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頼もしい援護

「先輩、あの大軍に挑んでもさすがに私達2人じゃ勝てないぞ」


「わかってる」



 俺達が戦うのはイリス率いるエルフの討伐隊。その数およそ数百人。

 真正面から戦ってもこちらが負けてしまうことは明白だ。



「何か策はあるのか?」


「ひとつだけある。それにはティナの力が必要だ」


「私の!?」


「ティナにしかできないお願いだ。ちょっと耳を貸してくれ」



 俺はティナに小声で考えている作戦を伝える。

 最初はうなずいていたティナだが、徐々に顔をしかめていき怪訝な顔を俺に向けた。



「空、それは本気!?」


「本気だ。これはティナにしか頼めない」



 あのエルフ達を無力化するには俺達2人だけでは足りない。

 だからティナにはあるお願いをしていた。



「しょうがないわね。上手く説得できるかわからないけど、やるだけやってみるわ」


「助かる」



 もしこの作戦が上手く行けば最低時間稼ぎはできる。

 その間に桜が白龍の治療を終えればいい。



「じゃあ先に行くわね、空」


「あぁ、任せた」


「空さんと由姫ちゃんも気をつけてください」



 桜達が洞窟に行ったのを見送り、改めてエルフ達を見た。

 エルフ達は俺達の事を睨み、剣や槍を構えこちらに向かってくる。



「いけ!! 人間共を倒すんだ!!」


「黒龍側に寝返った奴等だ!! 痛い目に合わしてやれ」



 エルフ達は本気で俺達を倒しに来ているみたいだ。

 この人数で襲われたら、こっちもひとたまりがない。



「先輩、私達はどうすればいい?」


「ここでエルフの大軍を足止めしよう」


「足止めするにもこの大軍をどう足止めするんだ?」


「まずはこれを使って足止めする」



 俺は持っていたデザートイーグルとハンドガンを突き出す。

 それを見たエルフ達の動きが急に鈍くなった。



「おい、人間が謎の武器を取り出したぞ」


「あれはさっき黒龍を追い詰めた武器じゃないか!?」


「警戒しながら攻撃するぞ。遠距離から狙い打て!!」



 俺の予想通り、エルフ達の動きが止まった。

 ハンドガンやデザートイーグルという銃みたいな武器はティナ達がいた世界にはないしろものだ。

 慎重なエルフ達の事だ。見知らぬ武器を前にしてむやみやたらと攻めてこないはず。



「とりあえず今はこれで時間稼ぎをしよう」



 はったりに近いが、これで少しは時間が稼げるはず。

 後は治療が終わるまで、待つだけだ。



「これだけじゃエルフを抑えることができないぞ。いずれバレる」


「そうだろうな」


「じゃあどうするつもりだ? このまま真綿で首を絞められている状態だぞ!!」


「ちゃんとこの戦いを終わらす方法は考えてる」




 これだけ多くのエルフ達を止める方法。

 その方法は1つしかない。


「先輩、それはどんな方法なのだ?」


「敵の司令塔を叩いて、この戦いを終わらせる」


「つまりイリスを倒すということだな」


「そうだ」



 倒すと言っても別に殺すわけではない。

 イリスに少し痛い目にあってもらい、戦うのをやめてもらうだけだ。



「イリスを止めればこの戦いは終わるはずだ。だから俺がイリスの所までいって直接殴ってくる」



 司令塔が機能しなくなれば、きっと他のエルフ達も動けなくなるはずだ。

 そうなればこちらのもの。この戦いは俺達の勝利だ。



「でもこの大軍をどうかきわけてイリスの元まで行く?」


「そうだな」



 銃で狙うこともできるが、ここからじゃイリスを狙い撃つのは難しいだろう。

 スナイパーライフルで狙うこともできるが、動きを止めないといけないので実用的でない。



「方法はあるけど、それには時間がかかる」



 ここからイリスまでの距離は大体500m。正直あそこまで行くのは骨が折れる。



「普通に戦ってもあそこにたどり着くのは無理だろう」


「じゃあどうする?」


「待つしかないな。あいつが来るのを」


「あいつ?」


「とにかく今はこの硬直状態を続けよう」



 しばらくの間ゴム弾をエルフ達の足元に撃ち、こちらに近づかないようにした。

 エルフ達も俺の武器を怖がっているのか、こちらに近づこうとしない。



「何をしている!! あんな武器に対して、怖がる必要はないだろう」


「でも、あの武器は弓よりも早くて威力も強いです」


「それなら弓で攻撃しろ。あいつ等を串刺しにしてやれ!!」



 イリスめ、さっき黒龍に対して俺がハンドガンとデザートイーグルで弓を撃っていたのを見ていたな。

 俺が弓矢を全て撃ち落とすことができないことを知って、この攻撃を仕掛けて来たな。



「先輩、洞窟まで下がろう」


「そうだな」



 さすがにこの攻撃は避けられない。避ける為には洞窟内に避難するしかないな。

 そう思い後ろを向くと、洞窟から何かが出てきた。

 そのモンスターは先程ティナと一緒に洞窟に入った黒龍だった。



「グォォォォォォォォォォォォ!!」


「うわっ!?」



 後ろからの強い衝撃破に俺も思わずのけぞってしまう。

 そして翼を上空にはためかせた。



「すごい!!」



 空を埋め尽くす程あった矢が全て吹き飛ばされる。

 それを見てエルフ達は呆然とその様子を眺めている。



「黒龍、助けてくれたんだな」


「グォ!!」



 どうやら黒龍も俺達の味方になってくれるみたいだ。

 俺がティナにお願いしたのは黒龍に時間稼ぎを手伝ってくれないかという相談だ。

 ティナは最初は渋っていたが、その後了承してくれてこうしてここまで来てくれたんだ。



「悪いな、怪我までさせて」


「グォ!!」



 方の付近を見ると、包帯でぐるぐる巻きにされてある。

 きっと桜が包帯をティナに渡して、ティナが肩に巻いたものだろう。



「ティナはどこに行った?」


「グォ?」



 俺の質問に洞窟の方へと指を指す黒龍。きっとティナも桜達の元へと向かったに違いない。



「来て早々で悪いが、この戦いを止める為に黒龍も協力してくれないか?」


「グォ!」



 首を縦に振っているということは、どうやら協力してくれるみたいだ。

 その雰囲気はまるでやれやれしょうがないと言った雰囲気だ。

 その様子はまるでどこかの脱力系主人公のようである。



「これ以上に心強い存在はないな」



 黒龍が仲間になってくれるならこんなに心強い存在はない。

 あのいけすかないティナの兄貴を1発殴ってやらないといけないしな。

 そろそろ目を覚まさせないと寝ざめが悪い。



「先輩、私と黒龍で道を開く。先輩はイリスの所まで行け」


「洞窟の守りはどうするんだよ? 対応できないだろ?」


「それは私と黒龍で何とかする」


「グォ」


「わかった。任せたぞ」



 由姫に促され、俺はエルフの軍勢に向かって走っていく。

 前からは剣をもった複数の男達が襲い掛かってくる。



「相手は1人だが、絶対に油断するな!!」


「まずいな」



 1人だと思って油断してくれるとありがたかったけど、敵が隙を全く見せない。

 剣を構え俺を切ろうと今か今かと待ち構えている。



「グォォォォォォ!!」


「何だ!?」



 黒龍が後ろで叫ぶ声が聞こえた。

 それと同時何故か嫌な予感が頭をよぎった。



「黒龍の炎が来るぞ!! 避けろ!!」



 どうやら黒龍が道を開くために援護してくれるみたいだ。

 黒龍の攻撃に怯みエルフ達は道を開いた。



「これはラッキーだな」



 今のうちにイリスの所まで行こう。

 だが何故だろう。背筋から寒気がする。



「先輩!!」


「由姫、どうした?」


「早く避けろ!! 避けないと黒龍の炎のブレスの餌食になるぞ」


「えっ!?」



 後ろを振り向くと、黒龍が俺の射線上に炎のブレスをはこうとしている。

 炎のブレスをはくふりでなく、本気の攻撃だ。



「あいつ、俺まで巻き込むつもりなのか!!」



 直後炎のブレスが後ろから迫ってくる。

 慌てて横に飛びのいて避けると、俺がいたところを黒龍の炎のブレスが通過した。



「敵の敵は仲間ってよく言うけど、黒龍は俺まで標的にしてないか?」



 その証拠に俺がいた地面には焦げ跡がついている。

 もし由姫の声を聞かずあそこにいれば、まる焼けだ。



「おい!! 俺まで殺す気か!!」


「グォ」



 くそ、まるで避けない俺が悪いと言っているようだ。

 俺の事を見る黒龍の目が雄弁に語っていた。



「くそ!! フレンドリーファイヤーにまで気にかけないといけないのかよ!!」



 どうやら俺の敵は前方だけじゃなくて後ろにもいるらしい。

 両側を気にしないといけないとは、本末転倒だ。



「でも、行くしかない」



 イリスまでの道が開いた今、一気に駆け抜けるのが吉だ。



「行くぞ!!」


「そうはさせるか!! 後衛部隊!! 魔法を放て!!」



 一斉に照射される魔法の嵐。それが俺へと向かってくる。



「くそ!!」


「私に任せてくれ!!」


「由姫!!」


「魔法は私に任せろa!!」


「何とかなるのか?」


「あぁ、私に任せてくれ」



 一息置くと、刀を手にする由姫。

 俺の前に立ち、剣を構えた。



「私の剣に切れないものはない!! 殺せるなら神をも殺す剣を受けてみろ!!」



 直後、由姫が振った剣が魔法を捉えた。いくつもの魔法が降り注ぐ中、由姫は剣で魔法を切っていく。



「凄い」



 切られた魔法はそのまましりすぼみに消えてしまう。

 神がかる由姫の剣技。いや、神技といっても過言ではない。



「先輩、行ってこい。行ってあいつに一発お見舞いしてやれ!!」


「わかった。ありがとう、由姫」



 仲間達のおかげで道が開けた。由姫や黒龍には感謝しないといけない。



「イリスめ!! 覚悟しろ!!」



 絶対お前の顔を1発ぶん殴ってやる。

 こうして俺は総大将のイリスの元へと向かうのだった。

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