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愛されキャラ

「貴方達、大変な目にあったのね」



 良子さんは俺達の説明を聞き終えた後、そのように話す。

 俺達の報告に関しては、先程校長にしたよりも簡潔に話していてその間良子さんはうんうんと頷いていたのだった。



「でも、先輩達といてすごく楽しかったです」


「あのことを楽しかったで済ませられる桜は本当にすごいな」



 ゴブリンだけならまだしもゴブリン上位種との激闘の数々。

 俺ならあんな体験、2度としたくない。



「まさかこの辺にいたゴブリンが少なくなったのも貴方達のおかげだったなんて」


「いえ、僕達はデパートを守るために戦ってただけですから」



 そうだ。俺達は悠里の母親である祥子さん達がいたデパートを守るために戦っていたのだ。

 この周辺のゴブリンが少なくなったのは、あくまで副次的な効果でしかない。



「君達のおかげで、ようやく本格的な食料調達にいけそうだよ」


「今まで食料はどうしてたんですか?」


「うちの中で戦える精鋭達が調達に行ってたんだよ」


「そうなんですか」


「中には帰ってこなかった人達もいたけどね。この辺は結構モンスターが多かったから」



 つまり帰って来れなかった人達は死んでしまったのだろう。

 きっとあのゴブリン達にやられてしまったのだ。



「精鋭班の人達が山までいって、狩りをしてるんだよ」


「狩り?」


「そうだよ。ここから30分ぐらい車を走らせた所に山があるのは知ってるだろう?」


「あぁ」



 地元でも有名な登山できる山だ。休みの日にはピクニックでくる家族連れに人気のスポットと聞く。



「でも、あそこの山って動物がいた記憶はないんだけど?」


「動物はこの近辺にモンスター達が出てきてから、現れ始めたんだ」



 この現象が起きてから動物達が現れたのか。

 そうなると山にいるのは動物たちじゃないな。



「たぶんその動物って、モンスターですよね?」


「モンスター?」


「そうです。きっと山にいるモンスターは、倒すと肉をドロップするってことじゃないですか?」



 モンスターが肉を落とすか。今まで武器や薬草を落としていたから、ありえない話でもないか。


「確かに、桜が立てた仮説が正しそうだ」


「それよりも空君、さっきのゴブリン達の話は三葉校長に話したのか?」


「はい」


「そうか。もし外が安全だってことがわかれば、食料調達の人数を増やすかもしれないな」


「増やすんですか?」


「そうだ。もしかしたら君達にも声がかかるかもしれない」



 かかるかもしれないじゃなくて、確実にかかるだろう。

 もしかすると、俺達も班分けの会議に参加させられるかもしれない。



「ここにいる人達はみんなjobを持っているんですか?」


「全員持ってるよ。むしろ私達大人より、学生達の方が積極的にモンスターを狩ってる分レベルが上がるのが早い」



 ということはここの中心は大人ではないってことか。

 あの校長が上手くまとめてるんだろうが、基本は俺達と年が近い子供が中心となって色々やってるのだろう。



「ここまでで何か質問はある?」


「俺は特にないです」


「僕も」


「それはよかった。もうすぐ旦那も来るから、それまでゆっくり‥‥‥って、言ってるそばからきたみたいだね」



 廊下からせわしない足音が聞こえ、保健室の扉がバンと開く。

 そこから顔を覗かせたのは、俺達の元担任で桜の父親。木内春斗だった。



「桜」


「お父さん」


「よかった。生きてたんだな」


「うん。先輩達に助けてもらいました」



 春斗さんは、椅子に腰掛けていた俺達の方を見た。

 そして俺達に向かって頭を下げる。



「桜を助けてくれてありがとう」


「そんな、顔を上げて下さい。僕達は何もしてないですから」



 確かにそうだ。俺達は何もしていない。ここまで生き残ったのは桜が自分自身で生きたいって思ったからだ。

 むしろ俺達の方が桜に助けられていた。春斗さんはやがて顔を上げると驚いた顔をした。


「もしかして、君は日向君?」


「お久しぶりです」


「それに後ろにいるのは空君じゃないか。よかった。君も生きていてくれて」



 春斗さんは俺の事を見ると、ほっと胸をなでおろしているように見えた。



「俺が簡単に死ぬような人に見えましたか?」


「そうは思わないが、このご時勢だからね。いつ何があってもおかしくない」



 確かに春斗さんの言うとおりだ。実際俺達だって何度も命を落としそうになった。

 こうして面と向かって話すことが出来るのは奇跡に等しいだろう。



「先輩は素直じゃないですね」


「そうね。さすがは空。へそ曲がり大王の名は伊達じゃないわ」


「へそまがりじゃない」



 桜だけじゃなく、悠里からも馬鹿にされてしまった。

 そんなに俺はへそ曲がりなの?



「空だからしょうがないよ」


「空君らしいね」


「だな」



 いつの間にか全員が全員桜の意見に賛同している。



「納得いかないんだけどな」


「空先輩は皆に愛されてるんですよ」


「そう言うものなのか?」


「そういうものです」



 納得できないが桜がこういっている以上、俺からいうことは何もない。

 こうして俺達は夜になるまで、保健室で話をするのだった。


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