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願いの果て

実は今日私の誕生日です

祝え我の誕生を!

ドゴーン


クリートはロキを思いっきり殴りその衝撃で体育館から強制的に外に飛ばされた。


ロキが飛ばされた時に作ったであろう穴を覗くと雨は止むどころかどんどん土砂降りにまで進化を遂げていたのだ。


こつ


こつ


こつ


体育館から静かに空けられた穴に向かってクリートは歩き出す。


ロキは立ち上がり剣を持って走り出すがクリートに容易に止められた。


「お前はもう人間では無い!お前のやることをもう一度考え直せ!」


「俺は!俺は、俺は!体こそは人間では無い、でも心さえ人間としてあるのなら人間だ!」


ロキは立ち上がりクリートに剣を突きつけ話した。


もうロキの言う通りクリートの体は人間では無い。


その事はクリートが1番わかっている話だ。


クリートはもう一度ロキに向かって走り出す。


ロキは剣を大きく振るいクリートはその攻撃をもろにあたってしまった。


その攻撃のせいでクリートは体勢を崩し倒れてしまう。


雨が無慈悲にもクリートの体を永遠に濡らす。


「ぐわぁ!」


「こいつで終わりだ!」


ロキが剣を振るう。


クリートはその剣を硬くなってしまった手で守るが多少ダメージは抑えれたものの全てのダメージを左腕が受けた。


「がぁっ!」


その攻撃を受けますます体育館から距離を離された。


ロキは静かにクリートの元へ近づくがクリートも負けじと立ち上がる。


(このまま行くと100パーセント負ける……何か策を)


雨は弱まるどころかさらに強くなった。


クリートはロキに向かい走り出しロキもその行動を真似するかのように走り出した。


「はぁぁぁー!」


「うぉぉぉー!」


2人はぶつかる寸前にお互いにパンチを繰り出した。


2人のパンチが当たった時に鳴る鈍い音が雨の中でも響く。


いつもだとこのまま戦闘不能になるくらいの攻撃だったが今のクリートは違う。


「うぉりやあぁぁ!」


クリートはロキの体を両手で固く捕まえあるところに走り出した。


「こいつ!?」


クリートの向かうところは地下駐車場だ。


「終わりだー!」


遂にロキを地下駐車場にダイレクトでは入れる穴に落とした。


もちろんクリートも一緒だ。


「こ、こいつ、これで勝った気でいるのか」


「あぁ、勝った気さ!」


クリートはロキを下敷きに何とか落下の衝撃を防いだ。


しかしロキは思っているよりダメージは少なそうだ。


少し暗い地下駐車場内に落下時の不快な音が響く。


ロキは余裕の証拠に首を1度ひねり剣を構えた。


「お前の本気かぁ?随分甘くなったもんだな」


「俺がこれだけで来たのかと思うのか?」


「ははは!そんな都合の良い展開なんてな」


「そうか?でも俺の後ろを見てみろよ」


「!?」


後ろを見るとボロボロのノルンとヴェル、スクルドにソルーそしてシスが居た。


ノルンはモージになるためのバックルを巻いていた。


都合の良い展開は時にはあるようだ。


「クリートさん、なのね」


「うん、話は後だ、今は俺の目の前の敵を倒してくれ!」


ノルンはクリートのキメラ体を1発で見抜いた。


きっと何か言われるだろうと覚悟していたが何も言われなくて安心すらある。


(俺、ノルンと出会って本当に良かった)


クリートはキメラ体を解除させた。


「ごめん、みんな……」


振り向いた時のクリートは左目が薄黒色に変色していた。


もう人間から遠い人種になりつつある体はクリート自身わかってきている。


「俺、もう、理性が……」


クリートはそう言うといつものトールに変身した。


何も飾らない機械音がなるとクリートをいつものような戦士の姿に変える。


「戦え!俺と、うおぉぉぉ!」


クリートはロキに向かい走り出した。


クリートは獣のようにロキに襲いかかる。


完全に理性がなくなってない無い。


しかし少しづつ人間では無い生命体になるショックやキメラの競争本能が働きこのような行動に出るのだ。


ドンドン


ガンガン!


打撃音が地下駐車場を包む。


「ぐぅ!うぐっ!はぁ!」


「く、クリート!お前は、お前は人間を捨てるのだな!」


ロキが挑発するように話しかけた。


クリートはそれにまんまと乗っかりさらに凶暴性を増す戦い方にシフトチェンジになった。


「うわぁぁ!」


いつものスピードフォームでたくさんのパンチをロキに当てロキも当たりすぎて体がフラフラになっている。


「俺は、人間として……生きる!」


「なぜ、なぜ人間にこだわる!永遠の命……夢のようじゃないか?」


「永遠の命を得てもなそこにあるのは絶望と孤独だ!永遠に生きるために人を喰らうくらいなら死んだ方がマシだ!」


そう言うとクリートはロキに蹴りを当て2人の距離を空けた。


ロキもクリートもフラフラだ。


しかしロキもキメラ体を解除させ変身し直した。


マントが程よくナビいている。


しかしその時ある物が見えた。


「お前ももうキメラとして……」


「そうだよ!俺はもう死ぬさ、まだやり残してることがある、そのために俺は戦うんだよ!」


と言うとロキは走り出した。


その件を聞いた時一瞬クリートの心がなにかに揺れたが今はそんなことしている間は無い。


「クリートもわかってるのだろ!もう無駄なんだよ」


「はぁはぁはぁ」


「人を喰らわずにキメラとして正気を保つことは!」


「はぁはぁはぁ、うぐっ!」


ロキもわかっているし周りに居る人もわかっているようだ。


クリートはもうこれ以上人間としての理性が保つことは難しい。


しかしクリートはまたロキに向かい歩き出す。


次はゆっくりとだ。


「あぁそうさ、もう俺は理性が上手く保てない…でも体で理解しているんだ、守るべきものと戦うべき理由は、俺はこの街を愛している、だから戦えるんだ」


そう言うとクリートはキメラ体に姿を変貌させた。


クリートはキメラ体になるとロキの方へ走り出す。


ロキは結局変身を解除させキメラ体へ姿を変えると走って向かってきているクリートにつかみかかった。


ロキはクリートを掴み片方の手を離しパンチをクリートに打ち込んだ。


それに呼応するようにクリートも肉食獣のような凶暴性を纏ったパンチをロキに食らわせた。


「ぐぅぅ!終わりだぁぁぁ!」


「理性の無い獣はな一番狩りやすいんだよ!」


そう言うとロキは剣を出現させその剣でクリートを一斬り。


「がぁぁ!」


遠吠えのような叫び声がクリートから放たれた。


その攻撃のせいで地面に横たえるように倒れた。


これで終わりだと思われた。


しかしまだ味方は居る。


「変身!」


ノルンの声が地下駐車場内を包む。


ノルンはアパッチリボルバーのモードをメリケンサックに変えロキを殴り飛ばした。


「ただ自分の欲望に向かう姿はあなたも獣だよ」


「はぁはぁはぁ悪言い方だな、夢に向かうスポーツ少年って言ってくれないか!」


ロキは飛ばされたがまた普通の体勢になりノルンに向かって走り出した。


しかしロキの攻撃をまるで見えるかのように避けていく。


なんならそのすきに攻撃もして行った。


それでも獣のようにロキはノルンに向かい牙を向けるかの戦闘をしていく。


「あなたもだいぶ理性がやられているようだね!」


「ははは!ならもっとな!」


ロキは一瞬足を踏み込み飛び出すような形でノルンに向かった。


しかしノルンにぶつかる寸前に止まった。


いや止められた。


「だ、誰だ!」


「僕達を忘れちゃ困るな」


そこに居たのは糸を既に放っていたヴェルとスクルドだ。


ロキはヴェルの糸で行動を制限させられていたのだ。


「うがァァ!動かせろー!」


さっきまでの冷静なロキの様子が急に変貌し喉が壊れそうなくらい激しい叫びを放った。


その姿はもはやクリートより野獣に近い。


「ろ、ロキ……お前こそ俺よりキメラ化が進んでいるようだな」


「はぁはぁはぁ!まだだ!うがぁぁぁぁ!」


クリートは立ち上がりじっと今の暴れているロキを見るが最早その姿はさっきまで冷静に戦っていたロキの姿などない。


ただ欲望のために動く肉の塊だ。


「ノルン!ヴェル!スクルド!やるぞ!これで未来を掴む!」


「えぇそのつもりです!」


「貴様こそやられるなよ」


「ならこれで本当にクライマックスとしましょうか!」


クリートは走り出しロキに激しいラッシュを喰らわせた。


ロキはその衝撃で糸の拘束を断つことはできたがダメージで動けない


しかし力無くもがくように動いている。


ノルンはその状態のロキに向かいアパッチリボルバーが通用する距離まで行くと急に立ち上がり肉を貪るぐらいの勢いでノルンを押し倒した。


その衝撃でノルンはモージのバックルが飛ばされた。


「し、しまっ……クリートさん!このままやってください!」


「わ、わかった!」


クリートは今ノルンの上に居るロキをジャンプキックでその体勢を無理矢理変えた。


ロキが地面につく寸前にスクルドは己の剣でロキを一度斬る。


その攻撃でロキはさらに苦しむような様子に変わり地面に落ちた。


クリートは手を前に向け


「未来を変える!運命を変える!切り札となれー!」


そう叫ぶと謎の光を放った。


その光をロキが食らうと今まで以上に苦しんだ様子でもがき苦しんでいる。


「お、お前は、必ず、破滅、する……忘れるな……まえは……げんでは……ない」


その言葉がロキの最期の言葉だった。


光が辺りから消えるとロキの来ていた黒い服がポツンと無造作に置いてある。


これでロキを倒したのだ。


全てがこれで終わったのだ。
















でも何かが違う

これで終わるはずがない。


何か大事な物が壊される気がする。

クリートにとっての戦いはまだ終わらない。


















「クリート、トランス、お前は俺の人形なのだよ」


「俺は人形……!」


クリートはあるところから聞こえる声に反応した。


「この世界は俺の創った箱庭なんだよ、実験施設なものだ」


「箱庭、実験……!?」


まだ分からない。


しかしクリートは何か分からぬものが理解できたのかもしれない。


マームから言われ無かった自分の出生の件を……


一度声のした方を振り向くとそこには……


「やぁ、会いたかったよ人形さん」


「お、お前は……お前は!」


その姿はあまりにもクリートに……



ブックマークポイント等やって欲しいな|ω•˘ )

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