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VS ゴブリンキング 友人の意地

本日も2話更新になります。

前話を見ていない方は、そちらからご覧下さい

 ゴブリンキングの体は傷だらけだが、その目は死んでない。

 俺のことを敵と認識して、本気で殺そうと思っているように見えた。



「面白い」



 これこそが俺の望んでいた展開でもある。

 やっとスーパーでの借りを返す時が来た。



「1対1か」



 日向が気絶してしまった為、ゴブリンキングと時間制限付きの1対1。

 ついにあのゴブリンキングと戦うことになる。俺としては願ったり叶ったりの展開だ。



「相手もそれを承知の上か」



 どうやらこいつも俺と差しでの戦いを望んでいるらしい。

 本気で戦わないといけない日向を相手にする前に、ちょこまかと動く雑魚から倒そうってことか。



「いいぜ。相手になってやる」



 スナイパーライフルを背負いながら、俺はゴブリンキングに対峙する。

 そのただならぬ威圧感に足が思わず震えてしまう。



「日向はこんな化け物と戦っていたのか」



 戦うことへの絶望。気を抜くと一瞬で殺されてしまうと思うほどの隙の無さ。

 こんな相手によく日向は接近戦を挑んでいたな。

 つくづく日向がどんなに凄い奴なのか、肌で感じるのだった。



「行くぞ!!」



 ハンドガンを手に持ち、震える足を叱咤してゴブリンキングへ足を向ける。

 先手はゴブリンキング。俺がハンドガンのトリガーを引く前に、ゴブリンキングの剣戟が俺を襲う。



「うわっ!?」



 ゴブリンキングから繰り出される剣を交わすので精一杯になり、すぐに防戦一方になる。

 あいつの狙いは俺が背中に背負うスナイパーライフル。それさえなくなれば、俺なんか容易に倒せると思ってる。



「くそっ!!」



 隙を見てハンドガンだけでなくスナイパーライフルを撃つが、ゴブリンキングはスナイパーライフルの攻撃だけはしっかりと避けていた。

 ハンドガンは受けても痛くないのか、持っている剣を構わず振り回す。



「あいつに隙はないのかよ」



 1発1発の攻撃は単純だが、1発当たれば致命傷になる。しかも相手に油断は無い。確実に俺を殺そうとしている



「考えろ、考えるんだ」



 必死にゴブリンキングの攻撃を避けながら考え続ける。



「こういう時こそ冷静に考えるんだ。あの巨体にダメージを与える方法を」



 あの大木のような体にいくらハンドガンの銃を打ち込んでもダメージは無い。

 かといって、スナイパーライフルは安易に使えない。あいつがやろうとしていることは、スナイパーライフルを壊して俺の攻撃手段を奪うことなんだから。

 少しでも構えるそぶりを見せたら、確実に壊しに来る。



「(てことは、銃以外の攻撃方法か)」



 剣で攻撃するか? いや、一朝一夕の剣の腕なんだ。そんな攻撃、あいつに当たるはずがない。

 剣も銃もダメ。何かないのか、あいつを吹っ飛ばすような、威力の高い攻撃法方は。



「吹っ飛ばす‥‥‥‥そうか」



 1つだけ。たった1つだけだが、こんな俺でもこいつにダメージを与えられる、そんな方法があった。

 俺も危険にさらされるがやるしかない。日向がいない今、俺しかゴブリンキングを倒せる奴はいないんだから。



「こっちにこい!」



 ゴブリンキングを挑発するように、俺はその場から離れる。

 この方法を使うには、デパートから少し距離を取る必要がある。



「空先輩!!」


「桜、今戦ってる人達に出来るだけ前に出て戦わないように言ってくれ」


「わかりました。けど、一体何をするつもりなんですか?」


「いいから。後のことは任せたぞ」


「先輩」



 そう言い残して、桜達からも距離を取った。

 俺は逃げている振りをして、ゴブリン達のことも誘導しながら走っていく。

 挑発だと思ったゴブリン達は、面白いように俺の後ろについてきた



「ここでいいか」



 デパートから少し離れた所にある無人の駐車場。日向も別の所に運ばれたようで姿は無い。



「ここなら、問題ないな」



 ゴブリンキング達は俺を追い詰めたと思ってるのだろう。

 後ろにたくさんの手下(ゴブリン)を引きつれ俺へと向かってくる。

 幸いスピードはこちらの方が速いため、ゴブリン達との距離が充分取れている。

 ここなら使えそうだ。あの方法が。



「これでも食らいやがれ!!」



 アイテムボックスからスーパーで入手した10kgの小麦粉の袋を出して、俺は力任せにゴブリンキングに向かって投げた。

 高々と投げられた小麦粉の袋を、ゴブリンキングは空中で切る。辺りには小麦粉とその煙が充満した。



「まだまだ!!」



 俺はめげずにゴブリンに向かって小麦粉の袋を投げ続ける。

 その数7袋。約70kgの粉が俺とゴブリン達の周りに散っていた。



「オォォォォォォォォォォォォ」



 叫び、怒り狂うゴブリンキングが俺のことを睨む。

 まるで自分達のことを馬鹿にしているのかと言っているように見えた。



「馬鹿にしてなんかないぜ」



 これまでの行動は全て仕込み。全てはこの時の為。この1発の為にある。



「なぁ、粉塵爆発って知ってるか?」



 っていっても、異世界から来たゴブリンがこの世界のことを知ってるわけはないよな。

 ゴブリン達は何も言わず、ゆっくりとこちらに近づいてくる。



「ある一定の濃度の可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、あることをすると爆発が起きるんだよ」



 その条件とは火を起こす事。残念ながら俺は火炎魔法は使えないので火は出せない。

 だけど火花程度なら簡単に出すことが出来る。



「悪いな」



 俺はゆっくりと持っていたハンドガンをゴブリンキングに向ける。

 奴はまたそんなものは効かないといった様子で、ガードをすることさえしない。



「俺の狙いは‥‥‥お前じゃない」



 今お前が誇らしげに持っている、その鋼鉄製の剣だ。



「くらいやがれ!! これが俺の渾身の1発だ!!」



 狙いは鋼鉄製の剣。ゆっくりとハンドガンのトリガーを引き、乾いた音と共に銃弾が飛んでいく。



「当たれ!!」



 自分に狙いがはずれているからか、ゴブリンキングは避けるそぶりさえ見せない。

 ゆっくりと、1歩1歩こちらの方へと歩いてくる。



「剣と銃弾がこすれれば、火花が出る。それさえ出せれば‥‥‥」



 爆発する。



 『チッ』というかすれた音が聞こえ、火花が見えたと思うと、ゴブリンキングの所から大きな光が見える。

 光に包まれるゴブリンキング。それが一瞬、きれいな花火のように見えた。



「きれいだな」



 そんなことをつぶやいた瞬間轟音が耳に届き、体がバラバラになるかと思う程の衝撃が俺を襲うのだった。

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