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VSウォールベアー

「俺がウォールベアーを引きつけます。その隙に春斗さんは前野さんを連れて逃げてください」


「だめだ!! こういうのは僕達大人の役目だ!! 僕が行く!!」


「やめた方がいいです。ウォールベアーと近接戦闘するのはリスクが高い。前野さんのようにボロボロにやられる可能性もある」



 前野さんの武器は刀だ。近接戦闘で戦って、あれだけやられたんだ。

 春斗さんがいくら戦闘慣れしているといっても、日向とは違い単体であのウォールベアーと渡りあえるはずが無い。



「俺の遠距離武器なら致命傷を与えられなくても、あいつをひきつけるぐらいはできる」


「だが、君を危険にさらすわけには‥‥‥」


「俺のハンドガンなら、あのモンスターの攻撃範囲外から攻撃できます。ある程度引きつけたら俺も戦線離脱するので、心配しないで下さい」


「空君」



 こういうのは得て不得手がある。たまたま今回の戦いでは、俺の方が向いているというだけだ。



「大丈夫です。俺を信じてください」



 今回の戦いは撤退戦。あのウォールベアーから逃げ切ればいいんだ。別に倒す必要はない



「それに俺には気配遮断のスキルもあります。いざとなれば、モンスターから逃げ切ることも可能です」



 自信があるのもこういった隠密系統のスキルも持っているからだろう。

 倒せる可能性はほぼないが、あいつから逃げ切ることは可能だ。



「‥‥‥わかった。ここは空君に任せる」


「ありがとうございます」



 これで役割は決まった。後はこれを渡すだけだ。



「空君、それは!?」


「悠里お手製の回復薬です。ウォールベアーが見えなくなったら、これを前野さんに飲ませて回復させて下さい」



 瓶に入った緑の液体を2本春斗さんに渡す。

 これだけあれば、前野さんも助かるだろう。



「でも、今何もない所からその瓶を出して‥‥‥」


「説明は後です。今は前野さんを頼みます」



 雑木林にいるウォールベアーめがけて、ハンドガンのトリガーを弾く。

 危険を感じたのか、ウォールベアーは飛びのいた。



「空君、君は‥‥‥」


「今は説明している暇はないです。状況は刻一刻かわりますから」


「‥‥‥わかった」



 よし、これで大丈夫。後はあのウォールベアーの注意を引けば。



「先輩‥‥‥」


「何だよ?」


「何故私を助ける? あれだけ先輩のことを邪険に扱ったのに?」



 自覚があったのかよ。あったなら、もう少し改善して欲しかったな。



「仲間を助けるのに理由なんていらないだろ?」


「仲間?」


「前も言ったけど、前野さんは俺達の仲間なんだ。それ以上の理由はない」



 キョトンとしている前野さん。中々に珍しい顔だけど、ゆっくりその顔を見る余裕は俺にはない。



「春斗さん、後は頼みます」



 それだけ言い残して、俺はウォールベアーの側面に回り込む。

 手持ちのハンドガンをウォールベアーに向け引き金を引き、銃弾がウォールベアーの腕に当たった。



「ウォォォォォン!!」


「よし!」



 ウォールベアーの叫び声が辺りに轟く。どうやら俺のハンドガンでも、ウォールベアーにダメージは与えられるようだ。



「ウォォン!!」


「おっと!? 危ない」



 俺に近づき、爪を横凪に振ってきたがそんな攻撃は聞かない。

 そもそも俺とウォールベアーにはかなりの距離がある。そんな大振りの攻撃、簡単に避けられる。



「ウォン!!」



 よしウォールベアーが俺に興味を示した。後はこの場所から遠ざかればいい。



「お前の相手はこっちだよ」



 ハンドガンの引き金を引き続け、ウォールベアーの興味を前野さんから俺に移す。



「そうだ! もっと怒れ!!」



 怒れば怒るほど、春斗さん達が逃げやすくなる。

 相手も俺を敵認定したのだろう。俺のことを睨みつけ、今にも襲い掛かってくる体勢だ。



「こっちに来い!! ウォールベアー!!」


「ウォォォォン」



 直後叫び声と共に、ウォールベアーは俺めがけて突進をしてきた。

 慌てて俺も山の奥の方へと歩みを進める。想像以上のスピードにおっかなびっくりしてしまう。



「先輩!!」


「俺のことは気にしないで。今はこの山を下山することに集中して」



 それだけ言い残し、俺はこの場を離れた。後ろからはウォールベアーが追ってくる。



「まずいな」



 想像以上にウォールベアーのスピードが速い。

 追いつかれそうになる度に雑木林の中に隠れ、隙を見てハンドガンの引き金を弾く。



「しかもハンドガンの弾が切れた」



 ここに来てハンドガンのリロードタイムが来てしまった。

 ほんの数秒待てばいいが、ウォールベアーのスピードが速い以上、その数秒が命取りになる。



「ウォォォォン!!」


「やばっ!?」



 どのようにして見つかったかわからないが、ウォールベアーが俺がいる場所に向かって突進してきた。

 すかさず別の雑木林に隠れ、息を潜める。



「こういう時に気配遮断のスキルが役にたつんだな」



 俺には気配遮断のスキルがある。このスキルを駆使して、気配を消しながらあいつの相手にすればいい。



「ウォン?」



 予想通り、ウォールベアーはこっちの位置がわからなくなったみたいだ。



「よし! リロード時間も終わった」



 これで準備万端。後はあいつを出来るだけ遠い場所へと連れて行けばいい。



「こっちだよ」



 再びハンドガンをウォールベアーに向けて撃つ。

 ウォールベアーも俺の位置に気づいたようで、俺のことを追ってきた。



「意外と長期戦になりそうだな」



 ウォールベアーに銃弾を放ちながら独り言を言う。

 こうして俺とウォールベアーの長時間のかくれんぼが幕を開けたのだった。


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