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クルルの友達

 食後俺は自分の部屋に戻って特訓の準備をする。

 動きやすい服に着替えた後、精神統一をして部屋を出た。



「今日こそは由姫とティナから1本取るぞ」



 今まで俺は由姫とティナと戦って、1本取ったことがない。

 2人に一方的に蹂躙されるだけで、1発も攻撃が当たったことがなかった。



「確かリビングに行けばいいんだよな」



 既に由姫とティナは準備が整っていたので、桜と少しだけお茶をすると言っていた。

 ずいぶん余裕だなと思ったけど、1撃も攻撃を当てられない男と戦ってるんだから、もしかするとあの2人にとっては準備運動をしているような感覚なのだろう。

 リビングの前まで行くと桜達の声が聞こえてきた。



「ティナさんは‥‥‥‥ですか?」


「どうって言われても‥‥‥」


「別にいいではないか。‥‥‥‥っても」


「由姫!! あんた何を言って‥‥‥」


「どうしたんだよ? やけに騒がしけど?」


「んっ!? 空!? いつからいたの!?」


「今さっきだけど?」



 何をティナはそんなに驚いているのだろう。

 桜と由姫は特段驚いていない。むしろ悪い顔をしているように見えた。



「空さん、実はですね‥‥‥」


「空、何でもないわよ」


「でも、桜が何かいって‥‥‥」


「忘れなさい!」


「でも‥‥‥」


「忘れること!! いいわね!!」


「はい」



 何故か理不尽な怒られ方をした上に丸め込まれてしまった。

 話していた内容はわからないが、これ以上首を突っ込むのはやめた方が得策だろう。



「そういえばラックスさんはいつ戻ってくるんですか?」


「う~~ん、わからん」



 あの人がオークの町に向かって、既に1週間以上経過している。

 どこにあるかわからないが、行って戻ってくるのに結構な時間がかかるのか。



「ティナ、オークの町までそんなにかかるの?」


「片道1日しかかからないから、そろそろ戻ってきてもいい所なんだけどね」



 1日しかかからないのか。もしかすると、よっぽどオークの長との話し合いが上手くいってないのか。



「きっとオークキングと今後の事について慎重に協議しているんでしょ?」


「ラックスさんとオークキングは顔見知りなんですか?」


「昔魔王軍にいた時に顔を合わせた以来って言ってたから、何百年前の話かな」


「何百年前!?」



 そんな昔のことオークは覚えているのか? 例えラックスさんは覚えてたとしても相手が覚えていない可能性もある。



「それにしてもよくオークの町の場所がわかりましたね」


「この場所に来た時に私が探索した時にたまたま知ったの」


「ティナが!?」


「私だけじゃなくて、お父様も一緒にいたから」


「だから知ってるのか」



 たぶんこの世界が全くわからないから、ティナと共に探索に出たのだろう。

 だからオークの町がどこにあるのかわかったのか。納得した。



「ラックスさん、心配だな」


「うん」



 あの人のことだからきっと無事だと思うけど、こうまで遅いと心配になってくる。



「そういえばクルルは何してるんだ?」


「‥‥‥‥」


「どうしたんだよ? 皆黙って」



 クルルに対しての周りの反応が全くない。

 まるで触れてはいけないような人のようだ。



「どうしたんだよ、皆」


『すっ』


「えっ!?」



 ティナが窓の方を指差す。



「窓じゃないわ!! 窓の外よ!!」


「窓の外?」



 外に何があるんだろう? 外を見回しても何もない。し誰もいない



「どこにクルルがいるんだよ?」


「草原じゃないわよ!! あっち!! あっちの丘のほうよ!!」


「丘?」



 ティナが指を指している方向を見ると確かにクルルがいた。

 クルルだけじゃなくて子熊達や龍達もいる。



「何だ!? あの格好!?



 子熊や龍達は腰に布のような何かをつけている。

 俺はあれを見たことがある。あれってもしかして‥‥‥



「もしかしなくても‥‥‥まわし?」



 ライトとクロが腰に巻いているのは相撲で使うまわしだ。

 丸い円が書かれていて、その中央にクルルがいる。

 俺の見間違えでなければ間違いな。あれは相撲だ。



「にーーしーー熊のライトーーーー」


「グマ!」


「ひがーーーしーーーー。ドラゴンのクローーーー」


「グゥ!」


「見張ってみはってーーー。はっきょーーーーい、のこった!!」



『残った残った』といいながら、相撲をするライトとクロ。

 お互いのまわしを取り、相手を倒そうと躍起になっている。



「何やってるんだ? クルルは?」



 扇のようなものを持ち、ライトとクロの間にいる。

 クルルはクルルで行事の格好をしていた。



「何やってるんだ? クルル達?」


「この前桜が持って来た本のこと知ってる?」


「知ってる。桜が持っていた教科書だろ?」



 確かこの前桜とクルルが一緒に見てた気がする。



「それを見て感化されたクルルちゃんが、実際にやってみたいってことを言いだしてあのようになりました」


「なるほどね」



 つまりクルルが桜の教科書を見て、感化されて相撲を始めたってことか。

 確かに突拍子もないが、外で遊んでるだけなので何も問題はないだろう。



「それにしてもシロとクロが来てから、クルルも楽しそうだな」


「そうですね」



 俺達と一緒に遊んでいる時も楽しそうだったが、子熊や龍達と戯れているクルルも楽しそうだ。

 昔は人間に怯え、子熊達の後ろに隠れていたのに、今では外で楽しそうに遊んでいる。

 会った時とは比べ物にならないぐらい、明るく社交的になった。



「中々友達ができなかったから、うれしくてしょうがないんでしょうね」



 昔は友達と呼べる人が周りに誰もいなかったが、今では子熊や龍達が遊び相手らしい。

 確かに最近クルルはモンスター達と一緒にいる。

 クルルが歩けばモンスターがついてくる。そんな感じだ。



「おい!! 大変だ!!」


「ディアボロさん!? どうしたの?」



 ドタバタという音が聞こえてきたと思ったら、ディアボロさんがリビングに入ってきた。



「そんなに慌ててどうしたんですか?」


「慌ててるなんてもんじゃない!! 大事件だ!!」


「大事件?」



 大事件って、一体何が事件なんだ?

 こんなのどかな町に黒龍討伐騒動を超える事件なんて、さすがにもう起こらないだろう。



「今‥‥‥‥‥オーク達がこの町に入り込んだらしい」


「えっ!?」


「オークが!?」


「町に入ったんですか!?」



 俺達が驚くのも無理はない。オークが以前町に来て結構な時間が経つ。

 あれからもうここには来ないと思っていたが、また町に侵攻してきたのか



「それは大丈夫なの?」


「オークは1体だけだからなんとかなった。けど‥‥‥」


「けど?」


「ラックスが‥‥‥」


「ラックスさんが?」


「ラックスが‥‥‥オーク達に捕まったんだ!!」


「何だって!?」



 ゆったりとした日常を過ごす俺達に、とんでもないニュースが飛び込んでくるのだった。

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