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空の懸念

「もう、先輩は頭が固すぎです」


「‥‥‥」


「もう少し柔軟に物事は考えた方がいいですよ」



 荷物の準備をしながら、俺は先程から桜に説教をされていた。

 必要なものを俺のアイテムボックスに収納しながら、ただ桜の話を聞いているだけ。

 そんな事を30分以上されると流石の俺も苦痛に感じてしまう。



「でも先輩のことだから、きっとあたしの安全のことを考えて言ってくれたんですよね?」


「その中に三村と日向も含まれてるけどな」



 全員が安全に次の場所に進む。その事だけを俺は考えているだけだ。

 別に桜だけのことじゃない。皆のことを考えて言ったまでだ。



「またまた、先輩は天邪鬼なんですから」



 だが、桜は全く俺の話に耳をかそうとしない。

 ここまで俺に対して盲目だと、逆に心配になる。

 間違ってはいないこともないが、それは桜には絶対に言わない。調子にのるから。



「他にも懸念がない事もないんだけどな」


「何かあるんですか?」



 あるにはあるが、それは俺が言っても仕方がない事だ。

 ただこの先、そうなってはほしくはないと思っていることだ。



「俺達が行くデパート。あそこに大勢の人達が閉じこもっていることだな」


「それが懸念事項ですか?」


「そうだ」


「大勢の人が生きてることは、悪いことじゃないと思いますけど?」



 確かにそうだな。人が生きていることじたいは喜ばしいことだ。



「普通はそうなんだけどな」


「それにそんなに大勢の人がいるなら、むしろ喜ばしいことだと思います。悠里先輩のお母さんがいる可能性も高いですし、いい事尽くめです」


「それだけならいいんだよ。無事に三村の母親が見つかって、デパートや商店街を出て一緒に行動するなら」



 桜はいまいち話がわからないのか、コテっと首をかしげた。

 ちくしょう、可愛いじゃないか。



「いいか、桜。助けを求めてるのは三村の母親1人だと思うなよ。デパートにいる全員が助けを求めてるんだ」


「そっか。悠里先輩の母親を保護したら、他のデパートの人全員を保護しないといけないんですね」


「あくまで可能性の話だけどな」



 全員が全員そう言うわけではないと思うけど、その可能性は高い。

 もし、jobやスキルのことを知らなかったら? たとえ知っていたとしてもモンスター達と戦いたがるだろうか。



「それは要注意ですね」


「だな。俺達のスキルのこととかベラベラ話してみろ。アイテムボックスの話なんてしたら、『お前等だけ便利なもの持っていて理不尽だ』とかいちゃもんをつけられて、全てとられるぞ」



 最悪俺達の武器を取り上げる可能性もあるだろう。。

 その後に待ち受けるのは呈のいい用心棒だ。警察や自衛隊がくるまで拘束され続けるだろう。



「それはいただけないですね。でも、全員が全員そういう考えを持っているわけではないと思います」


「あのな桜、人は追い込まれればなんでもするんだ。たとえそれが自分を助けてくれた相手でも」



 その言葉を聞いて、桜は何かを感づいたのかそれ以上は言ってこなかった。

 だけど今桜にいった話は最悪だった場合だ。これ以下のことはきっとないはず。



「だから気をつけろ」


「わかりました」


「別に全部を全部真に受けないでいい。俺の考えが杞憂の可能性もあるから」



 キッチンの捜索が終わり、俺達は玄関へと向かう。

 食料と台所用品をいくつかアイテムボックスに収納した以外、特に持ち物はない。


「さて、この辺の散策はこれでいいだろう。玄関で日向達を待つか」


「はい」



 桜をつれて玄関へと行く。まだ準備をしてるのか、三村と日向の姿はなかった。



「空先輩って、見た目に寄らず色々と考えてるんですね」


「考えるものはいつも最低最悪の場合の想定だけだ。後見た目に寄らないは余計だ」



 全く、桜はいつも一言多い。確かに俺はこんな見た目だから言われてもしょうがないけど、もう少し言い方を考えてくれ。



「さっきの話の続きだけど、もし全員が協力してるなら、そのコミュニティーに入れてもらうのもありだとは思う」


「それならいいですね。みんなで協力するのはありだと思います」


「まぁ、それならそれで色々問題はありそうだけど‥‥‥‥」


「終わったよ」



 丁度2階から日向と三村が一緒に降りてきたみたいだ。

 見たところ手荷物はそんなに無いみたいだ。三村が私服に着替えている以外は。



「悠里先輩、可愛いです」


「ありがとう」



 膝丈までの黒のスカートに黒のブラウス下には緑のノースリーブのニットも着ている。

 三村にお似合いの大人っぽいコーディネートになっているが、それで本当に戦えるの?

 ちなみに日向は紺のジーパンに白のシャツ、黒のジャケット姿だ。かなり簡素だが、日向らしいといえば日向らしい。

 どう考えても学生服姿の俺と桜が、悪目立ちをしていた。



「桜ちゃんも着替える?」


「いえ、あたしはこの服装で大丈夫です」



 さすが桜だ。きっと戦いやすい服装を選んだんだろう。

 確かに今の制服は機動性に優れている。もし戦うなら、日向の服装か制服が1番いい。



「こうしてれば、空先輩とある意味おそろいじゃないですか?」



 うん? この子は何を言ってるんだ? 俺と一緒? 俺はただ着る服が無いからこの服を着ているだけだぞ。



「そうね。桜ちゃんは山村君とおそろいがいいんだよね」


「はい」


「空、頑張ってね」



 何を頑張るかわからないが、とりあえず頷いておく。

 玄関の時計を見ると、既に14時を過ぎている。予定時間を大幅にオーバーしている。



「そんなことより早く行こう。予定時間を越してる」


「そうだね」



 俺達は靴を履き三村の家を後にした。そして、この地区最大のデパートに足を向けたのだった。

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