VSキマイラ 前哨戦
投稿が遅くなり申し訳ありません
あれから俺達は山を下り、キマイラが見える位置へと移動を始めていた。
キマイラのいる場所まで距離があり、しばらく歩かないとたどり着かない。
なので道中はキマイラに見つからないように、音を立てずに進んでいった。
「ちょっと由姫、本当にこの道で合ってるの?」
「さっきキマイラがいた所とほぼ直線距離だから大丈夫なはずだ」
「それにしてはただの山道のようにしか見えませんけど‥‥‥」
桜達が心配する理由もよくわかる。
今俺達が通っている道は、通常の道とは異なる獣道。
普通人が通らないような道を通っているからだ。
「大丈夫。これがキマイラがいる所への最短ルートだ」
「でも‥‥‥」
「今は由姫のことを信じて歩こう。絶対に目的地にたどり着くはずだ」
以前この山でウォールベアーと戦っている時、由姫が俺の元へと駆けつけてくれた。
その時もこのスキルを使って俺の元へ来てくれたので問題はないだろう。
「それよりも由姫、キマイラがいるところまで後どれぐらいだ?」
「まだ距離はあるが、もう少しいけば開けた所に出る。そこでキマイラを肉眼で確認できるはずだ」
「わかった」
「だけどこの反応は‥‥‥」
「どうしたんだ?」
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
由姫にしては歯切れの悪い返事だ。何かいる場所の不都合があるんだろうか?
「何かあるなら言ってほしい。もしかしたら、それがキマイラ攻略の鍵になるかもしれない」
「それなら言うが、キマイラは私達のすぐ近くにいる」
「本当ですか!?」
「そうだ。だけどキマイラのいる位置がおかしいんだ」
「どういうことだ?」
「私達はまだ山を下りている所だ。だけどキマイラの反応がすぐ近くにある」
「それの何がおかしいのよ?」
「反応が近すぎるんだ。キマイラの反応を思われる場所は地面がない所にある」
「キマイラの反応が地面がない場所にあるだって?」
どういうことだ? つまりあのキマイラの反応は通常ではありえない所にあるってことだよな?
「由姫ちゃんのスキルにエラーが起こっているんですか?」
「わからないけど、行ってみればわかるだろう」
変に考えているよりは答えを見た方が早い。
グダグダと考えていないで、早くキマイラを倒しに行こう。
「開けた場所に出るわ」
森を抜け、俺達は見晴らしのいい丘に出た。
そこから人間達を襲っていたキマイラの姿もよく見える。
「なるほどな、そういうことか」
由姫のスキルが地面から離れた所にはる理由がよくわかった。
あれは由姫のスキルに起きた不具合ではない。
、
「空さん!? 空さん!? あのキマイラ、空を飛んでいますよ!?」
桜が驚くのもわかる。あのキマイラが空を飛んでいたのだ。
そりゃあ由姫も困惑するはずだ。スキルの不具合ではない。むしろスキルはちゃんと働いていた。
「それにしても、何でキマイラは空から攻撃しているのでしょう?」
「理由はきっとあれだ」
「あれですか?」
「人間達の方をみてほしい。全員が剣や槍、それに斧。全部近距離用の武器しか持っていない」
「武器を見て近接戦闘しかできないって判断して、あえて遠距離から攻撃してるのね」
「あのキマイラ、意外と知能があるみたいだな」
近接武器しかないことを瞬時に判断して空から攻撃を仕掛けたのだろう。
見た目に反してあのキマイラは高い知能を持っているのだろう。
「本当にあのキマイラが考えて攻撃しているのでしょうか?」
「たぶん自分で考えて攻撃したんだ。そうでなければ、あんな瞬時に判断しない」
その証拠にキマイラに傷一つない。きっと相手に攻撃される前にキマイラから攻撃を仕掛けたのだろう。
「このままじゃ人間達は防戦一方ね」
「あぁ、俺達も早く助けに入らないとな」
襲われている人達はキマイラに対して、有効な攻撃手段を持っていない。
このままではじり貧だ。キマイラが人間達を蹂躙してしまう。
「あっ!?」
「どうしたんだ!! 桜!!」
「さっきの人達が森の中に逃げ込みました!!」
「賢明な判断だな」
「キマイラが空から攻撃を仕掛けてくるなら、自分達の姿が見えないようにすればいいのよね」
「このキマイラとの遭遇が偶然ならなおさらだな」
後はキマイラが自分達を見失うのを待つだけだ。
キマイラを倒さずに巻くだけなら、あの人達の考えは悪くないように思えた。
「オォォォォォォ!!」
「何だ?」
「森の中に風の刃を飛ばしています」
キマイラの背中から起こった風が森の中を切り裂いていく。
一見するとキマイラの攻撃は意味のないようにも思える。
だけど森の中から、人の叫び声が聞こえてきた。
「あのキマイラ、人間達の正確に場所を把握してる」
「あのキマイラの様子を見ると、たぶん索敵スキルを持ってるんじゃないかしら?」
「索敵スキルですか!?」
「そうでなければあんな大雑把な攻撃ができるわけがない」
確かにティナの言う通り、キマイラは人のいる所に的確に攻撃をしているように見える。
森に風の刃を放ってるのもそのせいだろう。逃げ込んだ人達の悲鳴が1番の証拠だ。
「厄介ですね」
「索敵スキルを持っている相手と戦うなんて、こっちの位置がバレているのと同じじゃない」
「確かにそうだな」
あのキマイラから逃げきることが不利なように思える。
どこにいたってキマイラは場所を特定してしまう。だからあのキマイラからは逃げられない。
「だけど考えようによって、これはチャンスだ」
「えっ!?」
「キマイラは襲っている人達に気を取られているせいで、俺達に気づいてない」
逃げいている人達を囮にして、その隙にキマイラを攻撃する。
気づかれないうちにあのキマイラを弱らすことが出来れば、勝機はある。
「でもどうするんですか?」
「敵は空を飛んでるのよ。私が魔法を使うって手ももちろんあるけど、1撃だけじゃさすがにあの大きなキマイラを倒すことは無理だわ」
「その為にこれがある」
俺はアイテムボックスからスナイパーライフルを取り出す。
そして追いかけている人達を必死に探しているキマイラに狙いをつけた。
「そうです!! 空さんのその武器ならキマイラを倒せます!!」
「だけど大丈夫なの? ここからキマイラまで結構距離があるわよ」
ティナの懸念もわかる。キマイラ迄の距離は概算で600m。目視ではわかりにくい距離だ。
「先輩、一撃であのキマイラを倒さないと今度は私達があの人達と同じ目にあうぞ」
「空さんのスナイパーライフルだったら大丈夫ですよね?」
「いや、それは無理だろう」
「えっ!?」
「あのキマイラはライオンサイズの大きさがあるんだぞ。それを一撃で仕留めるのは無理だ」
スナイパーライフルの銃弾を1発撃ち込んだ所で、キマイラはそんなに変わらないだろう。
動きが少々鈍くなるだけで、あいつを倒す決定打にはならない。
「じゃあどうするんですか?」
「倒せなければ、今度は私達が狙われるわよ」
「それはわかってる」
「ならどうして‥‥‥?」
「別に一撃であいつを倒さなくても、キマイラを倒す方法はある」
「どうするつもりなの?」
「簡単なことだ。あいつを地上に落として、俺達の手の届く範囲で戦えるようにすればいい」
追われている人達がどうしてキマイラを倒せなかったかというと、空を飛んでいて攻撃できなかったからだ。
「だったらあいつを地上に落とせばいい。俺が狙うのは‥‥‥その背中から生えている羽だ!!」
羽に狙いを定めてスナイパーライフルの引き金を引く。
その弾丸は真っすぐ飛んでいき、キマイラの背中から生えていた羽を根元から引きちぎる。
「オォォォ!?」
「まだまだ!!」
羽に向かって狙いを定めて、銃を撃ち続ける。
何発か弾が当たると、そのまま地上へと落ちていく。
「オォォォォォォォ!!」
叫びにならない声を上げながらキマイラは落ちていく。
落ちていく最後、俺達の方を睨みつけたような気がした。
「よし、地上に落ちた!!」
「これで私達もキマイラに攻撃できるな」
「全員でキマイラを倒しましょう!!」
「そうね。早くキマイラが落ちた所へ行きましょう」
ティナの合図をきっかけに俺達はキマイラの元へと向かう。
スナイパーライフルからハンドガンとデザートイーグルに装備を代えた俺もティナ達の後ろを追いかけるのだった。
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