旅立ちの朝
章を分類しました。本日より第2章が始まりますので、よろしくお願いします。
「空、準備はできた?」
「あぁ、こっちは大丈夫だ」
最後の手荷物をアイテムボックスに収納し、デパートを出る準備を終える。
あのゴブリンの襲撃から1週間が立ち、デパートでの生活は落ち着きを取り戻していた。
「なんだかここを出るのが名残惜しいよね」
「そうだな」
色々あったが、いざここを出て行くとなると感慨深いものがある。
最初は最悪な場所に来たと思っていたが、こうして1週間過ごすうちに多少ではあるが愛着が出てきていた。
「それもこれも日向のおかげだな」
「僕は何もしてないよ」
「してるだろ? 日向がやってる講習会のおかげでどれだけの人がjobを取得したと思ってるんだよ」
毎日のように日向が行うjobを取得する為の講習。そのおかげでこのデパートの全員がjob持ちとなった。
今では全員が日替わりで食料調達やデパートを守るための役目についている。
「それに俺は怪我を治すことで精一杯だったから、デパートの件に関しては何もしていない」
実際怪我が治ったのも最近の話で、体が問題なく動くようになったのでこうしてここを出ようとしていた。
「桜ちゃんには感謝しないとね」
日向の奴め、余計なことを言ったな。
俺の怪我をしている間、付きっ切りで看病してくれたのは桜だ。
「ちゃんとお礼はいいなよ」
「わかってるよ」
それを直接本人に言うのが難しいんだけどな。からかわれそうだし。
下手すれば『先輩、何か怪しいお薬でもやりましたか?』と言われてしまう可能性もある。
「はぁ、どうすればいいんだ?」
「どうしたんですか? そんなに悩んで?」
「いや、ちょっと桜に‥‥‥って、桜!?」
いつの間にか、俺の後ろに桜がいた。
黒いミニスカートに黒タイツ姿で白いボーダーのニットトップス。
愛も変わらず可愛らしい姿で俺の前に現れるのだった。
「何の話をしていたんですか?」
「空がね、桜ちゃんに‥‥‥」
「余計なことを言うな」
桜に聞かれると余計ややこしくなる。
現に見てみろ。疑わしい人を見る目で俺のことを見てるぞ。
「何か怪しいですね」
「怪しくないから気にするな。それよりその格好だけど‥‥‥」
「格好? この服装、十分可愛くないですか?」
「確かに可愛いいんだけど、その背中に背負ってるものが問題だ」
「背中?」
桜の背中には紫色の物々しい槍を背負っていた。
これが桜の可愛らしさと相反して、物騒な印象を決定付けている
「この槍のことですか?」
「いつもそれ持ってるよな。紫の槍」
「これはあたしのドロップアイテムですから」
桜が持っている槍は前回ゴブリンキングと戦った際に出てきたドロップアイテムだという。
見た目は棒の両先が細く削れ尖っているだけのとてもは槍とはいえないもの。
棒に刻まれた赤い印の様なものが、一層物々しさに拍車をかけているのだった。
「それにこれはもうあたしの持ち物になったようですよ」
「えっ?」
「見ててください」
そういうと、桜は持っていた槍を消して見せた。
マジックじゃない。これは俺の持つアイテムボックスを同じスキルだ。
「桜、その槍はどこにしまったんだよ?」
「さぁ?」
「はっ?」
「あたしが使い始めてから、先輩のアイテムボックスみたいに槍だけ収納できるようになったみたいです」
今度は槍を出し、背中にくくる桜。
いよいよこの武器が呪いの武器のような気がしてきたぞ。
後で桜のステータスも確認した方がいいな。
「桜ちゃん、体に異変はない?」
「大丈夫です」
体に異変がないとなると、もしかしたら俺の考えすぎの可能性もある。
何にしろ様子を見るしかないか。
「先輩こそ、新しいスキルが手に入ったんですよね?」
「あぁ」
そういう俺も前回の戦いで新しいスキルが手に入った。あの音声システムがならなかったのは、俺が気絶していたから聞き逃していたのだろう。
新スキルを取得したのは俺だけじゃない。桜や日向、それに三村も取得していた。
この1週間俺がやっていたことは、新しく手に入れた武器やスキルの解析。
ここを出る為の準備は怠らなかった。
「皆準備が出来たって事でいいよね?」
「おう」
「はい」
「じゃあ行こうか。桜ちゃん、悠里ちゃんは?」
「悠里先輩はお母さんとお話しするみたいです」
「そうするとちょっと遅くなりそうだね」
「そしたら俺達だけで先に入り口に行こう」
「そうだね」
最小限の荷物を持ってお世話になった部屋を出る。
慣れ親しんだ部屋を後にして、デパートの入り口へと向かうのだった。
空や日向のスキルについては次回詳しい説明が入ります。
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