存在意義と未来の切符
ちなみにキメラ体だからクリートは変身できました……あの時ノルンが苦しみながら変身していたのは痛みのためなので
「変身……くっ」
腕時計型バックルのボタンを押す手が戸惑う。
本当にこれで良いのか……
まだやはり迷いがある。
ロキは変身をやめて笑い出てきた。
「ははは!お前は弱いな……まだ覚悟が決まってないなんてな……」
「俺は……迷わないって決めたのに……」
顔を俯きながらモジモジと答える。
だが後ろから聞こえた言葉でもう吹っ切れる感覚を感じた。
後ろからクリートの背中をひとりが叩いた。
その背中押しは彼にとってはとても安心するものだ。
クリートの大親友であり1番信頼している人のひとりだ。
「クリート、お前は1人では無い……俺やフェークだっているじゃない」
フレドの後押しがクリートの心を前に動かした。
その後またひとりが背中を叩く。
「そうだよ……クリート……俺たちを頼ってくれ」
もう1人の1番信頼している友人であるフェークだ。
顔を上げてみると血だらけだが笑顔の大友人である2人の顔がある。
その顔にとても落ち着きとても自信が湧いてきた。
俺は1人では無い。
永遠の孤独だと感じていた高校初めの時に比べて今は友人とかに恵まれて喜びがしかない。
「ありがとう、みんな……掴もう……」
「あぁ、わかってるよ……お前の友達歴はこう見えても長いんだからな」
「ははは!1年も経ってないじゃないか……」
この何気ない会話を永遠にできるのなら良いのだがと何度も考えたし自問自答していた。
クリートは笑い終わると1度ひと呼吸おき腕時計型バックルを押す体勢に入る。
もうこの場で覚悟を決めるしない。
だが怖くは無い。
なんだって大親友2人が居るのだから。
「ありがとな……掴もう俺達の未来を、掴むために!」
「変身!」
「変身!」
「変身!」
そう言うとクリートとフレド、フェークは変身した。
体育館内に3人の声が良く聞こえる。
3人の決意や気合いの声が良く反響されているからだ。
その様子にロキはニヤついた顔だ。
「ふふふ、さぁ来いよ」
そう言うと指を鳴らした。
クリートは頭に疑問符がでてきたがその理由はすぐに分かる。
がさ
誰かが来たような音がする。
音のした方を見るとスーツ姿の男たちが沢山周りを囲うように居る。
体育館内のステージ、2回のギャラリー席から前バルドルが呼んだはずの特殊部隊の人が沢山居たのだ。
正直なぜバルドルが呼んだはずの人がロキ側についているのかは謎で仕方ない。
最悪な事態を想定しそうになる。
裏切りかもしれないと考えると怖い。
「!?ちょっと待ってくれ!君達は仲間なはずじゃ!?」
フェークが先に声を上げた。
しかし特殊部隊のメンバーのうちの入口に1番近い一人が声を出した。
「俺たちは最初からお前の仲間では無いのだよ!」
「え……」
突然の告白に3人とも声が出ない。
「じゃ、じゃあどっちの味方なのだ……」
正直クリートとフレドは脳がパンクしそうだ。
だがまだフェークは質問を続けた。
その答えも意外なものだ。
「最初からずっとロキ側だったんだよ……教えてやる、おれたちのけいかくをな」
「……」
「バルドルの部隊はな役が立たないで有名だったんだよ!だから早めに処理しておきたかったんだ」
「……」
みんな驚きのため言葉が出てこない。
「ノルンらはな本気で使えない奴らだったんだよ…そしてこの先起きるテロも別に未来では問題は無い…ここで死んでくれたら良かったんだ…」
クリートの顔が過去一見たことの無いくらいの顔で見つめている。
もうプッツン寸前だ。
「でもなひとつだけこの時間軸に問題が一つだけあるんだ」
「……」
「クリート、君の存在だ…お前の技術力をこちらで貰いたかったんだ…君のいるせいで永遠にパクリパクリと言われるくらいなら殺して技術の先行者になりたいのが我々の真の目的……」
「オラァ!」
クリートは怒りでどうにかなったのか説明していた特殊部隊の人を殴り飛ばした。
「だからか……だからテロリストを呼んだのか……」
ドスの効いた声が聞こえる。
ノルン達の死を望まれることは今のクリートにとっては最大の侮辱となる。
今のクリートにとっては最大限の地雷を踏んだ、だから特殊部隊兵は今殴られたのだ。
殴られた時と同時に特殊部隊は自身の腕時計型バックルのボタンを押す用意をしていた。
「お前ら!行くぞ!」
「うぉぉぉ!変身!」
そう言うと特殊部隊は全員ボタンを押し変身した。
数を合わせると500は容易に超えているだろう。
「行くぞー!!」
1人がナイフを上げて叫ぶと全員特殊部隊兵が走り出した。
フレドとフェークは剣を固く握り特殊部隊の来るのを待つ。
かん
ドゴーン
ばん
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
色々な音が体育館内で奏なれている。
あれから2、3分程度経った。
フェークとフレドは圧倒的物量にどんどんやられる。
クリートはと言うと
あの後戦闘に参加はしたものの物量には勝てる訳もなくボコボコにやられてしまった。
さすがにどれだけ強くても物量では勝てるわけが無い。
このままだと本当に負ける。
そうクリートは気づいたのだろう。
というかきっとみんな気づいていてたであろう。
クリートは変身を解除させると体の中から光が放たれた。
「・・・ごめんみんな……使うよ……あの力を」
そう言うとクリートは体を割るようなポーズで変身し直した。
光が放ち終わるとクリートの姿は人間の姿では無い……キメラの姿だ。
キメラ体になるがやはり物量の差にはやはり手が出ない。
ざん
じゃき
がん
ばん
どれだけ頑張っても物量の差には勝てるわけが無い。
だがクリートにはまだひとつ手がある。
「ウォォォォォぉおお!」
夜のオオカミのような雄叫びを上げると腕から謎の衝撃波が飛ばされた。
その衝撃波で周りに大量に居た特殊部隊の人々は全員飛ばされる。
衝撃波を飛ばしたところの床はボロボロになっている。
その効果で特殊部隊兵は変身が全員解除された。
「お前はやはり人間として生きるのは無理だな……もう進行が進んでるしな」
ロキがそう言うとクリートの動きが止まった。
「俺は……人間として生きる!」
今の彼にとって人間では無いということは心よりに響く。
特殊部隊兵のひとりが不満げにロキに近づいた。
「おいロキ!あいつがキメラだなんて聞いてないぞ」
そのセリフ的にまだクリートがキメラだということに全く伝えられていなかったのだろう。
「くっ、それを気づいたのはついさっきだから済まない」
ロキ自身まだどれだけの力がクリートに持ってあるのかがわかるわけもない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クリートは突如体が燃えるような痛みに襲われた。
「う、うぐっ!ぐ、ぐぅ!、あがァーーー!!」
クリートは体が悶え苦しんでいる。
原因不明の謎の痛みが恐怖を掻き立ててくる。
「クリート、お前はもう人間では無い……キメラなんだよ」
「まだ、まだ、まだ俺は人間だ!例え体は人間ではなくなっても!俺は人間を愛する!だから」
苦しみながらもこのことだけははっきりと言った。
ロキはその様子に笑いながら近づきキメラ体に変わった。
「そうか……ならいっその事決めるか?」
ロキは剣を固く握りクリートの首に突きつけた。
「……俺は……俺は人間として、戦う!」
そう言うとクリートはまた立ち上がりロキをじっと見つめた。
それと同時に首の近くにある剣を離し立ち上がらせる。
後ろから言葉が聞こえる。
その声はとても安心出来る声だ。
だが声はとても焦っているのを理解できる。
「クリート!俺たちだって手伝……」
「ごめんフレド……これは譲れないんだ……ごめん……特殊部隊の人を倒してくれ」
「あ、あぁ」
少し冷たく突き放した感じがあるのが少し後悔だ。
その事を少し罪悪感がある。
「フェーク、やるよ」
フレドは全く気にしていなくて安心だ。
「あぁ、やるか!」
フェークとフレドは立ち上がりクリートの後ろに立った。
(背中は預けたぞ、2人とも)
自然と覚悟が決まってきた。
お互いを信じるしか今は出来ない。
ラストバトルが始まる。
人類を守るために今は負けられないし譲れない。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)
特殊部隊の目的簡単に説明!
ノルン達がこの時間軸で死亡すること。
クリートの技術力を奪い未来の世界で商売するため。
それらを達成させるために犯罪者をグループにさせてあの組織を作った。
テロも正史の歴史には無い




