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クルルの冒険 前編

クルル視点の話になります

時系列は町で空達と別れた直後です

「ちょっと、なんで引っ張るの!? クルルも黒龍さんに会いに行くんだよ!!」


「クマ!」


「グマ!」


「離してよ!! 空おにいちゃん、桜おねえちゃん!!」



 ライトとムーンに引きずられ、私はおうちの方へと引っ張られていく。

 いくら抵抗してもライトとムーンが離してくれず、ずるずると引きずられる。



「待ってよ!! クルルも黒龍さんに会いたいんだよ!!」


「クマクマクマ」


「グマグマ」



 ライトとムーンが何かを言っているがわからない。

 きっと私のことをなだめているのだと思う。



「私も黒龍さんに会いたいよ。何で会いに行っちゃだめなの!!」


「クマ」


「放してよ!! 私は黒龍さんに会いに行くんだよ」


「グマ」



 そのままライトとムーンに引きずられ続けること十数分。いつの間にか家の前まで来ていた。

 当然桜おねえちゃん達の姿はもう見えない。このままじゃ置いてかれてしまう。



「放してよ!!」


「クマ」


「グマ」


「えっ!?」



 突然ライトとムーンが私の両手を離してくれた。

 あまりにもあっけなく離してくれたので、私は拍子抜けしてしまう。



「えっ!? 離してくれるの?」


「クマ」


「グマ」



 さっきまでは必死に私のことを引きずっていたのに、家の近くに来たらあっけなく離してくれた。

 離したと同時にムーンが森の方を指差していた。



「どうしたの? ムーン?」


「クマクマ」


「もしかして、皆には秘密で黒龍さんの所に行こうってこと?」


「クマ!」



 どうやらライトとムーンは最初からこのつもりだったみたいだ。

 だからわざわざ桜おねえちゃん達の姿が見えなくなるところに私を誘導してくれたのか。



「クマ!」


「もちろん行くよーー」



 せっかく黒龍さんに会うチャンスなんだ。

 このチャンスは絶対に無駄にできない。



「でも、どうやって黒龍さんの所に行くの?」



 あそこまでの道のりはおねえちゃんに連れて行ってもらったので、どうやって行くか覚えていない。

 闇雲に歩いていても迷うだけだし、どうやって行こう。



「グマ!」


「ライト?」


「グマグマグマ!」


「僕に任せろって?」


「グマ!」



 そういうとライト草原の匂いを嗅ぎ始めた。

 ひとしきり匂いを嗅ぎ終えると、森の方へと指をさした。



「そうか! おねえちゃん達の匂いをたどっていくんだね!」


「グマ!」


「でも、おねえちゃん達の匂いなんてわかるの?」


「グマ!」



 どうやらライトには探し当てる自信があるらしい。

 これだけ自信があるならライトについて行ってもいいのかもしれない。



「それじゃあお願いしてもいい?」


「グマ!」


「ムーンもよろしくね!」


「クマ!」



 楽しそうなライトとムーンにつられて私も一緒に笑ってしまう。

 ライトとムーンと一緒なら楽しい旅になりそう。そんな気がした。



「それじゃあ出発だよ。ライト、道案内はよろしくね!」


「グマ!」



 こうして私達は森に向かって歩き出した。

 目標は見晴らしのいい丘の近くにいる黒龍さんに会う事。

 黒龍さんに会うために、私達は森へ向かって歩き始めた。



「黒龍さんは元気にしてるかな?」


「クマ?」


「あの時はずっと眠っていたけど、きっと今なら起きているよね?」


「クマ!」


「うん、きっと起きてるよね。もし起きたら黒龍さんと一緒においしいものを食べられるといいな」



 その為に背中のリュックにはお昼ご飯を入れてある。お母さん特性のおいしいご飯だ。



「グマ!」


「ライト、のどが渇いたの?」


「グマグマ!」


「それならこれを飲んでよ。お母さん特性のお茶だよ」



 瓶からお茶を取り出し、それをコップに入れライトに渡した。



「グマ!」


「おいしい?」


「グマ!」


「よかった」



 お茶を飲んで元気になったライトは再び地面を嗅ぎ始める。

 地面の匂いをたどって再び歩き始めた。



「クマクマ」


「ムーンも飲みたいの?」


「クマ」


「わかったよ。はい、どうぞ」


「クマ!」



 そういうと美味しそうにムーンはお茶を飲んでいる。

 飲み終わった後幸せそうな表情を浮かべていた。



「ムーン、美味しい?」


「クマ!」



 どうやらムーンも特性のお茶をお気に召してくれたみたい。

 このお茶は緑のお茶とは違う茶色いお茶で、この辺だと中々取れないと聞く。

 その特性のお茶を特別にお母さんから許可をもらって、持ってきていた。



「今頃桜おねえちゃん達は何をしているのだろう」



 今頃黒龍さんとお話しているのかな。それとも仲良くなって一緒に遊んでるのかな。

 楽しそうに遊んでいる桜おねえちゃん達の姿を思い浮かべると幸せな気持ちになる。



「グマ!! グマ!!」


「ライト、どうしたの?」



 いきなり匂いを嗅ぐのをやめ立ち上がったライト。

 それと同時に森の奥から大きな音が聞こえてくる。



「何だろ? この音」



 人が叫ぶ声や風切り音。様々な音が森の奥から聞こえてくる。



「クマ!!」


「ムーンまで!!」



 2匹揃って、その場で立ち止ったまま動かない。

 辺りを見回しながら、震えていた。



「何かあったのかな?」



 茂みから顔をのぞかせると、そこに広がるのは広大な草原と洞窟。

 その洞窟と草原は大変なことになっていた。



「何なの!? これ!?」



 私が見たのは戦場だった。様々なエルフが剣等の武器を持ち、黒龍さんの所へと向かっている。



「後衛班は前衛班に支援魔法を。残りの者は弓矢で攻撃をしろ!! 何としてもあの黒龍に一矢報いるんだ!!」


「イリスおにいちゃん!!」



 茂みの中からイリスおにいちゃんが必死に指示を送っている。

 私達がいる所から結構距離がある所にいるが、そこからでもはっきりと見ることができた。



「止めないと!!」



 そう思うけど足がすくんで動けない。あんな鬼の形相で戦うイリスおにいちゃん達を見て、私は動けなかった。



「どうしよう」



 考えているうちに戦いは進んでいく。

 空一面を覆うほど大量の矢の雨。そしてそれをいとも簡単に黒龍さんが無力化する。



「うわっ!?」



 吹き飛ばされた矢が私達の所まで飛んできた。

 当たることはなかったが、草原に突き刺さった矢を見てヒヤッとした。



「もしあの矢に当たったら‥‥‥」



 死んでしまう。そう思ったら急にこの場にいるのが怖くなってきた。



「逃げなくちゃ!! どこか逃げられる場所は!!」



 そんな都合のいい場所なんて存在しない。

 イリスおにいちゃん達の攻撃を避けられて、なおかつ黒龍さん達をていられる所なんてない。



「グマグマ!!」


「ライト? どうしたの?」


「グマ!!」



 ライトが指を指したのは洞窟の中。確かにあそこなら色々な攻撃から身を守ることができる。



「クマ!!」


「そうだね。あそこに避難しよう」


「クマ!!」



 ライトとムーンの言う通り。ここは一旦洞窟に避難しよう。

 あそこまで行けばきっとこの戦いに巻き込まれることはないし、いい避難場所だ。



「急ごう!!」


「クマ!!」


「グマ!!」



 戦っている人達から隠れながら私達は洞窟へと向かう。

 幸いこの時私達に目を向ける人達はいなかったので、簡単に洞窟の中へ隠れたのだった。

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