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出発

「日向、準備は終わった?」


「ちょっと待って、今三村さんの荷物を整理してるから」



 朝食を取った後、俺達は日向の家の中にある使えるものを探した。

 食料はもちろんとして衣類や日用品、この先使えそうなものを色々と探し俺と日向のアイテムボックスに収納していく。

 アイテムボックスでは肉や魚等の生鮮食品の保存もできるようで使い勝手がいい。

 これも全部、日向がヘルプのスキルを使って調べたくれたおかげだ。

 1階は俺と桜、2階は日向と三村のチームに分かれ探索を開始している。

 そして現在俺と桜は探索を終え、日向と三村のことを待っている状態であった。



「そういえば桜、その鞄重いだろ? 俺が預かるよ」


「空先輩が持ってくれるんですか?」


「違う違う。こうするんだよ」


「わぁ」



 俺は桜が持っていた鞄を取り上げ、アイテムボックスに収納する。

 それ見て桜は感嘆の声を上げ、その様子をじっと見ていた。



「先輩達が使っているそのスキル、超便利ですね」


「あぁ、だから特別スキルなんだろ?」


「なるほど」



 桜は俺と日向が持つ特別スキル、アイテムボックスに興味津々だった。

 先程の荷物を準備している時、桜にはこの世界のことを話した。

 終始うんうん頷いた桜であったが、冷静に状況は受け止められているようである。

 昨日のあれだけのことがあったのに俺達よりも冷静なように見えた。



「どうだ? 俺達の言ってること、大体理解できたか?」


「はい。でもこれで昨日の夜、日向先輩があたしを抱えて走っていても息切れしない理由がわかりました」


「あの剣についても色々とわかっただろ?」


「はい。色々と合点がいきました。ありがとうございます」



 桜はそう言ってお礼を言う。

 先程から平気そうな顔をしているが、そんな事はないだろう。

 それは1番近くで桜を見てきた俺がよくわかる。

 桜がこういう顔をする時は何か心配事がある時だ。



「桜、両親のことが心配か?」


「それはもちろん心配です。ただ、お母さんもお父さんもきっと上手くやってると思います」



 そういえば桜の両親は中学校の先生をしていると言ってたな。

 確か今は同じ職場の養護教諭と教員だったっけ。



「2人共職場が同じなので‥‥‥‥それに学校なら、もしかしたら避難所になっている可能性もあります」


「そうか。もしそこが地域の避難所になっていて、警察や自衛隊も駐留していたら」


「生きている可能性はかなり高いと思います」



 そこまでポジティブに考えられるならたいしたものだ。

 こういう所が桜のいい所なのだと思う。



「それに‥‥‥‥」


「それに?」


「今は先輩が生きててくれたことがうれしいというか‥‥‥‥お母さん達よりも先に先輩のことが気になったというか‥‥‥‥」


「あんまり恥ずかしいこと言うなよ。俺まで照れるだろ」



 自分の両親のことより俺のことが心配だったとか、どこの乙女だよ。

 桜の言葉に思わず照れてしまい、俺も顔を背けてしまう。



「空先輩は、あたしのことを考えなかったんですか?」


「どうだろうな」



 会いたい人って言われて、桜のことは頭には浮かんだ。だが日向達の前ではっきりそう言ったわけではない。



「あっ、これは先輩のことだから口ではいないって言って、心では思っていたパターンですね」


「何でそう思う?」


「空先輩のことは何でもお見通しなんですよ」



 お見通しってな。お前はどこかのエスパーか。



「でも、うれしいです。空先輩もあたしのことを考えてくれるなんて」


「余計なことを言うな」



 笑顔でこちらの方を見る桜の顔を見ることが出来ず、思わず目を背けてしまう。

 こんな頬が染まって恥ずかしい顔、桜には見せられない。



「空、準備できたよ、ってあれ?」


「どうして2人共顔が赤いの? 何かあった?」


「「別に何でもない」です」



 2人声を揃えて同じことをいう。どうやら同じ事を考えていたらしい。

 俺と桜はつくづく似たもの同士なのだなと思った。

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