敗北
ジャキン!
鋭い斬撃音が辺りを包んだ。
鉄と鉄がぶつかり合う大きな音だ。
食らったのはもちろんながらロキに向かい走って来たクリートだ。
しかし今までのクリートならこの場でひるんでいたが今は違う。
クリートは斬られても走り出しロキに一撃加えれた。
「な!」
「けっ!まぁこれくらいはやらないと気が済まないのでね!」
ロキはクリートの成長を敵ながら感心している。
しかしロキはクリートの斬撃は全くと言っていいほど効いていない。
装甲がかなり硬いせいかそれとも浅かったか、わからない。
「甘かったな、考えが全て」
「・・・まだだ」
クリートはスピードフォームのガントレットモードとなりまた走り出した。
「またあれか!どれだけやっても無駄なんだよ諦めな」
「さぁな?果たして俺がずっと昔っから一緒だと思っているのか」
「な!?・・・!?動かない」
ロキは動けないことを知った。
ロキはクリートが領域というものを自らで見いだしそれを活用していることは到底知ることは出来ない。
「喰らえ!はぁ!」
「こ!こいつ」
クリートはジャンプキックを与える体勢になっている。
ロキは何とか体を動かそうとしていたが動かない。
もう当たる寸前にやっとロキは動き出せた。
多分クリートの心の緊張がほんの少し緩んだのが原因だろう。
クリートはこのことを何一つも予測していなかった為かなり焦りの声が漏れてきている。
なぜ動けるようになったのか理由もわかるはずもない。
クリート自身この状況を今まで戦っていた敵が領域を克服することはしなかったので焦りとして捉えているが実際は違うことは知らない。
「しまった!」
「これはもうあれしかできないか!」
ロキが行った行為はキックされる寸前にクリートの腰につけてあるメーターみたいなベルトを斬ることだ。
どうなるかは全く分からない。
でも死ぬより抵抗するのが1番だ。
クリートはその事を知らずそのまま必殺技のようにキックを与えることは出来た。
「喰らえー!」
「ふん!」
2人の接触の瞬間爆発が辺りを包んだ。
爆発の煙が少し消えかかっている時に1人の男の姿が見えた。
ロキだ。
しかしロキも元気と言うにはあまり良くない状態だ。
あのキックで体中に電流が走り全身軽いやけどのような状態なためフラフラしてきている。
でも食らっただけではなくちゃんとクリートのメーターベルトを斬ることは成功させた。
クリートはそのロキの攻撃によりメーターベルトを斬られ強制変身解除をされてしまった。
爆炎の中クリートは倒れている
「へ、変身!」
「ま、まだやるのか・・・こいつ」
決して大怪我な訳では無いのですぐに立ち上がりまた変身しようとするがアーマーが出ない。
「ど、どうして、どうしてだ!」
「君?もう諦めろ」
「諦めるか!こんなところで!」
どれだけ押すが結局アーマーは出ることがない。
その時何かを思い出した。
変身解除された理由となった攻撃の箇所を考えてみるとメーターベルトがあるところだ。
そのため導き出された結論はメーターベルトが無いので変身出来ない。
クリートはそう考えると体から血の気が引く感覚を感じた。
「そ、そんな」
「さぁもう諦めてこの場で死ぬか?散々俺たちの邪魔をしやがって」
「くっ!そんな簡単に・・・くそ!」
クリートはもうこの場で死ぬという激しい絶望と激しい悔しさでいっぱいだ。
(こんなところで・・・志半ばで・・・すまんノルン!言えそうにないよ、俺の気持ち)
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ソルーは周りを見回すとトンファーが有線接続なのを見かけた。
もしかするとトンファーを繋いでいるチューブを切り取ればなにか起きるかもしれない。
そう確信したソルーはなにか切れるものを探した。
しかしフェークは今シギュンの攻撃のせいで座っている状態、早く見つけないとやられてしまう。
「くらえ!」
「うん?カバンを投げた?」
「ソルー!何してる!シギュン、こっちだ」
ソルーが投げたのは自分が持っているカバンだ。
シギュンがソルーの方を向くと自然にフェークがシギュンの真後ろを取れることを利用した作戦だ。
真後ろを見るとトンファーが有線接続なのが丸見えなので勘の良いフェークなら気づくと思うことを信じてやった。
「あんた、本当に面倒なことしないと気が済まないのかい!」
「フェーク君!トンファーの有線接続部位を斬って!」
「そういう事ね!ありがとなソルー」
やっぱり不安だったソルーはフェークにその事を伝えた。
そしてこの行動のおかげでソルーは攻撃されず、少しだけだがシギュンが止まる時間を作り攻撃に余裕のある時間を生んだ。
フェークはナイフでトンファーに接続されているチューブを斬り取ることに成功した。
シギュンは1度変身を辞めて公園へ戻った。
それを追うかのようにフェーク達は公園に戻るとボロボロのロキとクリートが居る。
さらにサイレンがなり始めた。
音的に警察だ。
「ここにいる人たち!早く帰れ!爆発音がすると聞きここまで来た!」
しかしロキ達はもう一度変身し警察のいる方へと向かった。
警察達はその見慣れない姿に焦りリボルバーを持ち後ろへ避きつつある。
しかしそれでもロキ達は歩き出している。
「お前らの世界は要らないんだ!計画の邪魔をするな!」
ロキがそう言うと思いっきりロキの殴った拳が警察に当たった。
相手は生身な為パトカーのボンネットに体が落ちた。
音がとても大きくそこから火力の大きさが伺える。
クリート達はやばいと思い急いで向かうがもうロキ達が警察たちを滅多打ちにしていた。
剣で刺し殺したり打撃で気絶させたり車に投げ込んだりと散々な状態だ。
クリートとフェークは止めるが全く止まる気もない。
「止まれよ!」
クリートはそう言うとロキの後ろに立ち後ろから拘束しようとしたが近くにいたシギュンの正体に気づかずに脇腹をトンファーで殴られ1発KOでやられてしまった。
トンファーの先端は尖っているため脇腹から血が滲んできている。
クリートは脇腹を抑えながら倒れてしまった。
フェークはそれを見てしまい焦りの気持ちが出てきている。
そのため少し隙ができてしまった。
「クリート!」
「隙を見せたのがお前の敗北だな!」
「はっ!?」
その一瞬の隙が命取りだったフェークの後ろにロキが居た、剣を振りかざす5秒前だ。
フェークは後ろを見た時にはもう振り下ろしており角度的にも致命傷になりそうなところだった。
剣のスピード、角度全てにおいて完璧な斬撃方法だ。
(やられる!)
そう目を仮面越しにつぶるとどこかから突き飛ばされた感覚がした。
目を開けると目の前に致命傷ではないが斬撃を受けてしまったソルーが居た。
血を吹き出しフェークを助けていたのだ。
その時フェークの頭は真っ白になった。
なぜソルーが助けたのかそして自分は何をやっていたのだという自責の念に押しつぶされることしか出来ない。
しかし警察の第二波が来たためロキとシギュンは逃げ出した。
多分これ以上の戦闘は面倒だと言った判断の結果だろう。
的確と言ったら的確な判断だ。
結局3人は何も出来ず2人を見逃してしまった。
もう戦闘の疲れが溜まっていたのだろう。
警察が来てクリートとソルーは警察官の適切な対処を受けすぐに病院に運ばれてしまった。
その後すぐにロキとシギュンを追うために警察官はパトカーを動かしまたどこかへ去ってしまった。
これらの一件をただただ見ることしか出来なかったフェークは悔しさしかないだろう。
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クリートは今回は入院することなくすぐに退院できるようだがソルーは少し入院するようだ。
病院に出る前にフェークと会ったクリートは
「ソルーは大丈夫なのか?」
「一応致命傷ではないけど一応確認のための入院みたいだ、とりあえずできる限り居るよソルーと一緒に」
「ごめん・・・俺がもう少し強ければ」
「クリートは悪くないよ・・・とりあえず変身できないということが1番不安要素だ、早く変身できるようになれよ」
「そうだな・・・じゃあお元気で」
「お前こそ怪我もうするなよ!」
フェークはソルーの居る病室へ向かうことにした。
フェークは嫌われたかなとかマイナスな気持ちを持ったまま病室に入ることになるだろう。
この傷も結局自分の不注意のせいで起きたことだから尚更罪が重く感じる。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




