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空達の戦い

今回は短めです


6/29 加筆修正を行いました。内容は修正前と変わりませんが、空の心理描写等を追加しました。

「先輩、私達って本当にこんな所にいて大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ。俺に任せろ」



 俺達は今ショッピングモール2階のガラス張りになっている窓の前にいた。

 この場所はバリケードのある正面入口の真上に位置する場所。そこのガラス窓に小さな穴を空けゴブリン達を迎え撃つ準備をした。



「空、ここで何をするつもり?」


「ここからスナイパーライフルを使って、あいつ等を倒す」



 この場所なら見晴らしがいいし、あいつ等を狙撃するにはもってこいの場所だ。

 このままあの大軍を相手にするには無謀すぎる。デパートにくるまでに1体でもゴブリンの数を少なくしておきたい。



「無茶だよ、あんな数を相手にするなんて」


「無茶でもなんでも、やるしかないんだよ」



 自分でもわかっている。こんなことをしても焼け石に水だってことぐらい。

 それでも何もしないよりはマシだ。それにこの狙撃はゴブリンの数を減らす以外に、別の意味も含まれている。



「それにここから射撃をして、ゴブリン達を撹乱することが出来るかもしれないだろ?」



 どこから撃たれたかわからない状態。きっとそれはゴブリンの大軍に混乱を与えることが出来るかもしれない。

 それにもしその銃弾がデパートからきているとわかっても、銃弾を避ける為に慎重にならざる得ない。

 そうなるとデパートに着くまでの時間が通常よりもかかることになる。



「つまり空先輩は、時間稼ぎをするってことですか?」


「そうだ」



 正直な所、俺達に今できることなんて時間稼ぎだけだ。

 少しでもゴブリン達の行軍が遅らせて時間を稼ぐ。そうすれば悠里や須田のおっさんが、きっと避難している人達を説得してくれるはずだ。



「今の俺達にできることなんてそれぐらいだ」



 悠里や須田のおっさんを信じて待つ。

 もちろん絶望の中での戦いになる。その中でわずかな光が差し込むのを待つしかない



「空先輩、来ましたよ」



 道路の端から端まで所狭しと敷き詰められたような緑の群れ。

 そこにいるのはゴブリンの大軍。先程まで遠くからしか確認できなかったものが、すぐ近くまで来ていた。



「ずっと待ってたぜ。ゴブリン共」



 アイテムボックスからスナイパーライフルを取り出し、ゴブリンの群れに照準を合わせる。

 その距離約3km、俺の目にはゴブリン達1匹1匹の姿がはっきりと見えた。

 道路を埋め尽くさんばかりのゴブリンの大群。この大軍に突撃されたらひとたまりも無い。

 いくら弱いモンスターだからといって、この場所が蹂躙されてしまう。



「空、本当にやるの?」


「やるしかないだろう」



 肉眼でも確認できるぐらいの距離にゴブリン達はいる。

 あの大軍事デパートに突撃されたら、ひとたまりもない。

 だからこそ少しでも個体数を減らせるなら、ここから狙うしかない。



「俺だって、この戦法で何とかできるとは思ってない」


「それならもっと別の方法を取るべきだよ」


「別の方法って言っても何がある?」


「それは‥‥‥」


「思いつかないだろ?」



 俺だって思いつかないんだ。日向が思いつくわけがない。



「今は少しでもあいつ等を混乱させて、時間を稼げればいい」



 その間に悠里や須田のおっさん達がきっと皆を説得してくれるはずだ。

 今は悠里達の事を信じて待つしかない。



「行くぞ!!」



 照準は先頭を歩くゴブリン達。そのゴブリンの額めがけトリガーを引く。

 引いた瞬間銃弾は飛んで行き、先頭にいた1体のゴブリンの頭部が風船のように割れた。



「よし! もう1匹」



 今の攻撃でゴブリン達は慌てふためいている。

 左右に首を振り、どこから敵が来ているか探しているようだった。



「もう1発!!」



 今度はゴブリンソードが前に出てきて盾で銃弾を防ごうとしている。銃弾は盾に当たり、あっけなく防がれてしまう。



「まだまだ!!」



 今の攻撃は防がれたが、ゴブリンソードの盾は破壊した。あいつを守るものは何もない。



「ここだ!!」



 間髪入れずもう一度スナイパーライフルのトリガーを引く。

 スナイパーライフルから放たれた銃弾は、前線に出ていたゴブリンソードの胸の付近に命中。

 ゴブリンソードはその場で崩れ落ちるのだった。



「よし! あいつ等も混乱しているようだな」



 ゴブリン軍の行軍は止まり、周りを見回している。

 自分達の兵隊が2匹も倒されたんだ。自分達も倒されるんじゃないかと疑心暗鬼になるだろう。



「やりましたね! ゴブリン達の行軍が止まりました」


「空、僕達に何かできることはないかな?」


「大丈夫だ。今は休んでてくれ」



 接近戦になった時、どうしても俺じゃ分が悪い。そうなった時日向の力が必要になる。

 皮肉にも俺1人の力じゃゴブリンキングを倒すことなんで出来ない。

 どうしても日向や桜の力が必要になる。だからその時までここで休んでいてほしい。



「今はここで足止めできてればいいからな。俺に任せてくれ」



 遠距離からの攻撃は俺の仕事だ。だから任せてほしい。狙いを定めスナイパーライフルの引き金を引き続ける。

 それにデパート前であんな数のゴブリンを相手にしてたら、俺達の方が真っ先にやられてしまう。

 目には目を。歯には歯を。数には数。こっちも頭数が揃うのを待つしかない。



「ちっ、弾切れか」



 スナイパーライフルの弾がなくなり、リロード時間に入った。

 弾は無限に出てくるのだが、このリロード時間というのが厄介だ。

 俺がもつハンドガンなら5秒の時間を要してしまい、スナイパーライフルは10秒の時間を使う。

 その間スナイパーライフルが使えず、こうしてゴブリンの進撃を見守るしかない。



「空先輩! ゴブリン達がこっちに向かってきます!!」


「わかってる」



 今度はハンドガンを取り出し、ゴブリンめがけて撃つ。

 スナイパーライフルとは違い、比較的近距離用の武器の為中々ゴブリンに命中しない。

 また命中したとしても威力が弱い。ゴブリンの体に当たるが、致命傷としての効果は無い。



「空、また進軍が始まっちゃったよ」


「あぁ」



 体勢を立て直して、ゴブリン達が進軍してくる様子が見えた。

 今度はゴブリンソード達が前線で盾を構えて、こちらに向かってくるのがわかる。



「向こうも考えてきたようだな」



 どうやら向こうも頭を使ってきたようだ。盾で防ぎつつ、慎重に進軍を始めた。



「空先輩!!」


「わかったから、今は俺に任せてくれ」



 果たして、こんなことで時間稼ぎになるかわからない。だけど今は、悠里達を信じて戦うしかない。

 こうしてゴブリン軍団との絶望的な戦いが始まったのだった。

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