新たなる力と目覚め
目を覚ました。
ゆっくりとだが意識が覚醒してきている感覚がある。
気がつくと目の前は学校だ。
一緒に戦いに行ったフレドも隣に意識を失った状態だが居る。
クリートは考えてみるが謎な部分が少しある。
(俺たちは確か割れ目に向かって走ったような・・・なのになぜ)
よく体を見ると変身は解除されている。
怪我は全くない。
ほとんど五体満足で帰れたのが安心だ。
「うっ・・・痛いな・・・体が」
それでも全身に鈍痛が走る。
痛みの原因がよく分からない。
冷静に考えれるようになるとこんな所でじっとしていることに焦りがどんどん出てきてしまった。
「俺は急がなくっちゃ!フレド起きろ!」
フレドの体を大きく揺さぶらせるが動かない。
でも死んでは居ないのはわかっている。
単純に意識を失っただけだからだ。
「・・・う、フレイヤ・・・あれ!なんでここにいるんだ!」
「やっと目を覚ましたか!良かったよ、って言ってる場合じゃない!」
「そうだよな何で俺らはここに居るんだ確か割れ目に入ったはずじゃ」
「分からないでも今は割れ目がないんだ・・・」
そのことを知るとある一つの結論に結び付けれることが出来た。
前の襲撃時に割れ目が閉じる時に少し衝撃波のようなものが見えたのをクリートは覚えている。
「まさかだと思うがその時の衝撃かもしれない・・・閉じた時の」
「そういうね、なら急ぐしかないな」
「どこに!」
「校舎内だよ・・・あそこ見えないのか?」
フレドが指を指す方を見ると中庭近くの校舎の最上階から爆発がしてある。
「・・・!?これどういうことだ」
「だから行くんだよ・・・ついてこいよ」
「了解!」
2人は走り出した、校舎の中へと。
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「教えて貰うのフェーク君・・・ソルー君を殺した理由をね」
「お前には関係ないだろ・・・邪魔なんだよ」
「いつものフェークじゃない」
この考えはここに居るノルン、ヴェル、スクルドの3人は共通して持っている。
あれだけゾッコンだったソルーを己の手で殺した事がどうもおかしいと思うのはごく当たり前のことだ。
「邪魔なんだよ・・・このままやるのなら本気で殺しに行くよ」
「・・・1度頭を冷やさせてあげるよ!」
スクルドは手に持ってある剣を振りかざしたがフェークには全く当たらない。
「当たるわけないよ・・・君たちの攻撃なんかね!」
完全に歯が立たない。
その様子を理解したのかヴェルは肩の傷がまだ痛いはずなのに糸を出した。
「そんな攻撃なんぞ・・・なに!糸!まさか」
「そのまさか・・・私がやったの」
次は足ではなく壁から糸を出し腕を拘束することが出来た。
壁から腕に繋がっているのでほとんど行動ができない。
足は何とか自由だが足だけでは何も出来るはずがない。
「中々面白い真似だな・・・だが無意味だ」
何も出来ないと思っていた・・・しかしフェークには何かあるのだ。
「俺は怪盗だ・・・人を騙せることなんて容易いのだよ」
そう言うとフェークは急に姿を消した。
本当に一瞬で消えたのだ。
周りを探すがどこにも居ない・・・ソルーの死体はあるがフェーク本体が居ない。
「どこに・・・どこに行ったの?」
「す、スクルド・・・う、後ろ・・・い、居る」
「え?」
恐る恐る後ろを見るとフェークがスクルドの後ろに立っている。
「なぁ言っただろ俺には勝てないって」
そう言うとフェークはスクルドの首を掴みその首を壁に放り投げた。
破片が体に刺さるくらい衝撃を与え飛ばした。
「がはっ!」
ボロ人形を捨てるような雰囲気で投げている。
「もうやめる・・・お前達はもう良い」
「あ、そうこっちはここからが本番なのにね」
ノルンを見るとそれはフェークにとっては楽しい友情を感じるあの一品だった。
「そ、それは!」
「そうあなたがクリートさんの実験を手伝った時の新型バックルよ」
新型バックルのリモコンをノルンが静かに持っている。
ホルスターは既にかけていたようだ。
「フェークさんの本当の気持ちを教えて欲しいだけなの」
「・・・でもお前に俺は倒せるわけが無い」
フェークはそう言って大剣を握りだした。
ノルンは戦う意思ありと見なしリモコンを勢いよくホルスターに突き刺した。
「変身・・・」
ノルンの姿が変わり黒と銀色のシンプルな見た目に変貌した。
太陽の日差しのせいか銀色がよく反射して眩しく見える。
「その姿は今の俺にはとてもイラつくんだよ!」
そう言うとフェークは大剣を持ち走り出した。
前見た時には分からなかったがノルンの変身した新たなる力に武器が追加されていた。
少しその武装を見るためにフェークは足を1度止め相手の観察に行動を変える。
腰に装填されてある武装。
アパッチリボルバーが創られていたのだ。
アパッチリボルバーを取り出し構える。
刃は普通のやつより少し長めだ。
色は黒と銀色だ。
本体色と余り変わらない。
「少し変わったな・・・だがどれだけやっても無駄だ、そしてその刃渡りじゃあ戦えないなぁほとんど」
フェークは倒せるのだと考えたのだろうそれが安牌な考え方だったのだ。
「・・・これで」
アパッチリボルバーのトリガーを引くと高火力の弾丸が発射された。
その火力の高さに1度目を疑ったが本当だ。
銃身がないにもかかわらず正確な射撃を撃てたのにも驚きを隠せない。
「がはっ!この火力・・・あいつが」
的確な射撃なのもあるが単純にこのリボルバーの火力の高さもある。
フェークは正気を取り戻しもう一度大剣を握り直し走り出す。
何発か撃ったがさすがに1度当たったら当たらないようになる。
「くらえ!」
そう大剣を振り回すとノルンは大剣の攻撃範囲外であり尚至近距離の領域に近づいた。
振り切る前にアパッチリボルバーの刃の部分でフェークの胸装甲を斬る。
激しい火花が散った。
その衝撃で大剣を落としてしまいそれと同時に腰も落としてしまった。
「ぬわぁ!こ、この火力は」
「クリートさんの力・・・強いです、お願いします、そろそろ抵抗を止めていただくと嬉しい限りなのですが」
立ち上がろうとするが正確な射撃をもう一度フェークに放ち行動を止めさせた。
「くぅ!ここまでやって・・・」
「何故か教えてもらいたいの・・・それさえ聞けばあなたを殺すつもりは無い」
「・・・そうか、なら1度手を貸してくれ」
フェークはノルンに手を伸ばしそれを受け取るようにノルンも手を差し伸べた。
「時に俺は裏切るのは最前の行動だと思うんだ」
立ち上がりすぐに出た言葉はそれだった。
その言葉の真意がノルンには全く分からない。
「何を言いたいの・・・本当に・・・何を!」
「多少罪悪感は枠がこれで許してくれ」
フェークは気付かぬ間に大剣から片手剣を取っていたのだ。
「嘘!」
「嘘じゃない!本当だ」
フェークはノルンのバックルに1つ斬撃を与えたバックルを飛ばした。
その衝撃でノルンも飛ばされた。
不幸は続き飛ばされた先で変身も解除され更にさっき壁に空いた穴から外に落とされてしまったのだ。
「がはっ!う、嘘」
「ごめんな・・・俺にも夢があるんだよ」
「ノルン君ー!」
スクルドは急いで走るが破片の痛みで上手く動けない、ヴェルも肩は縫ったものの痛みが完全に引いた訳でもないしなんなら足にも怪我があるので動けない。
「ごめん・・・みんな・・・ごめん・・・クリートさん」
確実にこの高さから落ちたら死ぬだろう。
しかし自然と怖くは無い。
確かに怖いと言えば怖いがやりきることはやりきったのでもう良いかという諦めが強くなってきた。
「・・・クリートさん・・・結局伝えれなかったよ・・・好きを」
風は不快な気持ちはなくむしろ気持ちよさすら感じる。
「ノルン君ー!」
「ノルンー!」
二人の悲痛な叫びが校舎内に響いた。
動けない挙句目の前で大事な仲間を殺されたのは気分が悪いこと限りない。
ヴェルとスクルドは己の弱さに酷く嘆くが全く現実は変わらない。
「・・・俺はまだやるべきことがあるからそっちをやる・・・さよなら」
「フェーク君!どっちなの!本当に裏切ったの!ねぇ答えて!」
スクルドの悲痛な叫びは全く聞こえないふりにしそのままソルーの死体を持ちまた歩き出した。
「・・・俺はやらないといけないんだ」
結局黙ったまま歩き出す。
喋っても壊れたラジオのように「俺はやらないと」だけをつぶやく。
完全に心が壊れかけているのが2人でもわかる。
スクルドは剣を杖代わりに使い歩き出すが歩く度に破片が深く突き刺さり血が吹き出す。
ヴェルも動こうとするが刺さった時倒れる前に変な足のくじき方をしてその痛みのせいで全く動けない状態だ。
その件は肩の傷の痛みが収まりかけた時にわかった。
何も出来ない焦りと悔しさが2人を永遠に襲い付きまとう。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




