。
屋外散歩といったイベントでも人気があり、『ペンギン展示の華』と呼べる存在だろう。




