最後の戦い
あと1話・・・あと1話
「どうしたら・・・俺」
結局剣が上手く引けない。
まだ決めれていない。
覚悟の無さを自らとても嫌という程感じる。
ソルーを殺すことに戸惑っている。
人生に後悔しない道なんてない。
人間は必ず一度は後悔する。
しかしそれが永遠付きまとうと考えると。
「なぁ・・・くっ!う・・・」
フェークはさっきから声にならない声を出している。
自分の信じる物は本当にあっているのか。
それがわからなくて頭が痛くなる。
フェークは大剣を落とし頭を抱える。
その様子に心配とさっきまでの恐怖が重なり足が震えて動けないソルー。
2人は似ているのか。
「俺の信じる物は何なんだ!」
そう叫ぶしかできない。
床を四つん這いで立ち床を殴り叫ぶ。
もう考えても自分の信じるものが分からなくなってきている。
ソルーは何か決意したのかフェークの元に近づきヤンキー座りに近い形でフェークの元に座った。
今疑念の念で潰れかけているフェークにソルーは温かく抱きついた。
「・・・ソルー?」
「・・・泣かないでください・・・あなたの泣く姿なんて見たく・・・ありません」
「・・・・・・なぁ俺どうしたら良いんだ・・・」
「あなたの信じる物に忠実になってください」
フェークは本当は言いたくなかった事実をこの温かさを前につい吐露してしまった。
「俺、お前の父に選ばされているんだ・・・」
「何をです?」
目がこの一瞬で真剣になった。
よっぽど気になるのだろう。
「妹を殺すかお前を殺すかだ・・・ごめん・・・ごめん・・・ごめんな・・・え?」
「なら私を殺してください!」
ソルーはフェークに力強く抱きついた。
とても温かい。
このようなこと今までになかったぐらいだ。
しかしそのような雰囲気とは裏腹に声にとても覚悟を決めた事を感じる。
「・・・どうして」
最初に出たのは疑問だ。
普通なら嫌だと言うはずなのに真っ先に言うということに驚きだ。
「私はあなたに1生涯の幸せを得れました・・・もうこれ以上望むものはないくらいです」
「・・・ならなんで」
「私はあなたに笑って欲しいのです」
その目は慈愛に満ち溢れている。
優しさが逆にフェークに罪悪感を強めてしまう。
「・・・でもお前にも死んで欲しく無いんだ!欲張りなんだよ・・・怪盗だから!」
「なら怪盗らしく盗んできてみては・・・妹さんを」
「・・・俺にそんな実力・・・え!」
次はマスク越しだが口付けをしてきた。
急なので本当に驚きだ。
しかし口付けが終わり顔を見ると笑顔のままだ。
「あなたは強いです・・・私に勿体ないくらい・・・あなたの信じるものを信じてください」
「・・・俺馬鹿だったのか・・・ふ、こんなにも愛してくれる人が居るって・・・幸せだ」
「ならもっと甘やかしますよ・・・あなたをダメにしちゃいたいです」
その声は妖艶さがある。
最後の言葉は耳元で囁かれたので破壊力も抜群だ。
さっきとは違う意味で気まずくなりそうだ。
しかし現実はこのような甘さとは対比しているかのように残酷だ。
フェークはシラフに戻り大剣を持ち1度ソルーの元に去ろうとしたら後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
今1番許せない敵の声だから脳裏に熱くそして大きく焼き付けられている。
「やっぱりね・・・結局決めれてないのはわかるわ」
「・・・!?き、貴様!」
後ろを振り向くともう既に変身済みのシギュンがソルーを首を絞める形に捕まえている。
「さぁここで決めて貰います・・・ここでソルー殺すか・・・生かすか」
審判の時は近い。
フェークは深呼吸して腰のホルスターに掛かってあるピストルを取り出し構えた。
「俺は・・・俺は・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ノルンが起きた時には既に割れ目はできていた。
起きたのは周りの悲鳴で起きるという最悪の目覚めだ。
「・・・うん?あれクリートさんは」
まだ寝ぼけているが部屋から出るとヴェルとスクルドは血相変えて支度をしている。
まだ脳が上手く覚醒していないノルンはその行動に疑念すら覚えている。
「何・・・もう遅刻なの・・・まって」
「ノルン君!今割れ目ができたの!だから急いでるのよ」
スクルドは過去一焦っている、よく見ると冷や汗をかいているのも見えた。
ヴェルも普段と違いかなり急いでいる。
無言でノルンの用意もしてくれている。
「ノルン急いで!」
「わかった!ヴェル」
ノルンもいつもと大きく違うヴェルに言われ急いで用意をしだした。
まずノルンの1番気になることはクリートの事だ。
「クリートさん・・・」
「大丈夫だよ、クリート君は強いもの」
そう呟くと励ますかのようにスクルドが言ってくれた。
今の現状にそのようなことはとてもありがたいことだ。
「・・・ねぇコテージって今開いてる?」
ノルンはある大事なものを忘れていた。
前の割れ目事件力の無さを大きく実感したこととコテージでクリートが作っていたものを思い出し聞いてみた。
「たしか開いているはずよ」
マームがそう言ってくれた、よく良く考えればトランスが居るので開いているのは確定だ。
「ありがとうございます」
いつものように明るい声ではなく鬼気迫る声なので少しみんなビクッとしてしまう。
コテージに着くとやはりあった。
この3人の戦力不足を補う道具が沢山ある。
「みんな来て!これを全部投入すから持つの手伝って!」
コテージから家の中まで普通に声は届くので大声で叫んだ。
ノルンの迫力に押されみんな来てくれた。
コテージ内にあるのは前作ったクリート作AI兵達だ。
操作はリモコンでできそれもオンオフと敵をロックオンさせるだけなので操作が簡単。
そのAI兵に大量にある腕時計型バックルを付け変身させると圧巻だ。
100体近くある。
「これなら私達でもやれるよ」
「ノルン君の言う通りだね、でもこれいつ知ったの」
「クリートさんに教えてもらったの・・・あとはこれを持っていくと」
取ったものは前フレド、フェークに実験させたドライバーだ。
「それって試作品じゃ」
「今はこれしかないの・・・あれ、忘れてたけどウルズさんは?」
「もう行っちゃったよ」
そうウルズはこの状況が危険なことを瞬時に理解しそれと同時に出ていったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あのマームさん、これを使ってください、一応敵にマーキングするだけで良いのでやってください」
「そんなことで頭下げないの・・・わかったよじゃあ生きて帰ってきてね、みんな」
ノルンは頭を下げて頼むとマームは笑顔で送ってくれた。
少し目には不安もあるがそれを上回るほどの自信がマームの目にある。
「じゃあみんな行くよ!」
スクルドがそう言うとみんな家を出た。
ここからこの物語最後の戦いが始まる。
もう後悔なんてしている暇は無い。
お互いの信じる正義を信じるしか道は無い。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




