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次の目的地

 ソファーで寝ていた日向を起こして、テーブルに座らせる。

 朝食の準備は三村が滞りなくやってくれたおかげで準備は既に完了していた。



「それじゃあ食べよう。いただきます」


「「「いただきます」」」



 日向の言葉を合図に朝食を食べる。

 今日の朝食はご飯と味噌汁と鮭という純日本風の料理である。

 いつも朝はコーヒーしか飲まない俺にとって、この朝食のラインナップは新鮮であった。



「三村って料理できたんだな」


「失礼なことを言わないでもらえる? これでも毎日お弁当は自分で作ってるんだから」



 味噌汁をすすりながら三村は反論していた。

 普通こういう物語の正ヒロインは、料理の腕が壊滅的って決まってると思ったんだけどな。

 確かに学校で弁当を食べているところをよく見かけたが、母親が作ってくれているものだと思っていた。



「ちなみにあたしも料理は出来ますよ」


「それは知ってる」


「空先輩、そこはもっと驚く所じゃないですが?」


「桜の料理の腕は、俺が1番わかってるからな」



 そういった瞬間、桜の機嫌がよくなったのがわかった。

 桜の料理の腕を知ってるのは、家に来た時によく桜がお礼という名のご飯を作ってくれたからだ。

 オムライスとかハンバーグとかやけに子供っぽいものが多かったが、どれもうまかったな。



「空って桜ちゃんの料理食べたことあるの?」


「あるよ。桜がよくうちに遊びに来てた時に‥‥‥‥」


「遊びに?」


「桜ちゃん、山村君の家によく行ってたの?」



 やばい。そういえば日向には桜が俺の家に遊びに来ていたことを言ってなかった。

 特に高校に入ってからは毎週のようにうちに来てた話は一切していない。

 桜が余計なことを言わないといいが、目線を合わせるとパチッとウインクを俺に向ける。

 これなら大丈夫だろう。桜のことだ、上手くやってくれるはず。



「もちろんです。あたしは空先輩の家にはよく行きますし、空先輩が高校に入学してからは最低週に1回は空先輩の家に泊まって‥‥‥‥」


「おい桜⁉︎ 何で余計なことを言ってるんだよ!!」



 桜の発言は2人を驚かせるには充分だった様子。

 特に三村はまるで俺の事をゴミを見るような目で見ていた。



「山村君って自由に縛られたくないから帰宅部をしていたと思ってたんだけど、そうじゃなかったのね」


「僕も。桜ちゃんと会う時間を増やしたいから部活をやってなかったんだね」


「やめてくれ、それ以上言うな」



 聞かれるだけで恥ずかしい。桜の為ではないが、確かに高校の奴にはそう話していた。

 ただあれは桜が勝手に来ていただけで、俺が誘ったわけではない。

 俺の意図して家に連れ込んでない事だけは付け加えておく。



「山村君、いつもはあんな一匹狼を気取っておいて、その実やることはやってるって」


「何もしてないぞ。俺は桜に手を出してない」


「そうですよ。空先輩と一緒にしたことといえば、先輩のお布団に入って一緒に寝ただけで‥‥‥‥」


「あれって、やっぱりわざとだったの⁉︎ 毎回『てへ、入る部屋間違っちゃいました』って言ってたのも全部嘘だったんだな」



 たまに俺のベッドにもぐりこんで、朝びっくりするって奴は全部演技だったのか。

 あれ毎回ドキドキさせられっぱなしで心臓に悪かったんだぞ。



「まぁ、いいじゃないですか。過ぎたことは」


「そうだよ。後輩の可愛いいたずらぐらい許してあげればいいじゃん」


「日向君の言うとおり。貴方はもっと素直になった方がいいと思うわ」


「俺はいつでも素直だよ、そんなことより‥‥‥‥」


「そんなことより?」


「俺達の今日の行動を話し合った方がいいんじゃないか? 三村の家に行くことはいいとして、桜をどうするか?」



 昨日の動きを見たところ、桜はまだこの世界のシステムについて理解していないように見えた。

 そうなるのも無理もない。1人で行動していたんだ。

 恐らくjobやスキルの事等全く知らないだろう。



「それは三村さんの家に行くときでいいんじゃないかな?」


「私もそう思う。行く道中でまた昨日のような敵が出てくるから、その時に説明すればいいんじゃない?」



 おいおい、そんな適当な対応でいいのかよ。

 昨日より強いモンスターが出てくるかもしれないんだぞ。



「そんなに物事は簡単に運ぶわけないだろ?」


「空はちょっと心配しすぎじゃない?」


「桜ちゃんがいるからって、張り切りすぎよ」


「別に張り切ってない」



 なんて適当なやつらなんだ。これじゃあこの先が思いやられる。

 昨日の様な弱いモンスターなら何とかなるが、それ以外のモンスターが出てきたらどうするんだよ。

 さすがに昨日のようには上手く行かないぞ。



「大丈夫だよ。何があっても絶対に僕が何とかするから」


「日向、その根拠はなんだ?」


「僕は勇者だから、だから何があっても皆を守るよ」


「不安しかないな」



 胸を張る日向を前にして、俺はあきれてしまう。

 あまりにも日向らしい回答に言葉が出ない。



「先輩、勇者って何ですか?」


「後で話す、とりあえず今は朝食を食べろ」


「わかりました」



 俺がそう促すと桜も朝食を食べ始める。

 それから俺達は先程まで話していたような殺伐とした話をやめ、朝食を取ったのだった。


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