良子の苦悩②
前話の続きになります。
いつもより少し短めです。
それからすぐ起こったのはリザードマンの巣で起こった悲劇である。
英二さんと菜々緒さんを失い、泣きじゃくる湊君と桜乃ちゃんの背中をさすることしかできなかった。
「英二さん、菜々緒さん‥‥‥なんで‥‥‥何で僕達を置いて行くんだよ!!」
「菜々緒さん‥‥‥」
リザードマンの巣から出て来た2人に対して、私は何もいうことが出来ない。
ただこの状況だけはわかる。英二君と菜々緒さんは、この子達を助ける為に自分を犠牲にしたことが。
「春斗」
「今は声をかけない方がいい」
「そうは言っても‥‥‥」
「辛いのはみんな一緒なんだ。下手な慰めはしない方がいい」
リザードマンの巣から戻ってきた春斗はそれしか言わなかった。
きっとあの戦いで春斗も何かが壊れてしまったのかもしれない。
「悠里ちゃん、日向君は‥‥‥」
「すいません、良子さん。日向君の事はそっとしておいてください」
「‥‥‥わかった」
結局この戦いで目的は達成できたが、大勢の犠牲が出た。
それこそ学校の比にならないぐらい大勢の人が死んでしまう。
この事件は私の中で1番色濃く残る事件となった。
それからしばらくして、ある吉報が私の元に届いた。
それは山で食料調達を行っていた日向君達からの話だ。
「空君達が見つかっただって!?」
「しかもその中に桜もいたのかい!? 詳しくその話を聞かせてほしい!?」
山から戻ってきた日向君の話によると、何でも今桜達はエルフの町という所に身を寄せているらしい。
そして近日中に日向君達はエルフの町に行くという。
「その町は本当に安全なのかい?」
「空達が身を寄せているので、大丈夫だと思います」
「でも、もし君達の身に危険が及ぶことがあれば‥‥‥」
「そんなことはありませんよ。だって僕達の側には空達がいますから。あそこ以上に安全な場所はないと思います」
日向君は空君の事をずっと信用していたからそんなことを言えるのだろう。
みんなが空君が死んだと言っても、彼だけはずっと生きていると言い続けていた。
私や春斗でさえ、あの学校の光景を見て桜は死んだと思った。だけど彼だけは生きていると主張したからこそ、これだけの事が言えたのだろう。
「ねぇ、春斗。そしたら私達も一緒に‥‥‥」
「いや、やめておこう。ここは日向君達だけで行くといい」
「ちょっと春斗、あんた桜の事が心配じゃないのかい?」
「確かに桜の事は心配だが、今僕達が街を離れたら神代さんが何をしでかすかわからないだろう」
「そうだけど‥‥‥」
「ここは日向君達に任せよう。大人の僕達は桜達がこの街に帰って来た時、笑顔で迎えられる準備をしよう」
「うん、わかった」
「決定だな。そしたら日向君、桜達の事よろしくな」
「はい。わかりました」
こうして日向君達は街を出て行った。
その後中々帰ってこない湊君と桜乃ちゃんを探すために捜索隊が組まれた。
たぶん日向君達と一緒にいると思うけど、街の人達が2人が帰ってこないと騒ぐ為、急遽作られたのだった。
「はぁ~~今日も疲れた」
この日私は仕事が終わり、今住んでいるアパートへと帰ってきた。
日向君達が出てかなりの日にちが経つが、いまだに日向君達は帰ってこない。
「あれ? エレベーターが3階で止まってる?」
その事に疑問を思いつつもエレベーターを呼び、5階の部屋へと戻る。
部屋に入って部屋着に着替えると、ドアが開く音が聞こえた。
「ただいま」
「おかえり~~」
いつもの返事をして私は春斗の事を迎えるのだった。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
次話から元の時間軸に戻ります
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