挑戦できない自分にさようなら
砂糖ズドーン
フェークは重い口を開けた。
ここからは後に退けない。
覚悟はきめてある。
恐れるものは何も無い。
そう心に強く言い聞かせるしかできない。
「ソルー、俺はずっと逃げてきたんだ」
「・・・何をです?」
顔は笑顔のままだ。
曇りひとつない笑顔が逆に焦燥感を掻き立てられる。
「お前のことが好きという事実に・・・俺は自分でも分からなかった・・・好きになる感情を」
「・・・」
「俺が最初からお前に惚れていたなんて口が裂けても言えなかったんだ・・・今この場だから言える!俺は最初から好きだったんだ」
「・・・その言葉を待ってました」
ソルーの声に少し嬉しさを感じる。
多分ソルーは気が狂いそうになるほど待たせてしまったぶん喜びは凄まじいだろう。
焦れったい思いをさせた事は本当に申し訳ないとしか言いようがない。
「でもわからなかった!好きなんて、何一つ」
「・・・わかってますよ、接し方が他の男子に比べてフレンドリーさを感じさせられましたので」
「最初からわかってたんだな・・・じゃあ俺は負けていたということか」
「ふふふ、そういうことになりますね」
俺は本当に馬鹿だった。
ソルーはずっとフェークに勝っていたのだ。
勝手に勝っていた気でいた自分が恥ずかしい。
そのソルーの声は少しイタズラっぽい声に聞こえる。
今までソルーの上で遊ばれていたことに驚きつつ何故そこまでしていたのか気になる一方だ。
「ひとつ聞いていいか?俺の事いつから好きになったんだ?」
「・・・雨の日に私の過去をぶちまけた時あなたが私のことを慰めたり色々としてくれたじゃないです?」
「あったなぁ、そんなこと」
「その時私はあなたしか居ないと感じたのです」
まさかそれほど昔から好きだということに驚きを隠せない。
だとしたら自分はそれも感じることが出来なかったのかと思うと悔しさで1杯だった。
「フェーク君は私に生きる希望をくれたのですよ?気づきませんでしたか?」
「・・・分からない」
「本当ににぶいですね・・・まぁそういうところも好きになってしまった理由なのですがね」
「それ褒めてるのか?」
「褒めてますよ、どれだけ心がボロボロになってもあなたならずっと寄り添ってくれる安心感があるので」
少し馬鹿にしたような言い方で言ったがそこすらも可愛さを覚えるのは好きになってしまった証拠だろう。
だがやっぱり正面切って言われると恥ずかしいものがある。
今まではそういうことを言うとすぐに顔を赤くしていたソルーが今回は顔色変えずに言うところに若干恐怖すら覚えてしまう。
「そろそろ私、フェーク君の告白を聞きたいです」
「あ、そうか、じゃあ」
完全にソルーの領域内に引きずり込まれたような感じだ。
ソルーのカウンターを考えていなかったのは本当に反省点だ。
「俺はずっと何でも逃げてきた」
「・・・」
「挑戦というものが分からず逃げることが多かったんだ、でもやるべきことは出来る、そんな自分に嫌気があった」
「・・・そうなのですか」
「あぁ、俺は失敗したくないんだ・・・もう失いたくないんだ・・・だから最善の手段しか用いらなかった」
「・・・妹さんのことですか」
「そうだ・・・俺は・・・でもお前と出会って挑戦ということが出来たんだ!」
「・・・」
「例え失敗するかもしれないけどソルーのことを振り向かせたかったんだ」
「・・・最初はすみません・・・冷たくて」
「関係ないよ、それで余計熱くなれたんだ・・・挑戦心に火を注いでくれて本当にありがとう」
「私がそのような形で役に立てて嬉しかったです」
「だからこの告白も挑戦できた・・・だからお願いがある」
「・・・」
「だから・・・その・・・付き合ってください!」
遂に言えた。
この一言を出すまでどれだけ時間をかけただろう。
目を閉じ頭を下げた。
失敗するかもしれないと言った弱気は捨てた。
ソルーのおかげでひとつわかったことがある。
挑戦するために1番捨てるものが弱気な心だということを。
目を閉じると今までソルーと過した日々が走馬灯のように見えてくる。
「・・・ありがとうございます、私も言われて・・・うっ」
ソルーの顔を見ると目から涙を流し喜んでいた。
過去を聞いた時フェークはソルーのことを守りたいと心の中で誓ったがソルーを幸せにするまでは考えれていなかった。
どっちかと言うと恋人ではなく護衛対象、家族みたいな感じと言った方が正しいかもしれない。
ソルーは笑顔でフェークに抱きついた。
少しミルク風味の匂いが理性を破壊しに来ている。
今すぐにも理性を保つために離したいところだがここで離すのは男として負けた気がして何とか耐え抜いた。
でも匂いは楽しむ。
それぐらいいだろう。
フェークは急な行動で脳がショートしてしまいそうだが何とか耐え抜く。
「本当にありがとうございます、私愛を受けたことがないので好きという感情がわかりませんでした」
「知ってる」
「初めてです、人と居る時ずっと胸がドキドキするなんて・・・それが恋心だったのですね」
「言われると恥ずかしいものがあるな・・・」
「・・・私だって恥ずかしいです!」
ソルーは顔をぷくーっと丸くさせこちらをじっと見つめている。
目は少し睨んでいるような感じだ。
しかしそこすら愛おしく感じる。
「でもそんなフェーク君も好きですよ」
「嬉しい限りだ・・・本当に」
「・・・もし良ければもう一度言って欲しいです」
「・・・わかったよ」
そう言うとフェークはソルーの耳元に近づき
「好き」
と囁いた。
その声でソルーは今までの恥ずかしさが出たのか顔が一気に赤くなった。
湯気が出そうなくらい赤い。
「ありがとうございます、本当に私これくらい幸せでいいのでしょうか」
「お前は今までが辛すぎた、これくらい幸せを受けなくちゃ可哀想で見てられないぜ」
「感謝しかできないです」
「これくらい感謝なしでも何度でも言ってやるよ」
ソルーはこの状態で脳が限界点を迎えてそうな気がするが最後にフェークはダメ押しの一手を押す。
「だからこれからもよろしくな、末永く」
その一言を言っ時周りから歓声が聞こえた。
「よく言った!お前こそ男だ!」
「あんなの言われたら惚れちゃうわ!」
「かっこいいぞ!!」
等など、中には先生も見ている。
フェークは恥ずかしさでどうにかされそうだがまぁこれで無事ソルーがフェークの物になったという意味では大成功を期した。
ソルーはその大歓声でだいぶオドオドしている。
その様子から見て全くここに人がいるなんて考えていなかったのだろう。
てっきり知ってるものだと思っていたフェークは少し意外だった。
完璧な計画をソルー自身は考えていたのだが1つの油断のせいで告白の戦いはフェークが勝つこととなった。
「知らなかったのか?」
「・・・逆に知ってたのですか?」
「うん・・・何となく、お前こそ知ってるのかと思ってたよ、あの大胆な行動も見せつけるためだと・・・」
「・・・そんなわけないじゃないです・・・私ひとりきりだとつい・・・うぅずるいです」
顔を赤く拗ねた雰囲気を出しながらこちらをじっと見つめている。
少しからかいすぎたなと思ったが前までの仕返しだと思うとあんまし罪悪感はわかなかった。
「おめでとうフェーク!サプライズだと思って!」
パーン!
クラッカーの大きな音が辺りを包む。
そのクラッカーの音の後大きな拍手喝采が響いてくる。
クラッカーを鳴らされ本当に祝福されているのだと2人は幸福の絶頂だった。
少し恥ずかしさもあるがそれを超える幸福感を2人を包んでくれた。
全生徒が見守る中の告白だと考えたらよく耐え抜いたなとフェーク自身少し驚く部分はある。
クリートとフレドは陰ながらその告白を覗きながら考えた。
今まで焦れったい思いをさせられた2人には本当に努力が報われた感じが本当にする。
「フレド・・・良かったな」
「俺たちの努力は無駄じゃなかったな本当に」
「今日はフェーク連れてご飯奢るか」
「お前の奢りか?」
「バカか?2人で奢るんだよ」
「そうですよねー」
みんなこの告白を祝福している。
2人の幸せを願う。
By作者
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)♡




