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ティナの提案

誤字脱字報告ありがとうございます

「僕も‥‥‥僕もエルフの町に行ってもいいの?」


「えぇ、貴方にはぜひエルフの町に来てもらいたいわ」



 ティナから飛び出した衝撃発言。

 驚いたのももちろんだけど、俺達を町に誘ったティナなら言いかねないとも思った。



「俺達をエルフの町に招いた時といい、今回の件といい、ティナのフットワークの軽さには驚いたな」


「いいと思った事には即決即断しないとチャンスは逃げちゃうでしょ。商売の基本じゃない」


「日向は商品じゃないんだけどな」


「言葉のあやってやつよ」



 そう言うと桜や由姫に見えない角度で、俺に向かってウインクをした。



「ティナさん、日向先輩達をエルフの町に連れて行っていいんですか?」


「別に構わないわよ。だってこの人は空がずっと会いたがっていた大事な人なんでしょ?」


「まぁ、そうだな」


「それならエルフにとっても大事な人であることに変わりはないわ。柴山日向をエルフ達は拒まない。むしろ歓迎するわ」



 ティナは当たり前の事のように日向に言う

 日向はティナの発言を呆然とした表情で聞いている。



「本当に僕が‥‥‥エルフの町に行っていいの?」


「えぇ。その代わり私も貴方達の街に連れてってね」


「うん。大丈夫だよ。絶対にティナさんを僕達の街に連れて行けるようにする」


「約束よ」


「もちろんだよ」



 これでティナと日向の間で契約は結ばれた。

 ティナは契約を交わしたからか、やけに満足げだ。


「ダメですよ、日向さん‼︎ エルフ達の街に1人で行くなんて、危険です‼︎」


「そうです!! もし行くなら、私達も日向さんの護衛で着いていきます!!」


「悪いけど貴方達はダメよ」


「何故ですか?」


「貴方達は空の大事な人じゃない。そうでしょ? 空?」


「まぁ、隣にいる2人とは初めて会ったからな」



 正直いてもいなくてもどうでもいいっていうのが感想だ。

 悠里ならまだしも、正直この2人のことを俺はまだ完全に信用できていない。



「ティナさん」


「何?」


「この子達は僕の大切な人だから、一緒に連れて行ってもらえないでしょうか?」


「それも駄目ね」


「理由を聞いてもいいですか?」


「貴方はの大事な人だから、エルフの町に招待したのよ。別にの大切な人を私は招待していないわ」


「ティナ」



 ティナが日向を招待した理由。それは俺にとって日向は大事な人だったかららしい。

 日向を信用していたんではなく、俺のことを信頼してくれたからこその提案だったんだな。



「つまり僕はまだティナさんに信頼されていないってことだね」


「もちろん。いきなりあった人のことをすぐ信じるような馬鹿じゃないわよ。私は」



 日向はその話を聞いて納得したみたいだった。



「空は色々な人達から信頼されているんだね」


「どうだろうな。俺はただがむしゃらに生きて来ただけだ」



 そのせいで俺は色々な人とのしがらみができてしまった。

 その一つ一つの出来事は、この世界が始まる前は考えられなかったことだ。



「ティナさん、空達の大切な人ならエルフの町に招待してくれるんだよね?」


「えぇ、もちろんよ」


「僕はどうしても、もう1人誘いたい人がいるんだ」


「誘いたい人?」


「出来るなら、悠里ちゃんもエルフの町に連れて行きたい」



 日向から出た声に驚くのは俺達である。

 特に桜は両目を見開いて驚いているようだった。



「悠里先輩も無事なんですか!?」


「うん。今は僕達の街で怪我人の治療を主にしてるよ」


「悠里らしいな」



 確か学校でも怪我人の治療を主に担当していた。

 それを今でも街で続けてるのか。



「桜、先輩って言っていたけどその人達とは知り合いなの?」


「学校に向かう前からずっとあたし達と一緒にいた人です。凄く優しくて格好いい人です」


「そうなの」


「この世界が変わった時、俺が最初から行動していたメンバーは2人いた。それがそこにいる日向と今話に出た悠里だ」


「桜はその時一緒じゃなかったの?」


「桜はその日の夜、スケルトンに襲われていたところを日向が助けたんだ」


「日向さんが?」


「そうだ。日向がさっそうと家から飛び出して桜を助けに行ったんだよ。あれは格好よかったぞ。まさにスーパーヒーローとはああいう人の事を言うものだと思った」



 今思ってもあの時の日向の行動力は凄かった。

 スケルトンと戦う手段がないため、桜を見捨てようとした俺とは違い行動力があった。



「そうだったの? 桜?」


「違います」


「えっ!? 違うの!?」


「何が違うんだよ? 俺は事実しか言ってないだろ?」


「絶対に違います」



 明らかに桜は不満気な表情を浮かべる。

 不満なだけではない。どことなく怒っているように見えた。

 


「僕も桜ちゃんの意見に賛成かな」


「日向まで!?」


「元々空が僕の家で銃を撃って、桜ちゃんをスケルトンから守っていたんだよ」


「そうだったの!?」


「うん。それで僕が桜ちゃんを連れ帰る為に飛び出したんだけど、桜ちゃんと出会う為のルートも全部空が考えてくれたんだ」


「確か出会うスケルトンは全て空さんが何とかしていたんですよね?」


「うん。僕の方のスケルトンも桜ちゃんの方のスケルトンも全部空が対処してくれてたんだ。僕はただ桜ちゃんを迎えに行っていただけだよ」


「何だ。やっぱり空は桜のことが大好きなんじゃない」


「大好きっていうな!! それにあの時は外に大量のスケルトンがいて、大変だったんだぞ!!」



 今思ってもぞっとする。俺があそこに飛び出そうとしても、怖くて飛び出す勇気はない。



「あれは日向がいてこそ遂行できた作戦だ。俺1人だったら何もできなかった」


「はいはい、とりあえず空の言い分はわかったわ」


「いや、その投げやりな言い方、わかってないだろう」


「とりあえず先輩が桜のことを大大大好きだってことはよくわかった」


「由姫!?」


「そやなことよりももっと大事な事があるだろう。私達は一体何を話していたんだ?」


「そうだな。今は悠里の事だ」



 俺達の昔話はいい。それよりも今は悠里のことをティナにお願いするのが優先だ。



「空がこんな事を言うなんて、その悠里って人は本当に空達と一緒に行動していたみたいね」


「悠里も俺にとっては戦友みたいなものだからな」


「わかったわ。その人も一緒に来てもらって。お父さん達に話は通しておくから」


「ありがとうございます。ティナさん」


「別にいいのよ。桜にとっても大事な人なんでしょ? それなら全然かまわないわよ」



 これで悠里もエルフの町に来れるようになった。

 後は日向が悠里を連れてくるだけだ。



「桜、春斗さんと良子さんはどうするんだ?」


「お父さんとお母さんとは街に戻った時に会いたいと思います」


「わかった」



 すぐに会わないのは、きっと桜なりの考えがあるのだろう。

 もしかすると自分の両親と会う前に心の整理をつけたいのかもしれない。



「そしたらまた明日、この時間のこの場所で会おう。その時に具体的な日程とかも調整すればいい」


「明日とかは駄目なの?」


「明日は難しいかもしれない」



 猫族ケットシーとの会議がある。ラックスさんと約束しているので、絶対にその会議に出席しないといけない。

 だから来てもらっても迷惑になる。数日滞在するかもしれないから、それ以降になるかもしれない。



「どうして?」


「その理由は今は言えない」


「わかった。明日話してから決めよう」


「いいのか? 理由は聞かなくて?」


「うん。だって僕は空の事を信頼しているから」



 日向が向けた笑顔。その笑顔だけは昔見た笑顔そのままだった。



「本当変わってないよな」


「何が?」


「何でもない。こっちの話だ」



 最初日向と会った時、変わってしまったんだと思っていた。

 でもこいつは何も変わっていない。

 純粋で真っすぐで信じた人の事は疑うことを知らない、純真無垢な奴だ。



「そしたら僕達は一旦街に戻るよ」


「俺達もエルフの町に戻る」


「そしたらまた明日、この時間にここで会おう」


「あぁ、よろしく頼む」



 最後に俺と日向はがっちりと握手をする。

 どうやらここ数日は忙しくなりそうだ。色々とな。



「じゃあまたな。日向」


「うん。空も気をつけて」



 そう言って俺達は別れる。日向達別れた後、俺達はエルフの町へと戻るのだった。

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