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懐かしい場所

「やっとついた」



 デパートを出てから3時間、やっとの思いで桜が通う中学につく。

 結果的にここまで時間がかかったのは散々寄り道をしていたことが原因だが、目的地に無事着くことが出来た。



「空、この荷物って本当に意味あるの?」


「もちろんだ」



 俺達の背中にはそれぞれ小さいリュックサックを背負っている。

 その中には今日コンビニやスーパーで手に入れた食料品が入っていた。



「こんなことをしなくても、アイテムボックスに入っているものを渡せばいいんじゃないかな?」


「前も行ったけど、出来る限りスキルは人に見せない方がいいだろ? それにアイテムボックスに入ってるものを使うのは本当に困ったときだけにしろ」


「確かに空の言っていることも一理あるけど‥‥‥」


「日向、デパートの件を忘れたのか? 学校にもどんな人がいるかわからないんだ。用心深く行こう」



 デパートで出会った千葉や二階堂のように、学校の中にもどんな人達がいるかわからない。

 出来る限り手の内は見せず、単なる避難民として中に入ったほうがいいだろう。



「でも、それだけで中に入れてくれるかな?」


「そのための食料品だ。これを使って交渉すればいい」



 これだけ食料を集めてきたんだ。さすがに学校の人も中に入れてくれるだろう。

 それにお菓子やジュース等今では中々手に入らないものを持っている。

 最悪話ぐらいは聞いてもらえると思う。



「そういえば先輩、アイテムボックスにも食料品を入れてましたよね?」


「それは俺達の分の食料だ。何かあった時の」



 これからの戦いで何が起こるかわからないからな。非常食として持っていおいても損はないだろう。



「前から思ってましたけど、空先輩って用心深いですよね」


「昔からそうだよね、空は」


「用心深くて悪かったな。それより中に入るぞ」



 外からの学校の敷地内を見たところ、校庭には人がいない。

 校舎の明かりもついていないので、学校には一見誰もいないように見える。



「おかしい」


「何がおかしいの?」


「もしここがゴブリン達に襲われたとすれば、もっと中は荒れているはずだ」



 それこそ校舎の窓ガラスは割れ、物が散乱していてもおかしくはない。



「つまり空がいいたいのは、この学校はあまりにもきれいすぎるって言いたいのよね?」


「そうだ」



 この近辺には角を曲がればゴブリンに出会う程、ゴブリンの遭遇率が高かったはずだ。

 そんなゴブリン達が学校を襲わないとは考えにくい。



「となれば、何か仕掛けがあってもおかしくないけど‥‥‥」



 そんな仕掛けなんて本当にあるのかよ。いくら考えても思いつかない。



「僕は空の考えすぎだと思うけど?」


「私もそう思うわ」


「どのみち中に入ってみればわかることです」



 そう言って桜が閉まっている校門に手をかけた。

 そしてそのまま扉を開けようと横に動かそうとしているが全く動かない。



「あれ? 動きませんね」


「嘘?」


「俺に代わってくれ」



 桜の代わりに俺が全力で校門を動かそうとするが、びくともしない。

 両手を使って必死に校門を開こうとするが微動だにしない。



「動かない」


「空、僕も手伝うよ」


「頼む」


 俺と日向、2人がかりで校門を押すが全く動かない。

 男2人がかりで動かないとなると何か仕掛けがあるのだろう。



「もしかして動かないんじゃなくて、固定されてるのか」



 それなら校門がピクリとも動かないのも説明がつく。

 固定されているものを無理矢理動かすことなんてできないのだから、俺達がやっていることははっきりいって無駄だ。



「もう1度やろう。空、全力で押すんだよ」


「わかった」


「せーーーーーの」



 能力持ちの2人で校門を押してもびくともしない。

 こうなると本当にこの校門が固定されてるとしか考えられない。



「まさか‥‥‥」


「空? 校門を飛び越えるなんて危ないよ」


「大丈夫だ。俺の予想が正しければ‥‥‥」



 予想通り、飛び越えられなかった。具体的には登った瞬間にはじき返されたといったほうがいい。



「空先輩、これって‥‥‥」


「たぶん結界だろう」


「結界?」


「何でそんなものがこの学校に張られてるの?」


「なんでだろうな」



 可能性として挙げられるのは、既にこの学校は別のモンスターの根城になっている。

 または誰かのjobのスキルで結界が張られてる、その2択だろう。



「空先輩はどう思いますか?」


「可能性としては、どこかのjob持ちのスキルで結界を張ったか、もしくはモンスターの根城になってるかの2択だ」


「空もそう思う?」


「あぁ」



 それで間違いない。job持ちならまだいい。同じ人間なのだから話し合いで解決が出来るはず。

 だけどこの中にゴブリン以上のモンスターがいたとしたら? 俺達はあっという間にやられてしまうだろう。

 ただ殺されるだけならまだいい。もしかすると桜や悠里は慰み者にされる可能性もある。



「ここは一旦仕切り直そう。デパートに戻って対策を‥‥‥」



 日向達に話しかけようとしたその時、背中の方が輝いた気がした。

 俺の方を見る3人は驚いたように学校を見つめている。



「一体何が起きたの?」



 悠里がそういった理由もわかる。

 後ろを振り向くと先程何もなかった校庭には多くのダイナテントが建てられ、そこにはたくさんの人が列をなしている。

 校庭の中央には机やテーブルが並べられ、そこで昼食を食べている人が大勢いたのだった。



「ねぇ、空。僕達は夢でも見てるの?」


「さぁな」



 さっきまで何もいなかった所に現れる人々。

 これは間違いない。きっとjobを持つ誰かのスキルで、この周りに結界を張っていたんだ。



「これも、誰かのスキルだったって事?」


「わかりません」


「少なくとも、俺達のことを歓迎はしてくれているみたいだ」



 俺達の正面から歩いていく、70代ぐらいの白髪が生えた男性が俺達の方へと歩いてきた。

 蓄えた白いあごひげを触りながら、俺達のことを値踏みしているようにみえた。



「君達は‥‥‥何しにきたんだい?」


「俺達の両親を探しに着ました」



 老齢の男性は俺達のことを見回している。

 実はこの男性の名前を俺は知っている。相手は俺のことなんか知らないと思うけど、それ程有名な人だった。



「両親か‥‥‥誰の両親か教えてもらってもいいかな?」


「はい、桜‥‥‥木内さんのです」



 そう言って俺の前に桜を出す。俺のことは知らなくても、桜のことは知ってるはずだ。

 あえて桜呼びでなく、木内呼びしたのもその為だ。



「なるほど、なるほど。そういうことか」


「理解してもらえましたか?」


「うん、君達が来た理由がよくわかった。



 老齢の男性は懐かしい様子で俺達の事を見る。

 その目は桜ではなく、俺と日向を見ているように思えた。



「君達は卒業して以来か。木内さんは久しぶりって言った方がいいかな?」


「お久しぶりです、おじいちゃん先生」


「桜ちゃんはこの人と知り合いなの?」


「はい、うちの中学のおじいちゃん先生です」



 そういえば中学時代、そう言う呼び名でこの人は呼ばれてたな

 俺達だけではなくて、桜達もそう言っていたのか。もしかするとこの呼び名は全学年共通みたいだな。



「日向君も空君も久しぶりだね。元気にしてましたか?」


「僕達のことも覚えてるんですか?」


「当たり前じゃないか。柴山日向と山村空って言えば、この向山中学で有名じゃないか」


「そんなに俺達は有名だったのか」



 まさかこの人にまで俺達の噂が広がってるなんて思わなかった。

 目の前の老齢の男性は笑っているが、俺としてはただただ恥ずかしい。



「空。僕達って有名だったみたいだね」


「そのようだな」



 中学時代そんなに派手なことはしていないつもりだったが、どうやら教師陣は俺達に目を光らせていたらしい。

 筆頭といったら桜の両親辺りだろう。昔よくお世話になったからな。あの2人には。



「ちょっと空、私だけ置いてけぼりなんだけど? この人は一体誰なの?」


「わるいわるい、この人は俺達の中学時代‥‥‥」


「この中学の校長をしている、三葉徹といいます。在校生の木内桜さん、卒業生の柴山日向君と山村空君が通っていた中学校の学校長です」



 この学校の学校長、三葉徹は柔らかな笑みを浮かべ自己紹介をしたのだった。

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