桜の買い物
「よし、ついたぞ」
俺達は櫛引に案内され、スーパーへと来ていた。
ショッピングモールを出て15分ぐらいの距離の所にある大型スーパー。
その駐車場に、俺達は車とバイクを停車させたのだった。
「桜、辺りに敵の気配はないか?」
「大丈夫そうです。スーパーの中もこの辺り一体も特にモンスターの気配はありません」
「そうか」
俺のスキルが何も知らせないって事は、きっとここに危険は無いのだろう。
これならこの辺を自由に行動していても大丈夫そうだ。
「よし、大丈夫だ。日向君達も降りていいよ」
車組の方も櫛引を先頭に降りてくる。
櫛引達と楽しそうに笑う日向が印象的だった。
「それにしても日向君か」
車にいる間に日向の奴、あの連中とずいぶん仲良くなったんだな。
先程まではぎこちなかったが、今はそんな様子が無い。
「日向先輩のコミュニケーションスキルってすごいですね」
「そうだな」
「空先輩には絶対取得できないスキルですね」
「一言余計だ」
そんなことは言われなくても俺が1番わかってる。
あのスキルは俺が一生かかっても取得することはできないだろうな。
「山村君、こっちだ」
櫛引に呼ばれ、俺も日向達がいる場所まで行く。
そこに行くと車組の5人も全員終結していた。
「それではこれから各自で食料の調達を行います」
「車の中にはダンボールがあるから、それに食料は入れてください」
「ちなみに多少のつまみ食いは多めにみるから、お腹を壊さない程度にお願いね」
「ではこのまま一旦解散しましょう」
そういうと、先程の3人組は車の中からダンボールを取り出しにかかる。
なるほどな。基本は自由行動で、必要なものはダンボールに入れて持ち帰るって事か。
別に中のものに関しては、勝手に食べてしまっても問題はないらしい。
なるほど、いくばくかの食料をデパートに持ち帰れば、後は好きなようにしていていいってことか。
「日向達はどうする?」
「僕はとりあえず、ダンボールの中に食料をつめていこうと思ってる」
「私も。必要なものがあれば、各自持ち帰ればいいんじゃないかしら?」
大体の方針は決まったが、その辺りの方針は別にいい。
俺が聞きたいのはもっと別のことだ。
「アイテムボックスのことは3人に話したのか?」
「話してないよ」
「それならいい」
話してないなら好都合だ。必要なものがあるなら、アイテムボックスに入れていけばいい。
「悠里に桜。もし必要なものがあれば、俺か日向にそっと渡してくれ。アイテムボックスに収納するから」
「わかったわ」
「はい」
「日向も必要なものがあったら、自分のアイテムボックスに保管するんだぞ」
「もちろんだよ」
そこが確認できればいい。後はその能力を使って必要なものは持って帰ろう。
たぶん食料以外にも必要なものがあるはずだから。
「日向君達、そんな所にいないでダンボールを取りに来て」
「わかりました。空、行こう」
日向に促され、俺達もダンボールをとりに行く。
ダンボールを持った俺達は、スーパーの中に入るのだった。
スーパーの中は比較的争われた形跡もなく、きれいになっていた。
生鮮食品類はゴブリンやオークが持っていった影響か、殆ど置いてなかったが、スナックやジュースと言ったものは比較的残っていた。
「さて、どうしよう」
食料といっても何を入れるべきか。
正直、スナック菓子や飲料水を持って帰ればいいような気がする。
後は必要なもの、必要なものっていっても何を持って帰ろう。
「空先輩。ちょっとこっちに来てください」
「なんだよ、桜」
「いいもの見つけたんで。早く来てください」
桜に連れて行かれたのは、スーパーのバックヤード。
バックヤードの中に足を踏み入れたが、薄暗くて物がよく見えない。
「どうしたんだよ、桜?」
「これを見てください」
「なんだ? これ?」
桜が指を指したのはデスソースというものだった。
しかもあろうことか1番辛いものがバックヤードに残っている。
「こんなのどうするんだよ?」
「もちろんお料理で使うんです」
「これを使うの?」
ネット情報だけど、デスソースはものすごく辛いと聞く。
俺は別に辛いものが好きなわけでもないし、こんなものいらない気もするけど。
「そうです。せっかくだから、あたしは調味料全般の保管を先輩にお願いしようと思いまして」
「調味料ね」
果たしてこれから料理をする機会なんて本当にあるんだろうか。
持っていてもあんまり意味がないような気がするけど。
「とりあえず収納しよう」
「はい」
「先輩、こっちに醤油やお酢もあるのでお願いします」
「わかった」
それから俺は桜に言われた通りのものを収納する。
お酢やみりんの他にケチャップやマヨネーズ、様々なものを収納した。
「先輩、これもお願いします」
「桜、さすがにこれはいらないだろ?」
最後に桜が指を指したのは小麦粉の袋。
過剰に発注しすぎたせいか。紙の袋に入った10kgのものが8つ。
業務用と思われるものが、倉庫に置いてあった。
「空先輩はわかってないですね。小麦粉は色々な料理に応用できるんですよ」
「そういうものなの?」
「そういうものです」
桜がそういうならしょうがない。俺は小麦粉の袋をアイテムボックスに入れた。
「さて、次に行きましょう」
「まだ探すの?」
正直かんべんしてほしい。いつまで俺のことを桜は拘束する気なんだ?
朝の洋服の件といい、桜は本当に買い物が長いんだな。
「後ちょっとですから。頑張ってください」
頑張ってくださいって言われても‥‥‥洋服の時といい、桜は妙なこだわりが多い。
その分成果は上げるんだけど。さすがにこれを繰り返されると、俺の身がもたないぞ。
「もう少しだけだからな」
「さすが先輩です。ありがとうございます」
楽しそうに笑う桜を見ていると、俺も文句は言えない。
結局俺はこの後も桜の買い物につきあわされるのであった。
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