実験
新たなる力
クリートが作った新たなる変身用バックルは誰でも使えるをモットーとしている。
最初は作った本人のクリートが使う。
ちょっとリモコンをホルスターに刺すのに戸惑っていたが成功した。
調子に乗ってノールック変身を試みようとしていたのが原因だ。
「これを、こうして、よし変身」
「面白いくらいに手間取ってたな」
「うるせぇフレド、口縫うぞ」
「ツンデレなんだから」
「そろそろ殴るぞ」
「すみませんこの状態で殴られると腹に穴空くので」
調子に乗って謝るまでのスピードは世界一だろう即落ち二コマに近いものがある。
これを機に慣れないことはしないでおこうと心に誓った。
クリートが変身した姿は見た目は黒と銀の見た目だ。
割とごちゃごちゃしていなく本当に要らないものは全部捨てたシンプルで無骨なデザインとなっている。
しかしフェークは一つ気になる点がある。
それはフレドも同じだろう。
「なぁクリート、武装無くないか?」
「武装はまだ作ってないんだけどね、まぁ後々作るよ」
ひとまず動作確認はできたので次はフレドに渡すことにした。
クリートが毒味役になったおかげで安全は少なからず保障されているため安心して変身できる。
「クリートこれつけるのにすげぇ手間取ってたよな、じゃあやるよ変身」
クリートと違い手間取ることなくリモコンをホルスターに差し込めた。
若干煽られたことによるイライラはあるが今は実験をすることが先だと心に刻み込みフレドの変身を見届けた。
フレドも失敗することなく変身ができている。
「こりゃいいな、体が動かしやすいよ」
「褒めてもらって光栄だ」
「たまには照れるの可愛いな」
「無理やり抜くぞ」
「やだお下品」
「てめぇ」
このままだと実験中に喧嘩を起こしそうなのでフェークが間に割り込み
「はいはい、次は俺だな」
「そうだな、フレド早く抜いてくれ」
「了解了解」
フレドはリモコンをホルスターから颯爽と抜きフェークに2つとも渡した。
フェークはさっきの2人のやり方を見ていたため手間取ることなく素早く着けて変身までできた。
「うおー!動きやすいなこれ」
「そうだろそうだろ!」
「俺のやつより動きやすいよ」
「凄いよなこういうのを普通に作るクリートは」
「急に褒められると怖いものがあるんだが」
「うっせぇこういうのは静かに受け取って喜ぶものだよ」
「お前のさっきの件があるから怖いんだよ」
フェークはもう良いかと思い変身を解除した。
クリートもそれに気づきフェークから2つを返してもらった。
我ながら良い品物を創ったとクリート自身考えている。
自分で自分を褒めたい。
「ひとまず実験終わったから帰っていいよ」
「俺たちにご褒美は?」
「すまん頼んでおいている身だがそんなものは無いよというかフレドはそれ目的に来たのか」
「ケチだなぁー」
「まぁまた今度奢るからそれで帳消しにしてくれ」
「しゃあなしよ」
クリートは2人を帰らしバックルを見ながら少し余韻に浸ることにした。
(まぁ使うかは置いて中々良いもの創ったな)
出来栄えがまぁまぁ良いので自画自賛もしたくなる。
しかし数分経つと少し恥ずかしさがでてきた。
ずっと自分を褒めているとか自分好きにも程があると思い1度コテージから出た。
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割と早めに終わったのでフェークはソルーの居る病院へと足を運んだ。
(だいぶ無理矢理病院から出たからキレてなかったらいいのだが)
そんな弱気な気持ちをまた持ちながらソルーのいる病室へと向かう。
でもそのような弱い気持ちを持つ自分は病室前に捨てて入ることにした。
フェークのことを尊敬してくれているソルーに失礼なことだからだ。
病室に入ると雑誌を読みながらまるで待っていたかのようなオーラを出しているソルーが居た。
病室のドアが開くと喜んだ声で
「フェーク君!」
フェークはソルーの顔を見るとまるで飼い主が帰ってくるのを待つ子犬のような顔で少し和んだ。
フェークを見ると読んでいた雑誌を近くのテーブルに置き近くに来るのをずっと待っている様子に変わった。
(本当に甘えると犬みたいになるな、しっぽブンブン回しているようなオーラだよ本当に)
大型犬と小型犬を混ぜたような本当は甘えん坊な性格のソルーなのでもっと甘えてやりたいという気持ちで一杯だ。
「意外に早く来ましたね」
「あぁ、すげぇ早く終わったからな、早く終わって悪いか?」
少しからかうことにしてみた、その時の焦り具合も可愛いところのひとつなので。
「そ、そんなことは思ってもありません!」
「本当かな?」
少し悪戯心に火がついたフェークはもう少しからかうことにしてみた。
それとは一変して涙目のソルーはかなり対比している。
「信じてください!」
ソルーはそう言うとポコポコと擬音が飛びそうな殴り方でフェークの足を殴った。
全然痛くないしむしろ可愛すぎる。
「わかってるよ、少しからかってみただけだ」
「うぅ、ずるい」
「悪かったよ、まぁ俺も早く帰れて嬉しいこと限りないよ」
「最低、悪魔、鬼」
布団を被りそうブツブツと呟くソルーの姿さえ可愛さを覚えるのはもうだいぶ心を奪われている証拠だ。
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時は経ちソルーの退院日。
体育祭の1日前に退院出来た。
ソルーは退院の諸々のことを済まし病院から出ていくことが出来た。
病院前にはフェークが立っている。
その姿を見かけると飼い主に向かう子犬のように走り出した。
「フェーク君!良かったです体育祭1日前に退院出来ました」
「体育祭行けそうか?」
「いけますよ、無理しない程度に頑張ります」
「そうか、よーし今日はピザでも頼むか」
「大丈夫ですよ、私作れますので」
「病み明けの人に無理させられないよ、行くんだろ?今日はゆっくりしてろ」
「わかりました」
少し納得してないような様子だが明日行けなくなるよりかはマシだろう。
そうこうしている内にもう一夜が明けた。
時間が経つのは早いものだと若い人なのにそのような境地にたってしまった。
(さぁここでいいとこ見せるか)
そう心に誓い学校へ向かうことにした。
新たなる力
名前モージ
名付けクリート
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




