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最強の助っ人

引き続き桜視点の話になります

「はっ、はっ、はっ」



 オーク達を巻く為に森の奥の奥の方へと走っていく。

 どれだけ走っただろう。全力で走っていたからか、息が切れて苦しい。



「桜、オーク達は追っかけて来ていないか?」


「大丈夫そうです。オーク達の姿は見えません」



 あたし達が全力で走った結果、オークを巻くことに成功したらしい。

 そのままあたしは、思わず足を止めてしまった。



「桜おねえちゃん?」


「大丈夫ですよ」



 正直ここまで長い時間走っていたので、足がガクガクと震えていた。

 まだ走ることはできるが、息が切れているせいで思うように体が動かない。



「オークも巻いたことだし、少しここで休もう」


「まだ大丈夫ですよ」


「いや、少し休んだ方がいい。その状態じゃ満足に動くことができないはずだ」



 由姫ちゃん達とオークから逃げること1時間。あたし達は森の奥深くまで来ていた。

 ここがどこだかわからない。だけどなんとなくだが、この場所がエルフの町の近くだとは思う。



「敵の気配は近くに感じないか?」


「いえ、全く感じません」



 あたしのスキルを使っても、この辺りに敵の気配はない。

 先程までずっと真後ろの方に気配があったが、その反応は一切なくなっている。



「なら休もう。今は少しでも体力を回復させた方がいい」


「わかりました」



 クルルちゃんを降ろし、膝に手をついて深呼吸をする。

 先程まで息を切らせていたが、少し休んだおかげでだいぶ息が整ってきた。



「しかし、なんでオークがこんなところにいるのだろう」


「あたしもわかりません」



 霧の結界は無敵だとティナさん達は言っていた。

 承認した人以外誰も中に入ることができない結界だとも聞いた。



「ティナさん達の話が嘘だった?」


「いや、そんなことはないはずだ」


「となると、霧の結界を上回る程の力が動いてる可能性もありますね」


「そうだとすると、一刻も早く先輩達にこのことを伝えないとな」


「そうですね」



 あたし達が考えた所で、正確な答えを出すことはできないだろう。

 でも空さんに話せば、もしかしたら答えに近づくことができるかもしれない。



「少し休んだら行こう。ここを出ればもうすぐティナの家だ」


「そうなんですか?」


「あぁ。私だってやみくもに逃げていたわけではない。ちゃんとティナの家に近づくように逃げていたんだ」


「さすが由姫ちゃん!」


「お礼は夕食のおかずを1品増やしてくれればいい」


「任せてください」



 そんなことはお安い御用だ。今日の晩御飯は由姫ちゃんの為に腕によりをかけて作ろう。



「それじゃあ向かおう。敵の気配がないなら、ここからは歩いて向かおう」


「はい。クルルちゃん。抱っこしますね」


「うん」



 クルルちゃんを抱きかかえ、あたし達は由姫ちゃんの背中を追って、森の奥深くに進む。

 木々が邪魔して歩きにくい為、本当にこの道でいいのかと思ってしまう。



「それにしても鍛冶屋に武器を預けたのは間違いだったな」


「そうですね。代わりの武器をもらえばよかったですね」



 今のあたし達に武器はない。全部鍛冶職人のディアボロさんに預けてしまっているからだ。



「霧の結界が無敵だという言葉を信じすぎましたね」


「そうだな。こんな時先輩ならなんというだろう」


「空さんならきっとこういいますよ」


「「油断大敵だ」」



 由姫ちゃんと声が合わさり、思わず笑ってしまう。

 どうやら由姫ちゃんもあたしも同じことを思っていたみたいだ。



「由姫ちゃん、今の言葉空さんにそっくりです」


「そういう桜こそ、イントネーションが先輩と全く同じだったぞ」



 空さんとずっと行動していたからか、いつの間にか空さんが言いそうな言葉がお互いすぐ浮かんでくるみたいだ。

 考え方や行動の仕方等は、最近空さんに似てきた気もしなくもない。



「他にも空さんなら慢心していたとかいいそうです」


「絶対言ってるな」


「油断とか慢心がセットになってますよね」



 あたしと由姫ちゃんは顔を見合わせて笑った。

 緊急事態なのにも関わらず、何故笑っているのかとさえ思うけど笑いを堪えられないので仕方がない。

 これも全部空さんが悪い。さっきまでは逃げることに必死だったが、今は空さんのことを考えると笑ってしまう。



「おねえちゃん達、どうしたの? そんなに笑って?」


「ちょっと空さんのことを考えていただけですよ」


「空おにいちゃんのこと?」


「そうだ」


「空おにいちゃんって面白いんだね」


「そうですよ。帰ったらクルルちゃんもいっぱい遊んでもらうといいと思います」


「うん、クルルも遊ぶ!」



 良かった。クルルちゃんも笑ってくれた。

 先程まで顔が曇っていたが、今はその面影はない。



「クマクマクマ」


「グマグマ」


「クマちゃん達も空さんに遊んでもらうといいですよ」


「クマ!」


「グマ!」


「そうですね。急ぎましょう」



 今の状態ならきっと大丈夫。

 先程まであたし達を包んでいた悲壮感は既にない。



「もうすぐ森を抜けるぞ」


「はい」



 森を抜けると、そこはティナさんの家の裏手だった。

 少し歩いた先にティナさんの家がある。



「やりましたね」


「そうだな」



 クルルちゃんを地面に降ろし、安堵のため息をつく。

 ここまで来ればもう大丈夫。後は家に入るだけだ



「見つけたぞ!」


「えっ!?」



 振り向くとそこには先程あたし達を追っていたオークがいた。

 その数10体程。最初逃げていた時よりも増えているように思えた。



「何でオークがここにいるんだ!?」


「あたしの敵探知にも引っ掛かっていません」



 確かに先程までオーク達はおろか、敵の反応すらなかった。

 なのに何故、急に反応が出たのだろう。



「全く、てこずらせやがって」


「どうやって私達を見つけることができたんだ?」


「さぁ、なんでだろうな」


「悪いが俺達はずっとお前達の側にいたぜ」


「何!?」



 ずっとあたし達の側にいた。つまりそれはあたし達が逃げるのを見て楽しんでいたってことだ。



「つまりあたし達は泳がされていたってことですね?」


「そういうことだ」


「ものわかりのいい嬢ちゃんで助かる」



 オーク達全員が剣や斧を装備しており、万全の態勢であたし達を捉えようとしている。

 それに比べてこちらは軽装。武器も何もなく真正面から戦うには圧倒的不利だ。



「さて、覚悟しろよ」


「今日から奴隷として可愛がってやるからな」



 武器も何も持っていないため。自分達を守るものは何もない。

 万事休すとはこのことである。



「クマ!」


「グマ!」


「何だ、この熊達は?」


「俺達に歯向かおうとしているのか?」


「ライト、ムーン!?」



 由姫ちゃんが抱きかかえていたクマちゃん達が地面に降り、あたし達の前に立つ。

 それと同時にクルルちゃんを自分の背中に隠した。



「桜おねえちゃん?」


「大丈夫ですよ。クルルちゃんはあたし達が守りますから」



 クルルちゃんが安心できるように、出来るだけ笑顔で答えた。



「うん、桜おねえちゃん達を信じるよ」


「ありがとうございます。あたしから離れないでくださいね」


「わかった!」


「いい子ですね」



 これで懸念事項が1つ消えたが、これからあたし達はどうすればいい。

 武器がないまま戦うのはかなりリスキーだけど、どう戦えばいい。



「そんな丸腰で俺達とどう戦うんだ?」


「そんな状態じゃ、捕まえてくれと言ってるようなものだろう」



 オーク達がじりじりとあたし達に近づいてくる。

 それに対してあたし達はじりじりと後ろへ下がっていく。。



「観念して降参するんだな」


「くそ!!」


「せめて武器があれば」



 いつも使っている槍があれば、オーク達なんて余裕で倒せるのに。

 槍、そうだ。槍だ。細くて長くて尖っている棒でもいい。それさえあれば戦えるのに。



「出てきて。あたしの槍」



 そういった瞬間。あたしの手に何かが現れる。

 それは紛れもない槍。あたしのものではないが、鉄製の槍が出てきたのだった。



「桜、どうやってその槍を出した?」


「あたしにもわからないです」



 理由はわからないが、槍が欲しいと念じたら槍が手に入った。

 槍がないと思っていたのに槍があるってことは、もしかしたら‥‥‥。



「そうか、わかりました」


「桜、何がわかったのだ?」


「由姫ちゃん、剣をイメージしてください」


「剣を?」


「いいから早く!!」


「わかった」



 由姫ちゃんが目をつむると手元に剣が出てきた。

 いつも使っている刀ではないが、この武器があれば十分だ



「こいつら、武器を持っていやがった!!」


「いけ、やっちまえ」



 オーク達があたし達に向かってくる。

 その直後、空に現れた無数の光の弾がオーク達に直撃した。



「一体何が起こった!?」



 その直後地面に降り注ぐ銃弾の雨。その攻撃にたまらずオーク達は後ろへと後退する。



「一体何が起こったんだ!?」


「待たせたな」



 その直後、空から3人の男女が降りてくる。その内の1人は着地に失敗し、尻もちをついていた。



「何でそこでしりもちをつくのよ!! 全く閉まらないわね」


「うるさい!! こんな魔法をいきなり使われて、完璧に制御できるわけないだろ!!」



 その人は憎まれ愚痴を叩かれながら、隣のティナさんに対して文句を言う。

 お尻をさすりながら、あたしのことを見て不敵な笑みを浮かべる。



「空さん!!」


「桜、由個、助っ人に来たぞ」



 あたし達の前に最強の助っ人が姿を現したのだった。

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