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伝説の生き物

久々に日刊ランキング(ローファンタジー)に入りました!

すごくうれしいです! いつも応援ありがとうございます!

 町に戻った俺とティナは桜達と別れ、商工会議場へと向かう。

 商工会議場の中にある会議場に行くと、中ではイリスとディアボロさんが話し合いを行っていた。



「ティナちゃん、いきなりこんな所へ来てどうしたんだい?」


「今はディアボロさんと今後の町の運営の事で会議中なんだ。悪いがここから出て行ってくれ」


「そんなこと言ってる場合じゃないわ!!」



 机をたたき大声をあげるティナ。その様子をイリスは白けた目で見つめていた。



「何を話したいのか知らないが、オークが町の近くに出現してからというもの、住民が不安がっているのでその防衛策の対応に追われてるんだ。遊び感覚でここに来られても困る」


「遊びじゃないわ!! 重要な話よ」


「重要? 結界内で起こったオークの出現よりも重要な話なんてあるはずがない」


「それが起こってるから俺達は来ているんだよ」



 相変わらずイリスは頑固で頭が固い。別に話を聞くだけ別にいいだろう。

 それに町の近くにドラゴンが出現したんだ。決して俺達は遊び感覚でここに来ているわけではない。



「イリス、少しぐらいティナちゃん達の話を聞いてやれよ」


「ディアボロさん!?」


「オーク達の軍もティナちゃん達が見つけたんだ。ここに来るってことは、よっぽど急ぎの用があるってことだろ?」


「えぇ、そうよ」


「それなら俺達に話してみろよ。緊急の用事なのかちゃんと判断してやるから」


「ありがとう。それじゃあ話すわね」



 その後ティナは見晴らしのいい丘であったことを話した。

 見晴らしのいい丘の近くにある洞窟に黒龍がいたこと。

 そしてで黒龍に見つかる前に逃げ出した所まで、俺達の身に降りかかったことを全て話したのだった。



「ティナちゃん、にわかには信じられないがその話は本当なのか?」


「えぇ、山頂の洞窟で体長5mぐらいの黒龍を見たわ」


「何かの見間違えじゃないのか? 黒龍なんて伝説の生き物だぞ」


「最初は私だってそう思ったわよ!! だけど本当にいたんだからしょうがないでしょ!!」



 ティナは激高するが、それでもイリスは中々信じようとしない。

 このままいくら話しても埒が明かないな。一体どうすれば信じてもらえるんだ?



「坊主、その黒龍はお前さんも見たのか?」


「もちろんだ。俺だけじゃなくて、桜や由姫達も一緒だ」


「そうか」



 その話を聞いてディアボロさんだけは考え込むしぐさを見せた。



「ディアボロさん、まさかこの2人のいう事を信じているわけじゃないですよね?」


「そりゃあ俺だっていきなり黒龍が現れたって言われて信じられるわけがないだろう」


「そうですよね? さすがディアボロさんだ」


「だがティナちゃんや坊主が嘘を言っているようにも見えない。ここは一旦調査をしてみた方がいい」


「調査だと!? ティナ達の嘘かもしれないのに、そんな必要があるんですか!?」


「だから嘘じゃないってば!!」



 いくらティナが反論してもイリスは嘘だって言い張っている。

 何故ここまで黒龍の出現をかたくなに否定しているのだろう。

 普通だったら調査ぐらいしてもおかしくはないのに。



「坊主、お前が今思っていることを当ててやろうか?」


「何がだ?」


「お前さんはきっと何でイリスが黒龍の出現をかたくなに嘘だって言っているのか疑問に思っているんだよな?」


「そうだ」



 俺から見ればティナの発言をイリスが頭ごなしに否定しているようにしか見えない。

 何故そこまでかたくなに黒龍の存在を否定するのか。その理由が全くわからない。



「その理由は、黒龍は既に絶滅した生き物だからだ」


「絶滅したって!?」


「そうだ。俺達が他国と戦争した時に様々なドラゴンがいたんだがな、その中でも最上位種とされる白龍と黒龍の2体は全て絶滅したはずなんだ」


「ならなぜ絶滅した黒龍がこの世界にいるんだ?」


「それは俺にもわからない。だがオークの件といい、俺達の知らない所で何かが起こっているようだな」



 ディアボロさんの言葉は確信めいていた。まるでこの後何かが起こることを予見しているようなそんな感じだ。



「ディアボロさん、貴方はティナのいう事を信じるんですか!!」


「イリス、少しは実の妹が言っていることを信じてやってもいいんじゃないか?」


「父さんがオークキングに会いに行ったから寂しくなって、我々に構ってほしいから来ている可能性だってあるでしょ」


「失礼ね、兄さん!! いくら私でもそんなことはしないわ!!」


「そうだぞ。さすがに今の発言はいただけないな」



 こんな緊急事態なのにそんなことを言うなんて。いくらティナの兄だからといって、言っていいことと悪いことがある。



「何度でもいうがいい。ともかくそんな話を聞く必要もない」



「くっ!!」



 イリスは俺達の話に対して取り付く島もない。

 こんな時ラックスさんなら対応してくれたのに。何で族長代理にこんなやつを指名したんだよ。



「イリス、さすがに対応がお粗末すぎやしないか?」


「申し訳ないが総合的に判断して、私はこれぐらいの対応でいいと思っている」


「仮にティナちゃんの話が本当なら大変なことだぞ。お前はこのエルフの町を危機に陥れたいのか?」



 ディアボロさんは何でもないように言うが、その言葉は今のイリスにとっては中々にきつい言葉だ。

 そこで俺はわかった。何でディアボロさんではなくて、イリスを族長代理に任命したのかを。

 そしてオークキングに会いに行く護衛として、ディアボロさんを連れて行かなかったのかも全てを理解した。



「近辺を捜索するだけしてみた方がいい。エルフの民を思うならばな」


「ディアボロさんがそういうなら‥‥‥」


「そうだろ? それにもし本当に伝説の黒龍がこの近くにいたら大問題だろ?」


「そうですね」


「ティナちゃん達の見間違えで終わるならそれでいい。だけど本当だったら大事だ。状況によっては俺達はこの町を捨てないといけない」


「そんなに大事なんですか?」



 ドラゴンが1体出現しただけで、町まで捨てないといけないのか?

 あの黒龍を見た所、その必要がないように思えるけど。



「あぁ大事だ。少なくても俺達だけでは対処できない可能性もある」


「それぐらい黒龍は強いってことよ、空」



 どうやら俺は黒龍の強さを見誤っていたようだ。

 精鋭をそろえてギリギリという事だったので、犠牲は出ても対処ができるように思っていた。

 だけど今の話を聞く限り、対処をすることができないと言っているように聞こえる。



「それでティナちゃん、その黒龍は俺達の存在に気付いているのかい?」


「幸いその黒龍はエルフの存在には気づいていないみたい。


「それならしばらくは襲ってこないな」



 ほっとした様子のディアボロさんだが、俺にはどうにも黒龍に対して腑に落ちない点がある。



「本当に黒龍が俺達の存在ん気づいていなかったのかな?」



 黒龍の前から立ち去る時に感じた強烈な視線。もしかすると黒龍は俺達の存在に気づいていたんじゃないか?



「何を言ってるの? ドラゴンは他のモンスターに比べても狂暴な生き物なのよ。もし私達が見つかってればあの場で食べられていたわ」


「そうなの?」


「そうよ。ドラゴンは狂暴で粗暴でそして頭がいいの。他のモンスターとは一味も二味も違うわ」



 その割にはあの黒龍は大人しかったように俺には見えた。

 あれはまるで俺達の事なんて相手にしていないように思えたけどそんなことはなかったのかな。



「とりあえず洞窟付近に調査員を派遣して、本当に黒龍がいるか確認しよう」


「わかりました。ディアボロさんがそこまで言うなら、排斥の人員を数名用意しよう」


「そうしてくれると助かる」


「そしたらこの話は一旦終わりにしよう。私はこの後予定があるので、さっきの話はまた後でしましょう」


「あぁ。また時間がある時に連絡をくれ。いつでも行くから」


「わかりました」



 そう言うとイリスも席を立ち部屋を出て行ってしまう。

 出て行ったのを見てほっと胸を撫でおろした。



「何だよ、あいつ。感じ悪いな」


「悪いな、坊主。イリスが散々失礼なことを言って」


「俺は別にいいんですよ。それよりディアボロさんの方が大変そうですね。イリスの指導係」


「ありゃ? バレてたか」


「あの様子を見てればわかりますよ。大方遠征前のラックスさんに頼まれたんでしょうけど」



 何となくディアボロさんの様子を見ていてそう思った。

 ディアボロさんじゃなくてイリスを族長代理に指名したのは、きっとディアボロさんにイリスを育ててほしかったからだ。



「ラックスの奴もそろそろ若いやつに道を譲るとか言ってるからよ。そのせいで俺は子供のお守りをしないといけない」


「大変ですね」


「坊主よりはたいへんじゃないよ」


「俺より?」



 ディアボロさんが指をさす方を見るとティナが体を震わせ頬を膨らませていた。



「ティナ? 大丈夫か?」


「私は大丈夫よ。ちょっと兄さんに怒っているだけだから」



 どうやらこれは怒りが収まりそうにないな。

 桜や由姫とは違い、ティナのストレス発散方法がわからないのでどうすればいいかわからない。



「ティナちゃん。イリスのことは少し多めに見てやってくれ」


「何であんなわからずやのことを多めに見ないといけないのよ!!」



 駄目だ。これはティナが本当に怒っているパターンだ。

 この状態のティナをなだめるのはさすがの俺でも無理だ。



「イリスの奴も忙しくて気が立っているんだよ


「気が立ってる?」


「そうだ。。今はラックス達がいないから、普段の業務に加えてラックスの業務も全てイリスが引き受けているんだよ」


「なるほどな。イリスは色々な業務を1人で抱え込んでいて過労で弱っているという事か」


「正解だ。さすが坊主」



 一体どれだけ1人で抱え込んでるんだよ。

 ブラック企業じゃないんだから、人に仕事を振ればいいのに。

 どうして人を頼らないんだろう。



「だから兄さんはこれ以上厄介な問題を持ち込んでくるなって思ってたのね」


「そういうことだ」



 あいつが大変だってことは凄く伝わってきた。

 さっき目に隈もあったので、もしかすると全然眠れてないのかもしれない。



「優先事項が低い話なら断っていたけど、さすがに今の話を見過ごすことはできなかったな」


「ディアボロさん、斥候っていつぐらいに用意できるの?」


「どのぐらい時間がかかるかわからないが、遅くても明日の朝までには町を出発できるように準備を進めるつもりだ」


「明日の朝か。それまでの間なら大丈夫だな」



 あの黒龍がいつ俺達の存在に気づいて襲ってくるかわからない。

 だからこそ早めの対策が必要だったが、ここからあまり距離もないし明日の朝という事なら問題ないだろう。



「例え黒龍が俺達の存在に気付いていないからと言って、油断していると痛い目にあうぞ」


「とりあえず相手の反応がない以上、しばらくは様子を見た方がいいな」


「そうね。しばらくは大人しくしてましょう」



 どうやら俺とティナ、お互い考えていることは一緒みたいだ。

 よかった。正直私達で黒龍の様子を見に行こうとか言われたらどうしようかと思った。



「とりあえずティナちゃん達は一度帰った方がいい。後は俺達に任せてくれ」


「わかったわ。ありがとうディアボロさん」


「いいってことよ。俺らの役目は町の治安と外敵から町の人々を守ることだからな」



 ディアボロさんと最初に会った時は少々頼りない印象があったが、俺が間違っていたみたいだ。

 ラックスさん達と一緒に戦場に出ていたってことだけはある。



「それじゃあ行きましょう、空」


「あぁ。そうだな」


「それじゃあラックスさん、また」


「あぁ。気をつけて帰れよ」



 ラックスさんに見送られ俺達は商工会議場を後にする。その後ティナと一緒に桜達の待つ家に戻るのだった。

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