歪みの埃
ウルズのことがありドタバタで始まった今日1日だが結局何事もなく学校は終わりクリートは家に帰ることにした。
今日は早く帰ってウルズのことをマームに話さないといけないので出来るだけ早く帰りたい。
「おう!そんなに急いで何かあったのか?」
何も知らないフレドが話しかけに来た。
確かに忙しそうな様子であるのは確かだ。
「ごめんな、今日はどうしても外せない用があるんだ」
「お前が外せない用ってそうそうないよなぁ」
「なんだよ俺を暇人みたいに扱いやがって」
「ははは!ジョークジョーク」
「お前の場合だと嘘か本当かたまぁに怪しいラインついてくるからほんと怖い」
「すまんすまん」
フレドは笑いながらカバンを持ち帰ろうとした。
一応フレドと毎回帰る時少し寄り道をしながら帰ってるためそれを今日は辞めるだけなので帰ること自体は普通にする。
毎回寄り道してどこに行くかと言うとジュースを自動販売機で買いそれを飲みながら帰っている。
ちなみになぜ自動販売機があるのかと言うとこの世界は現異混合。
この現実世界にあるものは大抵ある。
人間は常に取捨選択をして生きている。
そのため必要な物は使い必要では無いものは使わない。
これがこの世界のルールみたいなものだ。
話が逸れたがクリートはフレドの後を追いそのまま教室から出た。
しかし学校の正門前にウルズが居る。
「あれ?お前なんでここにいるんだ?というかどこから・・・」
「ターゲットの情報を知らない追跡者なんて居ないでしょ・・・あなたが変な行動をしないか見に来ました」
クリートはただでさえ面倒な状態がさらに面倒になりそうな気がした。
フレドはずっとクリートに「誰なんだ?教えて?」と聞いてくるのでウルズを黙らせれる最強の一言を放つ。
「家貸さないぞ」
「すみません、本当にすみませんこの通りです」
ウルズは流れるような綺麗な土下座を見せてくれた。
クリートはその潔さがすごいなと思いつつウルズを立ち上がらせ一緒に帰らすことにさせた。
歩いていきクリートとフレドは家の方向が違うのでクリートの家近くで2人は別れた。
2人で帰っている時ウルズはクリートに対して気になることがひとつある。
「ねぇ、どうしてクリートは戦うんだ?」
「死にたくないから」
「でも戦闘でたくさん死にかけてない?」
「最初から殺されるくらいなら生存の可能性がある方にかけたくなるだろ、そういうものだ」
「それで戦うのすごいよ、いつ見ても死ぬのが怖くないように見えるし」
「俺だって人並みに死ぬのは怖いさ・・・だから血反吐吐いたり過酷なことしてでも必死に生きるんだ」
クリートにも恐怖や意思はある。
ああやって命を捨てそうな行為はしているものの実際は死ぬ事が恐怖なことを聞きウルズは少し驚きを隠せない気分だ。
しかしクリート自身このノルンの任務について少し気になることがあった。
「ひとつ聞いていいか」
「何?」
「この任務最初は俺を殺すだけで終了だからあんまし気にしてなかったけど・・・今俺が報告書でも書かれてるけど安全な人間って決まりテロリストを潰す展開に入ってるのになぜ特殊部隊100人しか来ないんだ?」
クリート自身このことはだいぶ引っ掛かりを見せている出来事だ。
ノルンの報告書をちゃんと目を通しこうやって怪しまれても安全ということをちゃんと報告しているはずなのになぜテロリストに対して100人の特殊部隊しか送らないのかが疑問しかない。
しかしウルズ自身も頭に疑問符を載せている顔だ。
「確かにそれは私自身も謎だわ」
「偉いさんでもテロリストの戦力はわかってるはずなのにあまりにも楽観的すぎるじゃないかな」
「うーん、確かに私もその事が原因で何回か偉い人に聞いたのだけどのらりくらりされて結局それらしきことは何一つ掴めずよ」
そしてクリート自身テロリストがこの時間軸に攻めてくる理由もまだよくわかっていない。
その事が尚更このことを謎にする。
「なんでまずこの時間軸にテロリストは来るんだ?それが一番の謎なんだ」
「確か説明だとあなたのその兵器が気になるから襲うって名目があったけど実際は死にかけてるし関係無さそうよね・・・」
その時クリートには考えたくもない1つの考えが浮かんでしまった。
これに関してはノルン達が所属している組織の不信感を仰ぐものだ。
「もしかするけど組織が嘘流してないか?」
「・・・・・・信じたくないけど薄々私も気づいてきたの」
「やっぱりか、でも証拠がないのがタチ悪いなというかなぜ女子だけ送るんだ」
「ちょっと気になるし明日から調べてみるよ・・・テロリスト襲撃事件にも関与してそうな気がして・・・良かったよ私と同じ感性持っている人がいて」
「俺も嬉しい限りだ」
そう笑うとクリートは先に家に入りマームに色々話をした。
今日のこと、ウルズのことを全て話した。
結果は・・・
「okだ、家の家事手伝うのなら全然OKみたいだ」
「ありがとうございます!」
その時ジャストタイミングにノルンも帰ってきた。
クリートはノルンにも同じ旨を伝えたが反応が逆だ。
クリートはノルンのその対応に違和感を覚え
「べ、別にいいじゃないか・・・何か悪いことでも」
「クリートさん、彼女・・・壊滅的に・・・」
「壊滅的に・・・?」
この話的に深刻な話なような気がして唾を飲み込み覚悟したが確かに深刻っちゃ深刻な話だ。
「彼女は壊滅的に家事ができないのです!」
「え、・・・えぇ!それなら先にそう言えよ!」
「・・・つい・・・恥ずかしくて・・・」
「変な見栄はらなくて良いから!ちなみ度合い的には」
「一瞬で周りを混沌(ゴミ屋敷)に変える程度の能力よ」
「うわぁ、中々ッスね」
「やめて〜!」
ノルンは呆れ半分笑い半分の声でウルズにとっては恥ずかしくてたまらないものをどんどん告白していった。
「だから私週一でかたづけにきてたじゃないです、次来る時はだいたい汚いけど」
「本当に・・・やめて」
顔が赤くそれを隠す姿は少し可愛げがある。
しかしノルンにとってはその掃除は拷問そのものだったのだろう。
なんとなく関係の悪い理由がほんの少しだけ理解出来た。
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ウルズは家に入ると素直にマームにそのことを打ち上げた。
しかし怒りなどはなく優しい雰囲気で迎えに来てくれたのがウルズにとっては意外だったようだ。
「なら、最初から言えば全然OKだったのに」
「す。すみません・・・変に強がって」
「人間完璧な人なんていないわ・・・多少ドジ踏む部分があれば可愛ものよ」
「少しは、恥ずかしいです」
多分この反応的にウルズはまた二度と同じ轍を踏まないように気をつけるだろう。
割とウルズにとっては羞恥の塊のようなものを晒されてしまったのだ。
これで学ばなかったらドMか馬鹿に成り下がる。
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クリートは寝てる間に今日ウルズと話したことを自分の中で整理して考えた。
(もし仮定だがテロリストの内容を知ってここにいれると考えてみたらあいつらは・・・捨て駒?)
よく良く考えれば組織の人間の投入以外に何一つ組織からの支援を受けてすらない。
普通なら苦戦すれば人材や武装などを投入してくれるがそれがない。
もしそうだと確定させるとノルン達は捨て駒としてこちらに送られた可能性が高くなる。
しかしそう考えるとなぜ重要なテロリストに対し舐めた装備で行かせるのかが疑問に上がる。
(もし・・・テロリストと組織が深い繋がりがあると仮定したら・・・テロリストの武装や大型襲撃になんとなくだが理由がわかったぞ)
もしかするとこのノルン達の所属する組織は叩けば叩くほど悪事という名の埃が大量に出まくりそうな気がする。
(後はもうウルズの調査結果を見て考えるしかないか)
クリートとウルズを含まない全員この事実に気づいてない。
もしかすると心の底では気づいているのかもしれない。
だが考えたくないゆえに何も言わないだけなんだろう。
「ノルン、お前を守るためだ許してくれ」
そうつぶやくと1度頭の整理のため寝ることにした。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




