体育祭前だ!
「もうそろそろ体育祭だな・・・クリートは何かやるのか?」
「もうそんな季節なのか・・・全然気づかなかった」
突如のフレドの告白にはすごく驚いたものだ。
クリートは一応学年予定表には目を通して何となくのイベントの時期等は理解していたつもりだがノルンが来て以降色々と忙しくそのようなことすら忘れていた。
運動自体は嫌いでは無いしなんなら好きなクリートにとっては割と嬉しいニュースだ。
でもこの校の競技が何一つ知らないからそれが怖いところ。
ちなみに後に思い出したがこの体育祭後割とすぐに文化祭もあるのでこの時期は1年で一番忙しくなるだろう。
しかしまだ学校が壊れたままなのにやることに少し違和感を感じている。
「でもそうか?学校まだ別棟ぶっ壊れたままなんじゃ」
「それがさ授業中も作業するってことを聞いたんだ」
「マジかよ」
多分轟音で集中とかできない気がする。
でもずっとこれだと先生達も面倒くさいし早く直ればすぐに普通の生活に戻れると考えたらまぁ普通な選択だろう。
「でも体育祭だろ、そのうち話しはされると思うしそれまで気長に待つよ」
「まぁお前らしいっちゃらしい考えだな」
「それ褒めてるのか?」
「褒めてるよ」
「皮肉言ってるようにしか聞こえねぇ」
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ちなみにいち早く読者のためにこの世界の普通の体育祭を説明します。
1・学年別対抗戦
2・競技はこの現実世界とあんまり変わらない
3・1年生の方が最高学年より若干点数が多く貰える
(1年生の方が体格や体力的に不公平なため)
といったのがこの世界の普通の体育祭のルールだ。
あまりルールが変わらないので普通の体育祭だと思ってもらって結構です。
では元に戻りますね。
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今日の最後の時間に体育祭の話が先生から来た。
「今日から体育祭の競技を決めますので・・・とりあえず友達と話し合って決めたら楽しいので友達と決めてみてください、決めたらここの黒板に名前書いてくださいね」
陽キャからしたら神みたいな先生だが陰キャからすると地獄のような時間が待ち構えていた。
この先生は生徒人気が高くそして若いので今の在校生の気持ちややりたいことを鷲掴みにしてくれる。
クリートももちろんこの先生のことが好きだ。
やはりフレドとフェークはこちらに来た。
「クリートどうするんだ?」
「俺は適当に目立たず楽しいやつ出るよ、例えば借り物競争とか・・・お前こそ何出るんだ?」
「俺か〜」
フレドは全く決めていないようだ。
無計画さはいつもの事なので何も思わない。
多分それがバレるのが嫌なので急いで「フェークは何にするんだ?」と話を変えた。
まぁクリートは気づいているけど。
「俺か、俺は・・・まぁ普通に100メートルとか出ようかな」
「それなら良いとこ見せられるね」
「殴るぞ」
フェークは拳を握り構えた。
「はいすいません調子に乗りました」
いつもならここでソルー達が来そうだが以外にもノルンと一緒に話している。
2人とも笑顔で話しているため本当に微笑ましいこと限りない。
目の保養になるなとか思いながら見ていた。
意外な組み合わせで少し見ていたフレドが茶化しに来た。
少し気を緩めすぎていたようだ、若干反省している。
「おいクリート、ソルーは・・・と思ったけどノルンはお前の人か」
クリートは筆箱にあるペンを取りだしフレドに突きつけた。 (良い子はダメよ)
「このまま俺の持つペンで刺すかその口閉じるかどっちにする?」
「はい口を閉じますまじですみません」
「とかいうお前にはフレイヤ居るじゃねぇか」
「フレイヤはもはや家族みたいなものだから」
「それこそ茶化されそうなんだがな・・・まぁ周りにバレてない分茶化されないのが本当にタチ悪い」
フレドは笑いながら誤魔化そうとしたが多分体育祭にフレイヤは来るだろう。
それ経由でバレる気がクリートにはする。
それはフェークも同じことを思っているそうだ。
「で結局どうするんだ、俺とフェークはもう考えたぞ、後はお前だけだ」
「難しいよなこういうのを決めるのって・・・うーんクリートはどうやって決めたんだ?」
「そう聞かれても難しいな、まぁとにかく楽なやつを決めたいからな」
「お前運動好きか嫌いか本当にわからないやつだな」
「俺は周りで応援するのも好きなだけだ」
「ますますわからないやつかしてきてるな・・・はぁどうしよう」
フレドが頭を抱えて悩んでる姿はあまり見かけない。
良い意味でも悪い意味でも考えたりしないヤツ故こういう姿は貴重だ。
例えると新しい服買ってタグ切ってなくそのままタグがずっと見えるような人間性。
フレドはフェークに聞こうとするために周りを見回した。
しかしフェークが見回しても居ない。
もしかしたらとノルン達の方を向くとやはり居た。
ソルーと楽しそうに喋っている姿は熟年夫婦のようだ。
フレドはフェークの方に首を向きながらため息混じりに
「このバカップルが・・・」
と呟いた。
これに関しては同感だ。
無意識でこれなんだから本当に意識したらえげつないことになりそうな予感がする。
そう2人はこの場でまた考えた。
やはり2人がストッパーにならないといけないのかということが本当に疲れる。
「結局決めたのか?早く決めなくちゃもう空きが無くなるぞ」
ここまでずっとフレドと居るクリート。
空きが無くなると言っているがクリートこそフレドに付きっきりで狙っている競技に名前が書いてないことに気づいた。
「お前こそ書いたのか?」
「フェークについでに書かいてくれるって言ってたからお言葉に甘えて」
「じゃあ元凶お前じゃねえか」
「たしかにな」
結局フェークがああなった原因は全てクリートだった。
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何とかして借り物競争になったフレドはかなり疲れている。
それはクリートから見ても分かる。
そうして授業が全て終わり下校の時刻へとなった。
クリートはカバンを持ちノルンと話している。
「一緒に帰りましょ!クリートさん!」
「そうしたいのはやまやまなんだがちょっとフレドと帰るよ・・・」
「もー昨日もでしたよ!明日こそ」
「わかった埋め合わせは何とかするよ」
「やったー!」
「貴様!ずるいぞ!」
ノルンの後ろからにゅるっと現れた。
なんかこういう会話時はこうなる暗黙の了解があるのか知らないが。
「これは私とクリートさんの契約みたいなものなんです!」
「なら私も契約したい」
「ひとつ言いますが絶対変なものにしないでくださいね」
「・・・子供・・・」
「やっぱりかー!」
ノルンがヴェルの口を抑え込みその後の言葉を喋らせないようにした。
「ううう」
「あんたの対応が1番疲れます!」
ヴェルは小声と涙目で人間性に訴えた感じに「ずるい」と言うと普通に教室に居るスクルドに「はいはい帰ろうね」と連れられた。
ノルンはスクルドについて行くように帰る。
クリートは「相変わらずだがうるさいな」と呟きながら倒れているフレドを起こそうとするが動かない。
しかし急に声を出したが今にも死にそうな声でクリートに話しかけた。
「頭久しぶりに回転させたわ」
「ならもっと使え」
「そうよねー」
割と冷たい言い回しのように聞こえるが実際そうなので変にフレドは口出しできない。
「なぁ?」
「なんだ・・・早く帰らないと先行くぞ」
「冷たいなぁ、ひとつ聞きたいんだ」
「何をだ?」
「お前結局ノルンとどういう関係なんだ?」
「最期に言いたいのはそれだけか」
腕時計型バックルを構えながらクリートは言った。
かなりドスが効いた声なのでマジでやりかねんと理解できそう。
「待て待て!これに関しては純粋な疑問だ!」
「そんなに気になるのか・・・」
「だって少なくともノルンはクリートのこと大好きだと思ってるだろ」
「・・・確かにな・・・若干信じにくいが」
「それでお前はどう思うんだって話?」
「俺が・・・うーん」
「まぁ結果は早くは聞かないぞ、もっと遅いタイミングじゃないと面白くないし」
「そういうものかね」
クリート自信ノルンのことは友達を超えた何かを持っている気がするような感じはある。
でも今のクリートにはその気持ちをどういう気持ちなのかは何となくでしか分からない。
それも1番クリートが避けてきたいと思ってた煩わしい関係になるかもしれない感情を持っていた。
ドキドキ反面そんな自分が嫌な面もある。
(どうと言われても・・・)
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)
ちなみにノルンとクリートは出る競技が一緒
ヴェルは普通に100メートル走に出るそうだ。
スクルドはリレー
フレドはクリートと一緒
フェークは100メートル走
ソルーは障害物走だ。




