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魔力石

 オークを看取った後、商工会場に呼び出された俺達は事の経緯をラックスさんに説明した。

 桜達が主だって説明したので、俺の出番はほぼない。

 要所要所を桜と由姫が説明し、戦闘に発展した内容をディアボロさんが説明するのだった。



「紫の宝石が光出して、オークが苦しみ始めたか。にわかには信じられないな」


「お父さん!! 桜達は嘘を言ってないわよ!!」


「別に君達の話を嘘だと言っているわけではない」


「何か心辺りがあるんですか?」


「そうだな」



 そういうとラックスさんはその場で何かを考え始めた。



「そういえば、オークがこんなものを持っていました」


「それはマジックアイテムではないか」


「お父さん、やっぱりこれはマジックアイテムなのね」


「あぁ。しかもこのマジックアイテムは純度がかなり高い石を使っている。ここ最近でこれ程の純度が高いものは見たことがない」



 ラックスさんが驚いているぐらいなのだから、よっぽどすごいものなのだろう。

 俺達だけではその判断ができない。



「でも、なんでオークがこんなものを持っていたんでしょうか?」


「それにオークの背中に埋め込まれたあの宝石も気になるな」



 考えれば考える程、不可解な点が多い。

 オークがエルフの町に入ってきたのは、もしかしたら別の黒幕がいるのかもしれない。



「オークとマジックアイテムか」


「ラックスさんは何かわかりましたか?」


「あぁ、もちろんだ。君達の話が本当なら、こちらも早急に対策を打たないとまずいな」


「早急に手を打つって、一体どんな‥‥‥」


「伝令です!!」


「どうした!?」



 息を切らせて入ってくる成人したエルフ。驚愕の表情を浮かべていて慌てている。



「ここから南東4km付近でオークの軍勢を発見しました」


「それで、オーク達は捕まえたのか?」


「いえ、我々が捕まえようとその場所へ向かったのですが、霧のように消えてしまって」


「霧のように?」


「そうです。我々の姿を確認すると、霧のようにゆらゆらと消えていきました」


「オークが‥‥‥消えるだって!?」



 そんなことって本当にあるのか? 今まで俺も色々なモンスターや魔族と会ってきたが、そんなスキル聞いたことがない。



「非常にまずいな」


「まずいなって、どういうことですか?」


「私達にもわかるように教えてほしい」


「そうだな。もしかするとオーク達は誰かに操られているのかもしれない」


「操られている?」


「そうだ。何者かにオーク達が操られている可能性がある」



 その可能性は俺も考えた。そうなるとオークを操っていたのは、やはり魔王軍四天王の誰かになるのだろうか。



「先程宝石が光出した後オーク達が苦しんだと言っていたが、それはきっと魔力石をオーク達は埋め込まれたのだろう」


「魔力石?」


「文字通り術者の魔力を込められる石のことだ。その石の中にある程度自分の魔力を込めることができ、埋め込まれた者は威力は通常より弱いがその術者が使用する魔法を使うことができる」


「つまりは、埋め込まれたものは埋め込んだものの魔法を使えるってことでいいのだな?」


「そうだ」


「そうなるとオークはその術者の影響を受けているってことか」



 あれから確認してみたが、全てのオークにこの魔力石は埋め込まれていた。

 つまり俺達は全てのオークに魔力を貸し出せるほど強い魔力を持っている奴と戦うことになる。



「もう1つ厄介なのは、その術者がオークを自分の意のままに動かせるってことだ」


「つまりあのオーク達はその術者に従っているってことか」


「そういうことだ。魔力を持たないオーク達が結界を抜けてきたのもその術者が結界を破ったのだろう」



 結界を破る程の使い手。そんな強大な敵と俺達は戦わないといけないのか。

 考えただけで頭が痛くなってくる。フランシスと戦った後に、こんな強大な敵と戦うのかよ。



「そういえばこの魔力石。あたし見たことがあります」


「どこで見たんだ?」


「クマちゃん達のお母さんに埋め込まれていた物と同じです」


「確かに言われてみればそうだな」



 色や見た目は違うが、あれもこの魔力石だったのだろう。

 だからウォールベアーが氷の息吹が出せたのか。



「てことは、あのウォールベアーは実験台にされたってことか」


「胸糞悪い話しだ」



 オーク達にこの宝石を埋め込む為に、ウォールベアーを実験台にしたんだ。

 オーク達が望んだならまだしも、望まず魔力石を埋められたウォールベアーのことを思うといたたまれない。



「だからクマちゃん達はあんな狂暴化していたんですね」



 もしかしたらウォールベアーは仲間の仇のために戦っていたのかもしれない。

 それなら俺達を見て、いきなり襲い掛かってきた理由もわかる。



「何にせよ、オークキングと一度話す必要があるな」


「オークキング?」


「オークキングっているんですか?」



 テレビで見ていた時、姿は見えなかったがオークキング。

 ハイオークは見たことあるが、そんな敵までいるのか。



「あぁ。この山を越えた先のオーク達の街にオークキングはいる」


「そんなところにいたのか」


「先輩、もしかすると私達の街で捕まった人達もいるんじゃないか?」


「その可能性もある」



 もしその人達を開放するなら、オークキングとの交渉が必要になるだろう。

 そうなると誰か代表でオーク達の所に行く必要がある。



「ラックスさん、俺も一緒にオークキングの所へ連れて行ってくれませんか?」


「空さん!?」


「駄目だ。悪いが君達はついてこないでくれ」


「何故だ!?」


「君達が来るとオークキングとの交渉がこじれる可能性がある」


「こじれるってどういうことだよ? 悪いのは全部あいつだろ」



 俺達の世界に来て人間を勝手に奴隷にしたのはオーク達だ。

 オーク達が悪いのに、なんで俺達の方が我慢をしないといけない。



「オークにはオークの考え方、エルフにはエルフの考え方で行動しているんだ。君達に何があったかわからないが、君達の物差しで我々を計らないでくれ」


「つまり、奴隷にされている人間を見逃せってことか?」


「見逃せとは言っていない。我々はそれぞれの正義で行動してるんだ。オークにとっては他種族をを奴隷にすることは普通のことだ」


「だから来るなっていうのか? それは悪い冗談だぞ」



 助けを求めている人達がいるのにみすみす見逃すって。

 そんな冗談みたいなこと、あってはならない。



「空、ここはいったん抑えてお父さんに任せてみよう」


「悪いがこれは俺達の問題だ。ティナは口を出さないでくれ」


「大丈夫よ。きっとお父様にも何か考えがあって言ってくれているはずだからここは信じてみて」


「だからって、このままでいいわけがないだろ!!」

「確かによくはないわ。でも、ここでオークとことを構えても貴方達にも私達にも利益がないの」


「‥‥‥」


「わかってとは言わないわ。空達が捕まった人達を思う気持ちもわかる。だけど、今回だけでいいの。今回だけは私に免じて見逃してくれないかしら?」



 ティナが俺の腕を取り懇願する。正直今にも泣きそうなそんな表情をされると、俺も何も言えなくなる。



「まぁ、ティナがそこまで言うならしょうがない」


「ありがとう、空」


「勘違いするなよ。もともとデパートの人は赤の他人に等しいから、積極的に関わる必要性を感じないだけだ」



 元々あそこにいる人達は俺の知らない人達だ。

 そんな人達を助けて俺に何の利がある? 俺達に利がないなら助ける必要もないだろう。




「ありがとう、空」


「別に助ける必要性を感じないだけだ」



 思わず顔を反らしてしまう。今の照れている顔だけはティナに見られたくない。



「クルルちゃん、あれがツンデレって奴ですよ」


「空おにいちゃんがツンデレなの?」


「そうだ。あれがさっき桜が説明していたツンデレだ」


「この後輩共‥‥‥」



 また俺から離れてツンデレだどうだと言っている。

 一回説教をする必要があるな。



「私が人間達のこともオークキングと交渉してくるから待っていてくれ」


「お父様」


「もしかすると、オーク達の後ろにいる術者が全て仕組んだ事なのかもしれない」


「つまりそいつをなんとかすれば」


「あぁ、全てが丸く収まる可能性もある」



 ラックスさんがオークキングと話せるなら任せるしかないな。

 俺が行った所で戦闘に発展するなら、平和的な解決をした方がいい。



「私は明日の明朝に護衛を連れてオークキングの元に向かう」


「わかりました」


「私がいない間の留守はイリスに任せるから後は頼むぞ」


「わかりました」


「君達も今日はゆっくり休んでくれ」



 そういうと、ラックスさんはどこかへ行ってしまう。

 イリスもそれについていく。

 この様子を見るときっと町の運営の話し合いだろう。



「空、いったん帰りましょう」


「そうだな」


「お腹がへったな」


「へったよ!」


「クマ!」


「グマ!」


「わかりました。そしたら今日はあたしがおいしい手料理を振る舞います」


「やったぁ!」



 1人喜ぶクルル。いや、1人じゃない。子熊達も一緒に喜んでいた。



「桜、本当に大丈夫なのか?」


「はい。あたしは戦闘に参加していないのでこれぐらいはさせてください」


「桜がそういうならいいけど」



 森の中を必死に逃げて疲れているんじゃないかと思うが仕方がない。

 桜がそういうならご相伴に預かろう。



「それじゃあ帰りましょう。私達の家に」



 その後俺達はティナの家に帰る。

 商工会議場から家までの帰り道、桜とクルルの楽しそうな歌が聞こえてくれるのだった。

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