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新しい武器

 数日後、朝の特訓を終えて食事をした後、ティナの家を出る準備をする。

 向かう所は商店街。ディアボロさんにお願いしたものの様子を見に行くためだ。



「いってきまーーーす!」


「はい、行ってらっしゃい。皆、気をつけてね」


「はい」



 カレンさんに手を振るクルルを連れて行き、俺達は商店街へと向かう。

 目的はただ一つ。ディアボロさんにお願いしていた武器の強化が終わっているかの確認である。



「桜おねえちゃん、今日のお昼は何作るの?」


「そうですね、せっかくですから今日は外食しませんか?」


「がいしょく? お外のお店で食べるの?」


「そうですよ」


「さんせーー」



 クルルは元気よく返事をする。両手をあげて嬉しそう笑う辺り、久々の外食が嬉しいみたいだ。



「全くクルルは食べ物のことになると嬉しそうね」


「本当にそうだな。すっかり桜に懐いて、まるで本当の姉妹みたいだ」



 クルルを手をつないでいる桜を見ているとそう思う。

 姉妹というよりは母親のようにも見えなくもない。



「まさかあの引きこもりのクルルがこんなに外に出るようになるとは思わなかったわ」


「俺もだ」


「これも全部空達のおかげね。お父様も空に感謝していたわ」


「ラックスさんが?」


「そうよ。空達が来てから、家庭がいい雰囲気になったって。すごく嬉しそうに話してた」



 ラックスさんまでそう言ってくれているならありがたい話だ。

 全てはクルルの世話をしてくれている桜のおかげだけどな。



「そういえば、この場所に来るのも久しぶりね」


「そうだな。まだここに来て1週間しか経過していないんだな」



 引きこもってるクルルが外に出たり、そのクルルとピクニックに行ったり、オークに襲われたり色々あった。

 これだけの事が起こってまだ1週間。ずいぶん俺も濃い日常を過ごして来たみたいだな。



「桜おねえちゃん、明日の約束は忘れてないよね?」


「はい。クルルちゃんおすすめの眺めのいい丘にピクニックに行くんですよね?」


「うん」


「任せて下さい。あたしが腕によりを込めておいしいご飯を作ってあげますからね」


「わーーーい」



 明日の昼ご飯は桜が作ると聞いて喜ぶクルル。

 まだ子供だと言うことはわかっているが、クルルを見ているといつも無邪気で楽しそうな姿に和んでしまう。



「こう見ると、クルルもだいぶ社交性が上がったな」


「別に社交性は上がってないわよ。それだけ空達がクルルの心を掴んだのよ」


「そういう問題なの?」


「そういう問題よ」



 ティナはそう言っているが、俺は違うと思う。

 初めてクルルと会った時、ライトとムーンの後ろに隠れ顔スラ見せなかった。

 それを克服したのはクルルが自ら食卓に顔を出したからだ。クルルがが自分で前に進んだからこそ、俺達はこうして前を向いて歩けているように思えた。



「それよりも入りましょう。ディアボロさん、いますか!!」


「そんな大声出さなくても、俺はちゃんといるよ」



 店の奥から眠そうな顔をしたこの店の店主、ディアボロさんが顔を出した。

 目の下には隈ができており、寝不足なのがうかがえた



「おぅ、待ってたぜ。ティナの嬢ちゃんに山村君達」


「ディアボロさん、預けた武器の強化のことなんだけど?」


「もちろんできてるよ。2人共こっちに来てくれ」



 そう言われディアボロさんに連れていかれたのは、先程彼が出てきた奥の部屋。

 その部屋の中央のテーブルに俺達の武器が並べられていた。



「これは、あたしの槍です」


「私の剣もあるぞ」


「それぞれの武器の強化は完了している。後は調整が必要だから、試し切りをしてみてくれ」


「わかりました」



 それぞれ自分の武器の場所へ移動して、自分の武器を取る。

 俺の武器の所にはハンドガンとスナイパーライフルの他に、1丁の銃と何発かの弾が置かれていた。



「まずは武器の説明をするとそこの嬢ちゃんの槍だ」


「あたしの槍ですか?」


「そうだ。木製の槍はは全てオリハルコン性にした」


「すごいです」


「性能としては紫の槍と同じだ。前と後ろの先端をとがらせてある。そこに丸太があるから試し切りをしてみてくれ」


「わかりました」



 そういうと桜は試し切り用に置いてあった丸太を槍で一刀両断する。

 あまりの速さで槍がよく見えなかったが、丸太が宙を飛び地面に落ちた。



「凄い切れ味です!」


「だろ? オリハルコンを使っているから、通常よりも軽くて切れ味も増している。調整するけど何か希望はないか?」


「大丈夫です。ありがとうございます」



 どうやら桜の武器は想像以上に性能が上がっているみたいだ。

 これぐらい性能が上がれば、フランシスのような相手を戦っても遅れを取ることはないだろう。



「それでそ紫の槍の方だけど、そっちは色々と封印を開放した」


「封印を解放?」


「そうだ。今までより軽くて鋭くて持ちやすい。それに色んな能力を秘めた槍になっている」


「その能力ってどんなものなんですか?」


「それは嬢ちゃん自身の目で確かめてくれ」


「何か不安ですね」


「大丈夫だ。嬢ちゃんならその槍の力を制御できる」


「わかりました」



 封印の解放ということは、きっとカズミさんが封じていたものをディアボロさんが解放したのだろう。

 どんな力があるか桜に言わなかったということは、能力を開放するもしないも全て桜次第ということか。



「空さん、これであたしもパワーアップしました」


「あぁ、一緒に頑張ろうな」


「はい!」



 返事から桜の決意が伝わってくる。

 もしかすると桜もあの学校での出来事を引きずっているのかもしれないな



「桜の武器の強化点はわかったが、私の武器はどう変わったのだ?」


「焦るなよ。今説明するって」



 新しい丸太を置きなおしながらディアボロさんは答える。

 由姫が持っている刀は2本あった。



「2本? 由姫は1本だけしか、刀を渡していなかったんじゃないのか?」


「これは俺が研究用に作った小さい刀だ。受け取ってくれ」


「これは刀というよりは小太刀だな」


「小太刀?」


「私達日本で使われているこの剣の呼び方だ」



 小太刀を鞘から抜くと、刃の部分を由姫は見ている。

 目を細めながら、刀の何かを観察しているようにも見えた。



「この波紋、中々の業物だな」


「ありがとよ。その小太刀よりもそっちの刀の方がもっとすごいぞ」


「ほぅ」



 由姫はもう片方の刀を抜いた。抜いた瞬間、驚いた表情を由姫は見せた。



「これはさっきの小太刀よりもいい出来でないか!?」


「そうだぜ。これを作るのにもかなり苦労したんだよ」


「なるほどな。まさに妖刀といったところか」


「そこまでできたのなら、試し切りをしてみろ」


「あぁ。やってみる」



 そういい刀を横なぎに振る由姫。

 真っ二つに割れた丸太をもう片方の小太刀で切り刻んだ。



「最高の出来栄えだな」


「ありがとよ。それで何か調整は必要か?」


「そうだな。出来れば鞘の所をもう少し持ちやすくしてほしい」


「わかった。それならすぐできる」


「頼むぞ」



 由姫は満足げに刀をしまい、ディアボロさんに渡す。

 あの満足げな表情から見て、かなりいい仕上がりになったらしい。



「最後に坊主の武器だな」


「あぁ」



 俺の前には銃が3丁といくつかの弾。スナイパーライフルとハンドガンはわかるけど、もう1つの銃は何だろう。



「まずそっちの2丁は今までの銃より威力や反動、距離が伸びている」


「なるほど。試し打ちをしてみてもいいか?」


「あぁ大丈夫だ」



 許可をもらい、由姫に真っ二つに割られた丸谷向かって銃を放つ。

 距離はわからないが確かに反動は少なく、威力は上がっているようだ。



「凄いな」


「だろ? 今まで作った武器の中でも会心の出来だ」



 ここまで威力が上がれば、他の敵に遅れを取ることもないだろう。



「この2丁はわかるけど、最後の1丁はなんだ?」


「これは試しに作ってみたものだ。少し弾を大きくして見たんだ」


「弾を大きくした?」



 口径を大きくしたってことか。となるとこの銃の威力は他の比にならないな。



「弾を大きくしたってことは、威力をあげたってことか」


「それでいて反動はどの銃よりも少ない。試しにこれに向かって撃ってみろ」


「これって‥‥‥」



 さっきの丸太より倍以上太い丸太だ。それをディアボロさんは用意していた。



「この丸太に向けて撃ってみろ」


「いや、さすがにこの銃でも貫通しないですよ」


「ものは試しだ。やってみてくれ」


「わかりました」



 丸谷向かって銃を構える。狙いを定めて引き金を引くと、弾が当たった丸太が粉々に砕けるのだった。



「なんて威力だ」



 あの丸太を粉々に砕くなんて。威力もそうだが、反動も少なく最強の銃と言ってもいい。



「成功だな」


「凄いです」



 桜達が驚いている中、改めて俺はの銃を見る。

 実際手に取ったことはないが、この銃は見たことがある。



「確かこの銃って、ゾンビゲームで出てきた銃」


「デザートイーグルじゃないですか?」


「桜も知っていたか!?」


「はい。あたしもそのゲーム好きだったので昔よくやりました」



 桜がゾンビゲームが好きだったことは意外だったな。

 とてもやっているようには見えない。



「桜もゾンビゲームをするのか?」


「はい。やった後はすっきりするのでよくやってましたよ」



 どうやら桜は色々とストレスを抱えていたらしい。

 あまり突っ込んで話すと大変なことになりそうだから、この話はここまでにしよう。



「となると弾はマグナム弾か」



 他の銃と比べてもかなり威力の高い銃となっている。

 今までの火力不足解消のキーになる武器になってくるな。



「その銃には名前があるのか?」


「あぁ。俺も実際ゲームでしか見たことがないけど」



 地球上に存在した中でも上位に入るぐらい強い銃だ。



「ディアボロさん、ありがとう」


「喜んでくれて何よりだ」


「これで全部ですね」


「全部じゃないぞ」


「えっ!?」


「聞いて驚け。実は刀と槍にはある細工を加えてある」


「細工?」


「ティナ。あの嬢ちゃんの刀に炎の魔法を使ってみろ」


「いいの?」


「あぁ、大丈夫だ。嬢ちゃんは刀を抜いて構えてくれ」


「わかった」



 由姫は刀を抜くき、ティナは炎の魔法を唱える。



「一体何が起こるのだろう」



 するとどうだろう。ティナが放った魔法が刀を包み、炎が刀から離れない。



「これは‥‥‥」


「武器自体に魔法体性がかなり強くなってるんだ。その刀で敵を切れば炎の攻撃も付与することができる」


「なるほど。そういうからくりなのか」



 つまり炎なら炎の属性、氷なら氷の属性を武器に付与できるってことか。



「あたしの槍も同じことができるんですか?」


「そうだ。ちなみにさっきのティナみたいな立派な魔法じゃなくても、魔法を唱えられれば何でもできる」



 ということはどんな些細な魔法でも武器に属性を付与することができるのか。

 やりようによっては最小の力で最強の武器になるな。



「最後にこの弾は何ですか?」


「これは非殺傷性の弾だ」


「非殺傷性の弾?」


「そうだ。この前のオークを捕える時とかに使えるものだ。体に当たると電流が走り気絶するようになっている」



 つまり俺達の世界のゴム弾みたいなものか。

 どこで使えるかわからないが、これは大事にとっておこう。



「ありがとうございます」


「いいってことよ。お前さん達が持ってきてくれた鉱石のおかげで、俺もいい武器が作れそうだ」



 お互いにとってwinwinになれるような関係だったんだな

 俺達だけ得して、ディアボロさんだけただ働きをさせるのが心配だったがそんな心配はなかったようだ。



「ディアボロさん、私のはないの?」


「ティナのはないぞ」


「何で!?」


「当たり前だろ? 山村君達からは貴重な鉱石をもらったが、ティナからは何ももらってない」


「そんなぁ~~」


「もし作ってほしければ今度ティナ用の武器を作ってやるから、お金を持ってきてくれ」


「もうそんなお金はないよ」



 ティナの情けない声を聴きながら、俺達は笑う。

 新しい武器をもらい、俺達はディアボロさんの鍛冶屋を後にするのだった。

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