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不可解な行動

「そうだったんですね」


「あの黒龍はそんな珍しい生き物だったとは思わなかった」



 あれから家に戻り、俺達は先程商工会議場でディアボロさん達と話したことを桜達と共有する為にリビングで話していた。

 今回はクルルにも来てもらっている。一応クルルもあの場にいたし、個人的に聞きたいこともあったから出席してもらっていた。



「あの黒龍さんってすごいドラゴンだったんだね」


「クルル、黒龍だけじゃなくてドラゴンってだけで凄い生き物なのよ」


「へぇ~~」



 クルルはいまいちドラゴンの凄さが伝わってないように思えた。

 それと同様に退屈だったんだろうか子熊達は桜と由姫の膝の上であくびをしていた。



「それで空さん、あたし達はこれからどうするんですか?」


「とりあえず様子見だな」



 今の所あの龍が俺達の存在を気づいていないので、下手に手を出す必要はない。

 余計なことをして黒龍の怒りを買ってしまい、町まで襲われてしまっては本末転倒である。



「えっ!? 何もしないんですか?」


「そうだ。幸い商工会議場の人達が対応してくれている。だから俺達が特別何かする必要はない」



 ここから先は全てあの人達がやってくれるので、俺達が余計なことをする必要はないだろう。

 やることはやったんだから、俺達の出る幕はない。



「えぇ~~、私はまた黒龍さんに会いたいよ」


「駄目よ!! 黒龍に襲われでもしたらお母さん達が悲しむでしょ!!」」


「そんなことないよ。あの黒龍さんは私達のことは襲わないよ」


「何を根拠にそんなこと言ってるのよ。とにかく駄目なものは駄目だからね」


「お姉ちゃんのいじわる」


「意地悪なんかじゃないわよ。大体クルル、あんたは毎回毎回‥‥‥」



 そこからティナとクルルの姉妹喧嘩が始まってしまう。

 由姫が仲裁に入る中、俺は1人考える。クルルが今言った発言について。



「空さん、何を考えてるんですか?」


「あぁ、ちょっとクルルがさっき話した内容について考えてたんだ」


「クルルちゃんの話ですか?」


「そうだ。黒龍についての話に引っ掛かることがある」



 言葉にできないが何とも言えない違和感がある。

 いつものクルルでは考えられないようなことをあの場でクルルはしていた気がする。



「考えろ。俺達とあってからのクルルの行動を」



 初めて会った時は深夜の台所。クルルはライトとムーンの後ろから顔をのぞかせていた。

 それから一緒に朝食を食べ、俺達に心を開いて一緒に行動するようになった。

 あの時と今のクルルの違いは何なんだ?



『だけど、お兄ちゃん以外の人は怖い』


「これだ!」


「これって何ですか?」


「違和感の正体だよ。クルル! ちょっと聞きたいことがあるんだけど‥‥‥」


「空!! 邪魔しないで!! 今はクルルに姉としての威厳を見せつけているんだから」


「そんなことはどうでもいい!!」


「どうでもよくないわよ!! 舐め腐った態度で姉に接する妹に対して、少しお灸を据えないとクルルが図にのるわ!!」


「それはまた後でやってくれ。とにかくクルルに聞きたいことがある」


「えっ!?」



 俺の余りの迫力に押されたのか、クルルの肩がビクっと震えた。

 どうやらあまりの迫力にクルルを怖がらせてしまったらしい。



「悪い。怖がらせたか?」


「大丈夫だよ。ちょっと驚いただけ」


「それならよかった」



 話せる状態ならよかった。昔みたいに子熊達の後ろに隠れられると困ってしまう。



「それでどうしたの? 空おにいちゃん?」


「クルルはどうして黒龍を見つけた時怖がらなかった? いつもだったらライトとムーンの背中に隠れて震えていたのに」



 そうだ。いつものクルルなら誰かの後ろに隠れて出てこないはずだ。

 だけど今回クルルは全くと言っていいほど怖がらなかった。ライトとムーンでさえ怖がっていたのに。1人だけ平気な顔をしていた。



「黒龍さんが悪い子に見えなかったから」


「悪い子?」


「うん。むしろ疲れていて大変そうに見えたよ」


「疲れて大変ね」



 あそこで寝ていた黒龍は特に大変そうには見えなかったな。

 涼しい顔して横になっていたし、そんなそぶりは見受けられなかった。



「あんなに丸くなって休んでいて疲れているはずないでしょ!!」


「そんなことないもん!! きっとここまで頑張って移動してきたから、きっと疲れているだけだよ!!」



 あの黒龍が疲れてる? 本当にそんなことがあるのか。

 もしかするとあの場でクルルしか感じられないことが何かあったのかもしれない。



「はい! 話し合いはそこまでにしましょう」


「お母さん」


「お夕飯の準備ができたから、配膳を手伝って」


「それなら俺やります」


「あたしも」


「ありがとう。でも、今日は気持ちだけ受け取っておくわ。ティナとクルルに手伝ってもらうから」


「えぇ~~」


「そんな~~」


「2人共、お客さんの前で姉妹喧嘩なんてみっともないことをしていた罰よ」



 ティナとクルルはわかりやすくうなだれた。

 もしかするとこの家で1番強いのはラックスさんではなく、カレンさんなのかもしれない。



「そうと決まったらきびきび歩く。いいわね」


「「は~~い」」



 その後ティナとクルルが配膳を配り始める。

 桜と由姫の膝の上で気持ちよさそうに寝ていた子熊達もその匂いに飛び起きるのだった。


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