弱い私を見てくれたあなたが好き
いやはやこんな青春したいもんだ(絶望)
上からの物音に気づくまもなく攻撃はされていた。
クリートとフレドが気づいた時には緑色のうねうねした物が2人を掴み下の階に強制的に下ろしてくる。
下についた時2人は体が衝撃でボロボロだが力を振り絞り変身しようとした。
しかし隣を見るとゴリが居る。
ゴリは体の真ん中が光るとキメラ体に変身した。
クリートとフレドは絶句するしか出来ない。
クリートは口を開けながらゴリを指をさしながら見ることしか出来なかった。
「あ、お、お前まさかキメラなのか?」
「まさかな?俺がキメラって信じ難いだろ」
ゴリは手からツルを出し2人の近くを鞭のように打った。
砂煙が周りに散る。
火力の高さをその砂煙で伺える。
だがその砂煙の中から勇敢に2人は変身体状態で飛び出してきた。
その様子にゴリはワクワクした物言いで話しかけてきた。
「面白い!それでこそだ!」
「フレド気をつけろ!」
「あんたこそな!クリート!」
壁からツルがヌルッと1本大きいのが生えてきた。
フレドはそれにいち早く感知してクリートを突き飛ばした。
「え……フレド……」
「あんたはあいつを倒……」
いい切る前高速でツルがフレドを校舎の壁に叩きつける。
火力はスピードから見ても圧倒的だというのを体から感じる。
ゴリは残念そうな声でもう1回腕を前に出しツルを放ってきた。
クリートはガントレットを出し走り出す。
「貴様ー!フレドの分だ!」
ツルを殴りながら進む姿は特攻兵のような無謀さを感じさせる。
殴る度にツルが雷を放ち萎れるように倒れていく。
ゴリはまだ立ったままだ。
諦めたのかと思いゴリを殴ると異変を感じた。
「あれ、こんなにヌルッと倒せるものなのか」
殴ったのは良いがあまりにも柔らかい。
まるでツルを殴ったのかのようだ……ツルを殴ったような感覚?
そうあれはゴリではなくゴリの形をしたツルだったということだ。
クリートはそれに気づいた時には時すでに遅くツルが固まった様なもので体を押し潰されてしまった。
「がはっ!」
上から勢いよく来たので火力は折り紙つきだ。
今までに受けた攻撃で1番痛い。
「はぁはぁはぁ!うっ!うぐっ!」
動こうとするがツルが重すぎて動けない。
声を出そうにも上手く声が出ない。
生き地獄というのはこういうことだということを初めて理解できた。
(フェーク、ごめん、俺たちで守れなかった……)
今フェークがどこにいるかも分からない現状がいちばん怖い。
生きてるのか、死んでるのかが気になりすぎる。
フレドも今この感覚で苦しんでいるのだろう。
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フェークが起きると下は今まで見た事のないとこだがどこか見たことのある気もする。
頭が上手く働かないからどこか理解するのに少し時間がかかってしまう。
でも理解した時顔が青ざめた。
フェークのいる場所は学校の本棟4階の屋上から吊るされているのだということだ。
学校生活どころか生きててあるか分からない宙ずり状態での待機は恐怖そのものだ。
周りを見回すと生徒が沢山見ている。
助けて欲しいと叫びたいが血が上りすぎて頭がぼーっとしてきた。
「あ、あ、ここは、どこなんだ」
「やっと目覚めたか・・・フェーク」
声の主はゴリだ。
ずっと待っていたのだろう。
ゴリがこちらに歩いてきている。
そしてフェンスの目の前に立つと叫び出した。
「俺がソルーの彼氏!フェークを倒した!だからお願いだソルー!付き合って・・・」
「無理です、私はあなたのような人物よりフェーク君のような人の方が大好きなので」
間髪入れずに情報がフェークの脳にぶち込まれてくる。
振られたのもざわついたが何よりざわついたのはフェークを君読みしていたことが何よりざわついていた。
ただでさえ情報量が多い話したのにこれ以上情報量が多いと脳がパンクしてしまう。
近くにソルーが居ることは理解出来たがどうやってここまで来たのか不思議で仕方ないが今はそのようなことを言ってる場合ではなかった。
「私の幸せはほんの一つだけだったの、それがフェーク君、あなたの存在です」
「あ、は、はい」
フェークは意識が飛びそうだがせめて話は聞かないといけないという精神で飛びそうな意識を何とか耐えながら聞いている。
「とりあえずフェークを回収してください」
「あ、はい」
そう言うとゴリはフェークを屋上の地面があるところに置いた。
久しぶりの地面は安心感と生をとても感じる物だ。
しかしそのような余韻に浸る時間もなくソルーの進撃?は続く。
「最初はフェーク君のことをうるさいなと思ってました、でも私が家庭の事情で色々あった時公園に居たのですよ」
「・・・あったなそんなこと・・・」
「その時私の話を誰よりも優しく聞いてくれて本当に嬉しかったのですよ・・・なんなら家も用意してくれました」
「・・・あったな、そんなこと・・・あれこれ言うの二回目だな」
「どれだけ心が苦しくてもフェーク君は何度も寄り添い私の願いを全部聞いてくれました」
「・・・・・・」
「誰よりもこの私の中身を評価してくれたのはフェーク君あなた1人だけなのです・・・」
「・・・・・・」
「私の中身を評価してくれる人と会いたかった・・・私とフェーク君は会ってまだ間もないです」
「・・・そうでもなくない?」
「私は初めてなのですよこの感覚・・・みんなが言う恋に近い感覚を始めて覚えました」
その時校舎の下の方から大量の歓声が聞こえた。
その歓声はほとんどが祝福の声だ。
しかし今のフェークはソルーの話も間もならないくらい気を失いそうな気分だったので今自分がどんな状態か全く分からない。
そしてソルーの話はまだ続く。
「私の弱いところまで見てくれたのはフェーク君だけですよ・・・みんなは私の強いところだけしか見てくれなかった・・・私の事を絶対に逃がさないようにずっと見守ってくれたのです」
「・・・・・・」
「私の全てを見てくれてその全てを理解してくれたことが本当に嬉しいことです、今まで自分は努力しなくちゃいけないと思ってましたが・・・ここからだと長くなりそうなので省きますけど」
顔がかなり赤くなってきている。
恥ずかしいこと限りないのだろう。
正直可愛いと言われば可愛すぎて死ぬ。
というか省かなかったらどれだけ話していたんだ・・・
そしてその話も終焉を迎える一言を言った。
「だから・・・フェーク君、私の事・・・」
「あ、すみません気が失いそうなのですのでちょっと返答・・・」
言い切る前に気を失ってしまった。
今までのムードが一気にぶっ壊れたがしょうがないと言えばしょうがない。
ソルーは急いで電話をしゴリはフェークを担ぎ4階からダイレクトで下に飛び降りた。
後でゴリが教えてくれたがなぜこの場で飛び降りたのかと言うと
「ソルーを恋人にするよりもソルーのことを祝福する方がみんな幸せだと気づいた、俺は今まで全部間違えていたんだ、謝っても謝りきれないからこういうところで謝罪の気持ちを見せなくちゃいけないと思ったからだ」
ちなみにゴリはキメラ体に一瞬だけ変身し一瞬で変身解除と言う高等テクのおかげで何とか足は守ったようだ。
この出来事を気にゴリは性格もだいぶ変わってくれた。
しかしその後ガチギレのスクルド、ヴェル、ノルンに怒られたのは言うまでもなかった。
別棟に開けた穴は最初から空いていたで何とか許されたようだ。
なんでも襲撃事件で別棟がやられたと聞いて以降修復以外では立ち寄り禁止としていたのが幸運となったようだ。
ボロボロのクリート、フレドも全生徒により回収され救急車に運ばれた。
運良く変身が解除されていたためこの事実を知るものはゴリだけとなっている。
変に尋問されるのが嫌なクリート達にとっては幸運そのものではなかったであろう。
しかしソルーの告白に近い告白の返答をフェークは考えなくちゃいけない。
ここで男見せる時だぞ!
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




