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黒幕の存在

「いただきます」


「いっぱい食べてくださいね」



 夕食時、俺達はリビングに集合して晩御飯を食べていた。

 テーブルには色彩豊かでおいしそうな料理が所狭しと並んでおり、見るからに豪勢だった。



「すごいよ!! これって桜お姉ちゃんが全部つくったの?」


「これはカレンさんとあたしの合作です」


「しうよ。クルルちゃんもいっぱい食べてね」


「は~~い」



 返事をするとフォークで魚の煮つけを器用に差し口に運ぶクルル。

 相変わらず晩御飯を食べているクルルは幸せそうに見えた。



「相変わらず由姫のご飯は大盛だな」


「どこが大盛だ。むしろ今日は少なめでお願いしたんだ」


「この量で!?」



 見るからに俺の1.5倍ぐらいの量があるぞ。

 これで少なめって、普段どれぐらいの量を食べてるんだよ。



「由姫は食欲がないの?」


「別にそういうわけではない」


「てことは、今日のことが引っ掛かっているってことか」


「そうだな」



 由姫が考えていたこと。それはきっとオーク達がエルフの町に出現したことについてだと思う。



「何故この町にオーク達が出現したのかが気になってな」


「それは俺も気になっている。これは俺の予想になるけど、きっとオーク達はこの町を自分達の支配下に置くことまで考えてないと思うんだ」


「何故そう思うんだ?」


「初めからエルフ達と戦うつもりなら、わざとエルフ達に見つかるようなことはしないだろう」



 報告ではエルフの町から距離がある所でいなくなったと言っていた。

 だけど桜達は町の近くの森で発見したという。それなのにわざわざエルフの町から離れたってことは何か理由があるはずだ。



「でも、オーク達は私達を捕えようとしていた」


「それは一部のオークが暴走したからだ。元々そんな気はなかったはずだ」


「じゃあ空は、あの戦闘は偶然起きたものだって言うの?」


「俺はそう思ってる」



 一部のオークが欲を出した結果、返り討ちにあったってことが真実だろう。

 だからオーク達の親玉は焦って生き残ったオークを殺したんだ。自分達の情報が漏れるのを防ぐために。



「これは俺の考えなんだけど、むしろオーク達はエルフ達に見つかりたかったんじゃないか?」


「何でそう思うの?」


「自分達の力を見せつけたかったからだと思う」


「オーク達に私達以上の力があるわけないわ」


「そうだぞ。現に私達はオークを簡単に倒せた」


「そりゃあ簡単に倒せるよ。力を見せたかったのはオークじゃなくて、オークの後ろにいる首謀者の方だ」


「一体どういうことなの?」


「首謀者は霧の結界を簡単に突破できることや、オーク達を一瞬でこの町に移動させられることをアピールしたかったんじゃないかな?」



 そう考えると辻褄が合う。オークを使って自分はエルフより優れているってことをアピールしたかったように思えた。



「つまり、エルフ達に自分の力の大きさを見せたかったってことか」


「そういうことだ」


「つまり私達と交渉したかったってこと?」


「それは最低条件だろう。たぶん首謀者の考えはエルフ族が自分達の仲間になれって言いたいんだと思う」


「仲間!?」


「言い方を変えれば、自分達の軍門に下れって言ってるんだ」



 理由はわからないが、相手はエルフをオーク族と一緒に管理したいのだろう。

 その為に自分の力を見せる必要があった。だからこんな大掛かりな行動をとったんだ。



「そんなのできるわけないじゃない!!」


「だからラックスさんはオークキングと会うって言ってるんだよ。その首謀者の思惑にのらないように、2つの種族で連携して対抗しようって話すつもりだと思う」



 だからあんなに急いでオークキングの所へ向かおうとしているんだ。

 早くしないとエルフ族とオークの間で戦いが起きてしまうから。



「オークもそうだけど、何故首謀者はこんな回りくどいことをする?」


「それは仲間を集めているからだろう」


「仲間?」


「自分達のやろうとしていることに協力してくれるそんな仲間を募ってるんだ」



 だから力を誇示して、自分に逆らったらどうなるかということを示しているのかもしれない。

 もしかするとその内見せしめで、いくつかの町を攻撃してくるかもしれない。



「でも、なんでそんなことをする?」


「それはわからないけど、もしかしたら水面下で何かよからぬことを企んでいるのかもしれない」



 嫌な予感がする。だけどそれが何かわからない。

 わからない以上俺達には何もすることができない。できることと言えば、自分達の力をつけることだけだ。



「大丈夫よ。そんなわけのわからない奴の思惑なんて、私達で潰しましょう」


「だな」


「どんな奴が襲ってきても倒そう。その為には私達のレベルアップは必須だがな」


「だから頼むぜ。由姫先生」


「任せておいてくれ。また明日からビシバシ鍛えてやるからな」



 にやりと笑う由姫の不敵な笑みが正直怖い。

 また明日からあの地獄のような日々が始まるのか。



「由姫、明日は私の番よ」


「もちろんわかってる」


「2人共お手柔らかに頼む」



 せめて俺が怪我しないようにお願いしたい。

 2人共加減がない時があるので、そうなった時俺は無事でいられるのだろうか。



「おねえちゃん達、楽しそうに話してないでクルル達も仲間に入れてよ!」


「そうですよ。あたし達だけのけ者なんてずるいです」


「わるいわるい」


「あたしも空さんのことをしごきたいです」


「桜まで!?」



 何故か桜まで明日の特訓に参加したいらしい。

 こうなると明日からの特訓は覚悟しないとな。



「桜!! 悪いけど空との摸擬戦は私が先よ!!」


「どうせだったらあたしが先にやりたいです」


「何でよ!! 私が1番にやるって話だったのに」


「まぁ2人共待つのだ。ここは光景にじゃんけんで決めよう」


「そういってさらっと由姫まで入ってこないでよ!!」



 まずいぞ、何故かわからないが喧嘩になってきた。

 こういう時は大人しくしているに限るな。



「それなら、空おにいちゃんに選んでもらえばいいんじゃない?」


「クルル!? お前何を言って‥‥‥」


「いいアイディアね」


「さすがクルルちゃんです」


「そうだな。先輩に選んでもらえば丸く収まる」



 いつの間にか3人の視線が俺へと向いている。

 三者三様の視線が俺へと突き刺さる。



「空!!」


「空さんは一体!!」


「誰を選ぶのだ!!」


「くっ!!」



 何故俺は浮気をしたわけではないのに、3人の女の子から尋問されているんだ。

 逃げようとするが逃げられない。なぜならどこにも逃げ場はないからだ。



「あらあら、山村君はモテモテね」


「空おにいちゃんモテモテ」


「別に俺はモテモテってわけじゃ‥‥‥」


「空さん!!」


「早く決めるのだ!!」


「男でしょ!!」



 結局この押し問答はしばらく続くことになる。

 しばらくして3人をなだめた俺は、食事の後片付けをして部屋へと戻るのだった。

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