黒き憎悪
戦いに善も悪もない。
あるのは己を信じる正義だけだ
クリートは立ち止まるしか出来なかった。
目の前で身内を殺し、目の前で大親友を泣かし。
自分はどうあるべきなのか全面的に問うが答えは見つからない。
そんなクリートの目の前に誰かいる。
影から嘲笑うような顔でこちらを見ている。
クリートは気になってそこに向かおうとしたら相手は動き出した。
正直クリート自身この行動はクズに染まりきっていると思う。
はたから見たら逃げているようにしか感じない。
だがどうしても気になるので後を追うだけだった。
追いかけると最終的にこの街の港に着いた。
周りはコンテナと誰も使っていない船しかない。
きっと異変で逃げたのだろう。
クリートは追い詰めると
「ひとつ聞く、なぜ見ていた」
「・・・面白いなぁ」
「・・・なに!?」
その一言が今のクリートにとって1番カチンと来る言葉だ。
「もういっぺん!・・・」
「だから面白いなぁって言ってるんだよ、あの悲しみを見るのは久しぶりだ」
「て、てめぇまさかとは思うが・・・」
「そうだよ、お前の予想通りテロリストだ」
そうそいつの名はライアだ。
あのフレイヤの件も全てライアが行ったことということを自白した。
クリートは変身し殴りかかろうとするが相手も同時に変身し軽く受け流された。
クリート自身ライアのことは全く分からないためライアが戦闘のプロということは全く知らなかった。
「強い!」
「お前も弱いな」
「・・・人の命をなんだと思っている!」
「さぁな」
ライアは手持ちの剣を持ちクリートの胸装甲を斬ったが
斬られる寸前に少し装甲の厚いソードフォームへと変身したためあまりダメージは受けずに済んだ。
ライアは少しそれに関心はしていた。
咄嗟の判断でそれを決めれるクリートの判断力に驚いている。
「ほぉ、面白いじゃん」
「うわぁぁあ!」
クリートは怒りか何かわからない感情で斬撃を放つがもちろんながらライアには簡単に防がれ。
「でも攻撃の正確さは今一つだな」
「何!?うわぁ」
ライアは軽く防ぎその後すぐにクリートに斬撃を放った。
だがクリートの装甲は固くそう簡単に潰れはしない。
ライアはその固さに笑っている。
頭でも狂ったのかと思った、元から狂ってそうだが。
「はははは!面白いなぁ、ならこれはどうだ」
フレドにもした装甲を足につけて行うキックだ。
クリートはテロリストのボスらしき人にもこの攻撃を1度受け死にかけた記憶があるため対処には最新の注意を払おうと待つ。
ライアはつまらなさそうに言う。
「このまま受けてこの世からさよならバイバイでもするのか?」
「する訳・・・」
「死ぬのは勝手だが死んでも罪は無くならないぞ」
「お前まさか!」
「俺がつい最近来たとでも思ってたのか?最初からいたぞ」
「・・・・・・このやろおおお!」
クリートは剣を構え走り出した、完全に逆上して油断だらけだ。
ライアはこれを狙っていたのか、きっと狙っていたに違いは無い。
だがクリートは予想外の行動に出た。
キックされる直前に足を剣を使い止めることに出たのだ。
しかしやはりと言ってはそうになるクリートはコンテナまで吹っ飛ばされダメージは負った。
しかしキックされるよりダメージは圧倒的にマシだ。
これにはライアもびっくりだ。
「何!」
「ふぅ、何とかか」
「こ、こいつ!やる!俺の領域を使っても防ぎやがった」
「そりゃキックされる寸前に考えた事だからだな」
「なら最大限楽しませてくれよな」
ライアはウキウキしたような喋り方で剣をまた構え直しクリートの方へと歩きながら1歩1歩歩いてきている。
クリートは剣をよく見ると折れていることに気づいた。
(くっ!ここでか!今までよく耐えてくれた)
今までの死闘を耐えてくれた剣に心の中とは言えども感謝を伝え地面に優しく置いた。
ライアはまたウキウキな話し方でこちらに話しかけに来る。
「どうした、壊れたのか、ならもうおしまいだな」
「くそー!ここまでなのかよ!」
もう終わり。
そう思っていた、しかしひとつガントレットとリンクされていないフォームを知っている。
クリートは最後の手段としてやってみた。
ブラスターフォームとガントレット
だがブラスターフォームになり
「エンドスカパ!」
と叫ぶが何も起きない。
よく良く考えれば初めてガントレットが着いた時ブラスターフォームから強制的にスピードにさせられたのを思い出す。
ライアは笑いながら
「お前は神にも嫌われたのだな」
「なら神を振り向かせてやるよ」
ブラスターフォームを解除させた瞬間、装甲が紫のガントレットフォームに変わった。
ライアもその禍々しさに少し怖気付いている。
「どうした?来いよ、お前が煽ってきたんだろ」
「そうだな、やってやるよ」
ライアは剣を持ち走り出すが突然動けなくなった。
「何!?」
「はぁ!」
クリートはジャンプ蹴りを成功させることが出来た。
ライアは体が大爆発寸前になりやっと動けるようになり最後に
「お前は、お前は!お前はァ!」
と言うと大爆発が決まった。
クリートはまた人を殺した罪悪感と責任感。
また両方を背負うことになる。
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場面は変わり倉庫の中。
フレドは何か決めた。
「あいつ(クリート)が!あいつ(クリート)が!」
クリートに対して激しい憎悪を持ち歩き出した。
向かうところはクリートが走って向かった方へと。
(あいつ(クリート)を殺すことが俺の目標だ)
フレドはもうただの復讐マシーンに成り下がってしまう。
ここまでの友情、ここまでの思い出、ここまでの時間。
「俺はもう、迷わない・・・あいつを殺し・・・全てを・・・」
全てを思い出し涙を1粒流し歩き出す。
その後ろ姿は黒き憎悪に包まれているようだ。
エンドスカパ
倉庫内でその言葉が聞こえた。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




