2人組
朝食が終わり食料調達に向かう車の中、いつもの様に春斗さん達と食料調達へと向かう。
車内でここに来るまでのことを思い出して、思わずため息をついた。
「どうしたんだい? 空君?」
「いや、ここまでのことを思い出して」
「先輩が考えていることは桜のことだろう」
「まぁな」
そうだ。車に乗るまで桜が一緒に行きたいと駄々をこねていた。
それをたしなめてくれた春斗さんには感謝しかない。
「僕もあんなにごねる桜を見たのは久しぶりだよ」
「それだけ先輩と一緒にいたかったってことだな」
由姫の奴、余計なことを言いやがって。
そういえば、桜が由姫から話があるようなことを言っていたが、あれはなんだったのだろう。
「よし、ついたぞ」
俺達はいつもきている山へと来ていた。
昨日と同じく山頂には霧が立ち込めていて、何があるのかわからない。
「春斗さん、山に行っても大丈夫なんですか?」
「あぁ、昨日の会議でこの山への立ち入りに関しては問題ないということになった」
問題ない? だって昨日由姫はウォールベアーに襲われたんだぞ。
それもウォールベアーがいた所は麓から中腹までの丁度間の所だ。
「昨日由姫はこの山で襲われたんですよ」
「確かに前野さんは襲われた。でも、結果的には空君と前野さんの2人でウォールベアーを撃退した」
「確かに撃退はしました」
だけどあれは運がよかったからだ。1歩間違えれば、俺達は死んでいた。
「リーダー会議では、ウォールベアーのことよりも前野さんの単独行動の方が問題になったんだ」
「単独行動がですか?」
「そうだ。1人で行動しているから危険な目にあう。だから山に入る時は、複数人で行動した方がいいという話になった」
なるほど、そういうことか。俺と春斗さん以外は今まで単独行動をしてきた。
これを機に団体行動を覚えてもらおうと、わざとここに来たってことか。
「そんなわけで今日はペアになって行動しよう。八橋君も異論はないよね?」
八橋は何も言わない。言わないというよりは、反論しようがないみたいだ。
「さて、ペアの決め方だけど‥‥‥」
「先生、1つだけ頼みがあるんだがいいだろうか?」
「前野さん、どうしたの?」
「私は先輩と組みたいのだが、ダメだろうか?」
「俺と?」
俺と組んでも面白いことなんて何もないのに。春斗さんと間違っているんじゃないか?
「そうだ。ペアというなら、私は先輩と組みたい」
「前野さんがそう言うならしょうがないな。空君に任せてもいいかい?」
「俺は別にいいですよ」
もしかしたら、桜の言う話が聞けるかもしれないしな。
一体昨日桜達の間で話していたのか気になっていたので、ちょうどいい。
「なら決まりだね。八橋君も僕とのペアでいいかい?」
「俺はできるなら1人で行動したいが、そういうことなら仕方がない」
「なら決まりだ」
どうやらペアは決まったらしい。俺は由姫と一緒に山の中に入ることになった。
俺とのペアが決まった瞬間、由姫が小さくガッツポーズしたような気がしたがきっと気のせいだろう。
「そういえば、ここにもう1台車が止まっていますね」
「きっと学校にいたどこかのチームがここを狩場に選んだのだろう」
「なるほど」
もしかすると、昨日俺達のグループが肉を多めに持って帰ったのを見て狩場をここにしたのだろう。
昨日の俺達を見て、自分達のグループならもっとやれると思って来たとしても不思議ではない。
「他にも狩りが出来る所はあるはずだけど、あえてここに来たのだろう」
つまり俺達のチームに対抗意識を燃やしているグループがあるということだ。
こんなチームワークも何もないグループを敵視するなんて、よっぽど暇なグループみたいだ。
「よし、そろそろ山の中に入ろうか」
「わかりました」
先に春斗さんと八橋が山の中へ入っていく。俺達はそれを見送った。
「先輩、よろしく頼む」
「こちらこそ、宜しく」
お互い挨拶を済ませ、山の中へと入っていく。
山頂は以前深い霧に包まれる中、俺達は山の中へと入っていくのであった。
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