グループのメンバー
部屋に戻ってきた日向と一緒に身支度を整えて昇降口に行く。
昇降口を出ると既にそこには大勢の人が待機していた。
「人が多いな」
昇降口を埋め尽くす人人人達。
あまりに人が多いので、人間酔いしそうだ。
「お~~い」
「春斗さん」
俺達のことを見つけて必死に手を挙げて名前を呼ぶ人物。
桜の父親である木内春斗さんが俺達のことを迎えてくれた。
「春斗さん、おはようございます」
「おはようございます」
「おはよう、2人共。チーム分けの話は日向君から聞いてるね」
「はい」
俺のチームは春斗さんのチーム。そして日向や桜とは別チームという事も既に日向から聞いた。
「それなら大丈夫だね。日向君はAチームだから、今日の食糧調達のプランはそっちのリーダーに聞いてもらえるかな?」
「はい」
「あっちにリーダーの田宮さんって人がいるから、その人に声をかけてほしい」
「わかりました。空、また後でね」
「あぁ」
別れの挨拶を済ませて、日向はAグループの方へと行く。
他に知ってる人がいないかと辺りを見回すと桜もいた。
「楽しそうだな」
桜がいるグループはCグループで男女6人の混合チーム。
仲のいいクラスメイトと一緒に集まっているせいか、会話を楽しんでいるように見えた。
「俺といるよりも楽しそうだな」
久々に友達と会ってうれしいのだろう。
俺がいなくても桜ならきっとここでうまくやっていける。
「あれ? 俺は何を考えてたんだ?」
桜が上手くやっていようがやっていまいが、それは俺には関係のない話だ。
今は自分のことに集中しよう。余計なことは考えるな。
「すまないな。桜と同じチームにしてやれなくて」
「いえ、全然大丈夫です」
グループ分けに関しては、戦闘経験が少ない人に経験を積ませて、戦力にしないといけないのでしょうがない。
それよりも今は自分のグループのことだけを考えよう。
「昨日の会議で戦闘慣れしている君達は、別々のチームにした方がいいって案が出されてね。僕達の中にはまだ戦闘があまり得意でないものもいるから、その人達の先導役が必要だって話になったんだ」
「俺達は戦闘経験が少ない人の指導役って所ですか?」
「そうなるね。慣れてくればもう1度チームは組み直す予定だ。だからその時に桜や日向君と同じチームになるように交渉してみよう」
「ありがとうございます」
やっぱりそうか。そうでなければ、こんな組み合わせにならないだろう。
あくまでこの先コミュニティーを発展させる為に、わざとこのグループ分けにしたんだ。
「わかりました。それで、何グループあるんですか?」
「20グループあって、基本は各グループ6人で割り振ってある」
「6人か」
となると、メンバー間の配置が問題だな。
俺は銃を使っているので、基本後衛での立ち回りになるだろう。
そうなると残りのメンバーが重要になってくる。
近接戦闘系はもちろんのこと、贅沢を言えば回復役もほしい。
「出来れば前衛が3人はほしいですね。最悪俺も前で戦えるので、2人以上いればいいです」
「そのことなんだけど‥‥‥」
どうしたんだろう、そんなに申し訳なさそうな顔をして?
「何かあったんですか?」
「実は僕達がいるBチームは4人の編成なんだ」
「4人? 何でうちのチームは4人編成なんですか?」
「ごめんね。これもうちの事情でさ、今度理由を話すから」
「今は話せないってことですか?」
「そうだね。ごめん」
あぁ。これはなんか厄介なことに巻き込まれたな。
春斗さんの事だ。もしかしたら問題児ばかり集めたチームを編成させられた可能性がある。
「まさか、グループの中に問題がある人とか入れてませんよね?」
「‥‥‥‥」
おっと俺から露骨に目を晒した。これは図星だな。
桜をメンバーに含めなかったのも、それが理由かもしれない。
「事情は大体察しました」
「すまない」
「ところで肝心の他のメンバーはどこにいるんですか?」
「メンバーは僕も入れて、ここにいる2人だ」
「ゲッ」
その姿を見た瞬間、俺は思わず呻いてしまった。
1人は昨日屋上で見た少年。学ランを着たボサボサの髪の少年。確か名前は八橋っていってたな。
それにもう1人は桜の友達の前野由姫だ。こちらも昨日桜と会った時近くにいたが、何一言も話さなかった不気味な少女だ。
「紹介するよ。こっちの男の子が八橋俊之君で、もう1人の女の子が前野由姫さんだ」
「俺は山村空だ。よろしくな」
「‥‥‥‥よろしく」
「‥‥‥‥」
なんだ、これ? 自己紹介しているのに2人共そっけない。
八橋はボソボソ声で話してくれたが、前野さんに俺のことを無視している。
日向や桜のグループをみると自己紹介だけで盛り上がっているのに、俺達のグループだけお葬式のような雰囲気だった。
「春斗さん」
「今は我慢してくれ」
「我慢してくれって」
確かにこの2人と一緒になるなら桜を外して俺を入れた理由もわかる。
まともに連携が取れないから、まとめ役として春斗さんと連携が取りやすい俺のことを呼んだってことか
「とりあえず自己紹介はこれぐらいにして、早く食料調達に行こうか」
「わかりました」
「それじゃあ車に乗ってくれ。そこで雑談をしながら、狩りができる所に行こう」
春斗さんの後に続き、駐車場へと向かう。
そこに止められている1台の車に乗り込んだ。
「あぁ、なるほどな」
どうやら俺は春斗さんにはめられたらしい。
きっと1人では手に負えないから、俺をこのグループに入れたんだ。
「これは先が思いやられる」
「どうしたんだい? 空君」
「何でもありません」
申し訳なさそうに話す春斗さんを見て色々察した。
「しょうがないな」
春斗さんにも色々借りがあるし、少しぐらいは協力しよう。
様々な人の思惑が交錯しつつ、食料調達に行く車は発進するのだった。
ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします!
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】を押して頂ければ幸いです




